おせんの江戸日誌

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2010年12月12日
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カテゴリ: 惚れ薬
惚れ薬作りは、命じられたものでしたが完成するまでの間、


とはいっても、やっぱり少しはねぎらうか褒めてほしいの
が人というもの、それは吉之助とて例外ではありません。
なのに、命じた本人は薬のことを忘れていた・・・
十九才の吉之助にとってこれはちょっと面白くありません。

御家安泰を思えばこその大仕事の筈なのに、それ頼んだ当人
がそれをお忘れとは、まことに頼りないお人じゃ・・・
家宝紛失の失態もあろうが、いつまでたっても謹慎が解けぬ


乾家老.jpg


ヨシ、それならば・・・
何か思いついたらしく、すぐに気を取り直した吉之助が
コホンと咳払いをし、

「惚れ薬にてござりまする」

と、持参の小瓶をやうやしく差し出しました。
それで惚れ薬作りを命じた事をようやく思いだした乾家老は
目の前に置かれた小瓶を恐る恐る手に取り

「ホウ、ついに出来たか・・・ウム、大儀であった」
「殿の御服用されるものゆえ遺漏無きよう苦心致しました。
 日にちがかかった分まず万全のものにていささかの御懸念

 なお仕損じることがあれば、と多めに作っております」

吉之助のいかにも自信ありげな態度に、
さすが棟玄坂家の天才、さもありなんと感心しつつも、

「なれど、刀が出ぬことには」

と、つい愚痴めいた言葉を口にしてしまった乾家老ですが、

てしまい、不覚にも次の言葉を失ってしまいました。

吉之助の澄みきった目に見据えられた乾家老は弱音を吐いた
オノレを恥じているのでしょうか。
その額にはベットリと脂汗がにじんできています。





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最終更新日  2010年12月16日 03時29分51秒
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