椿荘日記

椿荘日記

暴風雨と「椿姫」観劇




今日は物凄い風雨で、茅ヶ崎のアトリエに向かう車は塩混じりの横風で、浮き上がるような感覚でした。
先生のアトリエは古い木造家屋なので、激しい風と土砂降りの雨には大いに影響を受け、家鳴りがするようでした(流石に雨漏りはしませんが~苦笑)。そんな騒音(?)の中でも先生は、締めきり(実は1日伸びたのです)の火曜日に間に合わせる為「文殊菩薩」の仕上げに真剣で、わき目も振らず集中していらっしゃいます。
マリは傍らで、自分の練習と溶き皿洗いの合間、轟音と共に落ちる雷にびくびくしていました(稲妻は好きです。が、音には弱いのです~苦笑)。

今日も夫が会合で遅いので少し早めに帰り、息子と二人で簡単な食事を囲むつもりで、帰宅すると息子が家にいません。
あ、と思いついて、母屋に電話すると息子が出て、もう直ぐ返ってくる義父に、子犬の餌の指導を受ける為待っているとの返答です。
そうです。犬がいないと堪えられない(?)義父が「毛のものは駄目」といつも悲鳴をあげている可哀相な(嘆)義母の反対をまたもや押し切り(?!)黒柴のオスを購入したのです。

本当は「パグがよかった」(マリも大好きです。愛嬌たっぷりで可愛らしいので)そうなのですが、こちらは完全な室内犬なので諦めざるを得ず(義母は室内犬を飼うのだったら、帰らせて頂きますと言ったそうです~爆)、飼いなれている柴犬(三代目です)に決めたのだそうで、昨日、マリと夫の留守中やってきました。
やはり文句無しに可愛いのです!
黒くて丸い、よく動く目が好奇心の旺盛さを示しています。持ち上げて暫く吊り下げた状態にしても、不機嫌になりませんし、物音を立てれば、なんだろうと寄って来ますので、知能、性質ともに問題ありません。
早速「クロ」と名付けられ(先代はシロでした~合掌)、息子が夢中になって世話をしています(義父との、飼うに当たっての約束なのです)。

食後はお待ちかねの芸術劇場「ラ・トラヴィアータ(椿姫)」です。昨夜、録画したものを、大好きなブルゴーニュ・アリゴテ(白ワインです)を飲みながらの「観劇」です。
夜も遅いので、息子は「乾杯の歌」を口笛で吹きながら(夜の口笛はいけないですね~苦笑)「お休みなさい」を言って階上に上がって行きました(マーラー同様、カバレッタなど著名なフレーズは殆ど吹けます。マリのせいですね)。

演奏はメータとイタリア放送交響楽団、ソリストはホセ・クーラ(「新御三家?」の一人です)と無名のソプラノ歌手(名前を忘れました)で、新しい試みとして、パリの名所旧跡を舞台に最近製作されたものです。
時代もルイ・フィリップ治世下から20世紀初頭(「ベル・エポック」です。プルーストの「失われし時を求めて」の舞台とほぼ同時代です)に移しての物語です。
無名ながらタイトルロールは若く、なかなかの容姿で、声は少々暗いものの美しく、演技も可憐でしたし、アルフレードのクーラも若々しく、大成を予感させる堂々の熱演振りでしたが、気になった点をを幾つか(「椿姫」はマリにとって「特別」なので)。

やはり時代ですね。装飾面など様式的にやはりベルエポックは舞台では淋しく、華やかさにかける帰来があります(舞踏会などの場の、腰張りスカート(クリノリン)の交錯は華麗で、実は舞台的にも効果があるのです)私のデイーバ「マリア・カラス」のロイヤルオペラ座での、やはり世紀末か20世紀初頭のパリが舞台という公演がありましたが視覚的にはどうだったのでしょう。気になるところです(美麗な写真は残っていますが)。

それから主役の二人にはやはり「ハイC」を。感極まって歌うのですから。
ただの技巧の誇示ではないのです。また、3幕で、再開した二人が重唱するところですが、瀕死のヒロインを立たせたまま(!)というのは腑に落ちませんでした。

最後に。
やはり、胸には必ず「椿の花」を!
椿を愛する「椿姫」なのですもの。
勿論、ヴェルデイの歌劇は「ラ・トラビアータ(道を踏み外した女)」で原作「椿姫(椿を持つ貴婦人)」とは必ずしも一致しないと仰る向きもあるでしょうね。
けれど、殿方でしたらお判りになると思いますが、意中の女性の胸元を飾る花か、花瓶の花かどちらか、と問われれば、もう思案の余地はありませんでしょう(笑)。





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