椿荘日記

椿荘日記

茅ヶ崎旅行記~マーラー第七交響曲


マリの体内時計はどうなっているのでしょう(正確すぎて?)。
夕べは夫とふらふら帰りがてらコンビ二エンスストアで買った冷酒(「空海」であれほど飲んだ~①参照~のですが、酒瓶を見てしまうとつい・・・。「便利(コンビニエント)すぎるのも問題ありですね)を飲んでそのままで一時過ぎに寝たようです。
真っ暗な部屋で目を見開いていても埒が開かないので、タバコとお財布とタオルを持って階下のロビーに下りました。
お風呂に入った後、少しだけ明るくなりはじめたラウンジでタバコを吸いながら、日経(「ソニーがニフテイを買収」の記事で唸っていました)を読んでいると思ったより早く時間が経って、もうそろそろ朝食です。
部屋に戻り、着替えて朝食を済ませ、呆れる夫を尻目に缶酎ハイを飲み(お休みは大手を振って朝から飲酒、が決まりのマリですので)、新聞を眺めていると、そろそろチェックアウトの時間です。
荷物を車に積み、シートとポータブルCDデッキとソフト、飲み残しの冷酒を持って海岸に行きました。

雲一つないお天気です。暖かく、風も余りありません。
デジタルカメラで何枚か写真を撮り、砂浜でタコを上げていた少年と遊ぶ夫を遠くに眺めながら、イヤホンでテンシュテットのマーラー七番を、冷酒を飲みながら聞きました。
一楽章の冒頭のあまり(?)の速さに、最初驚愕していたのですが(マリが聞いた中では最速)、第ニ、第三主題と聞き進むうちに、テンシュテットの意図が次第に見えてきたような気がしました。金管が良く響いて美しく、演奏が進んでいくに連れ,ゆったりとした表現に移行していく姿はまさしく「長い夜の夢の幕開け」と言った感です。
ニ~四楽章は聞いた中では最も遅いのですが、二楽章の絶妙さ、三楽章は緩やかな、くねるような「死の舞踏」で、(マリはこの楽章を聞くたび、ラヴェルの「ラ・ヴァルス」を思い浮かべずにはいられないのです。ほぼ同時代の二人の作曲家の陰画と陽画のような姿が想起されます)弦もよく歌っています。
四楽章も「愛情」の込められた優しい管の響きが、夜の夢の楽しさと平安を表しています。
暖かさに満ちた海岸にすわり、煌く海を目の前に、美しい音楽に浸され、至福の時です(最終楽章は時間切れで、聞くことが出来ませんでしたので、また後日)。

遊び興じる夫(子供と遊ぶのが好きらしいです)を目の端に、ビーチコーミング(今日のターゲットは藤壺です。鉢物の植木に添えようと思っています)に夢中になっているとお昼の時間になりました。やはり先生に予約して頂いた、昨日の「空海」に程近い「えぼし」が昼食のお店です。
この辺りの人気のお店なので、お昼もほぼ満席です。
網元直営の、いつも新鮮な魚介が置いてある「えぼし」のメニューは豊富で、何度も来ている先生でさえ、「まだ全部食べたことがない」そうで、選ぶのに迷ってしまいました。
結局「いわし寿司」(ここの名物です。早朝に茅ヶ崎近海で取って、その日に出します。「えぼし」の鰯寿司を食べたら、他所ではもう食べられません)。「あじ寿司」、「あなご寿司」、「甘海老のかき揚げ」、「シロギスの天ぷら」など地魚を中心に、最後の焼きおにぎりを詰め込んで、盛り沢山の昼食は終わりました。

生ビールの中ジョッキをニ杯づつ飲んで、いい気分のマリと先生は、「これから本当に作業出来るの?」との夫の疑惑の視線を浴びつつ、マリの稽古納めと、先生の「観音」様を仕上げにまたもやふらふらと(笑)アトリエに向かったのでした。

平成12年12月28日(金)記



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