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2005年03月14日
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カテゴリ: 憲法




さて、前回で裁判所が違憲判決をするのは稀なことだと言うイメージを
もたれたでしょう。実際、違憲判決は非常に稀です。
その稀な事件についてお話します。

まずは「尊属殺重罰規定違憲判決」という事件です。
(最判昭和48年4月4日)
尊属とは家族関係で目上とされる人のことです。
例えば、親や、祖父母、おじおばを指します。
かつて、刑法では尊属を殺害することは絶対に許されないこととして、通常の殺人罪より厳しく処罰してきました。
すなわち、通常の殺人では最低刑が懲役3年のところ、尊属殺人では最低刑が無期懲役でした。
これだけ聞くと、確かに親殺しはひどいから刑が重いのもやむを得ないとお考えの方もおられるでしょう。
しかし、問題となった事件はそう単純ではありません。

被告人は、中学2年の時実父に姦淫され、子供も出来、10年以上夫婦同然の生活を強いられてきました。しかし、職場で正常な結婚の機会に恵まれたものの、実父は被告人を10日間に渡って脅迫虐待を繰り返しました。
そのため、被告人は疲労困憊し実父を殺害してしまったのです。

どうでしょうか。単に親殺しとは断じられない事件だと思います。
そこで、判例はこう判断しました。( )内は引用者注

しかし、加重の程度が極端であって、・・・立法目的達成のため必要な限度をはるかに超え、普通殺に関する刑法199条の法定刑に比し著しく不合理な差別的取扱いをするものと認められ、憲法14条1項に違反して無効である」

つまり、親殺しはいけないという趣旨は理解できるが、それを踏まえても最低刑が無期懲役というのは重過ぎるから違憲だとしたのです。

このように、刑の軽重という裁判所の判断が可能な物に対しては違憲判決を出しやすいのです。

しかし、一見専門的なものでも違憲判決を出した事件があります。
それは次回にしましょう。






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最終更新日  2005年03月14日 00時19分23秒


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