椿荘日記

椿荘日記

暑さと夫と国民性??


夜半から吹き出した風で、床に就く時間には、幾分楽になりましたけれど、家族で夕食のテーブルを囲む時間は丁度ピークで、只でさえ食欲がわきませんのに、これでは冷たいもの以外は何も口にしたくなくなってしまいますね。

少しでも熱源を減らそうと、調理も色々考えているのですが、買ってきたお惣菜の類でなくては、火を使わずには済みませんし、お湯を沸かすだけで、厨房に熱が篭ってしまいますので、調理する人間はそれだけで参ってしまいます。

夫は大の冷房嫌いで、日中はオフィスで長時間、否応なく冷やされておりますから無理もないのですけれど、マリと息子が夕刻から堪らずにスイッチを入れ、涼んで居ると、帰宅した夫は有無を言わさず切ってしまう程なのです。
就寝時に窓を開けるようになったのも、マリが心臓を弱らせてからで、それまではどんなに懇願しても、体調の悪さを訴えても、頑として窓をあけようとしませんでした。
本人は大変な汗かきで、天然のラジエターを完備しているようなものですので、たっぷり汗を掻いて涼しくなり、ぐっすり眠っている夫の脇で、汗が余り出ないマリは、体中に熱を溜め、内臓が煮える(!)ような辛さを、一晩中耐えなければなりません。
終に耐えられなくなって、涼しい別室に退避していますと、何故か明け方に、そんなところで寝ていると風邪を引くからと、わざわざ起き出して迎えに(?!)来るのです。
そのようなことを繰り返しているうちに、とうとう本当にマリが病気になってからは、一二もなく言うことを聞いて、窓を開けてくれるようになりましたけれど、それでも頑固さは、以前のままです(苦笑)。
良い人なのですが、こうと信じたら中々自説を曲げないところがあり、家族は大分振り回されている傾向があるのです。
何だか愚痴になってしまいましたね(笑)。

家族思いですし、仕事熱心ですので、連れ合いとしては申し分ないのでしょうけれど、音響関係の機器の研究開発を専門としているせいか、耳も良く、音に対しても神経質で、モーターの低く唸る音や、換気扇の回転する際の振動音などとても嫌がりまして、その度に解決の為、奔走を余儀なくされております。
マリも神経質で、我儘な性格ですけれど、輪を掛けたような夫と暮らすようになってから、自分で思い返してみますと、以前より随分聞き分けが良くなったように思います。
毒によって毒を制された(?)のでしょうか(笑)。

それにしても、日本はよく四季に恵まれていると申しますけれど、それ以上にここまで一年の、特に夏と冬の温度差が激しい国は少ないのでは、と思います。本州だけに絞って見まして、またその上、中辺りの関東、東海、関西地方の状況を考えて見ましても、冬は0度近く、夏は最高でも40度近く上がるわけですから、もしかすると日本人は、世界中でも温度差に一番強い国民かもしれませんね。
事実、世界各国に移民などで移住した多くの日本人の、定着率の良さが知られていますけれど、勤勉で我慢強いという国民性と、後はやはり「温度差」に強いという体質も、強く影響していると思います。

マリが夫や家族と、イギリスのオックスフォード州で生活している時代、ある年に記録的な暑さの夏がありまして、元々暑さに弱いイギリスの方々が、顔中真っ赤にして本当に参っているのを見て、お気の毒に思うほどでしたけれど、在英日本人にとっては、何時もより少し暑い程度でしかありませんでした。
彼らは、摂氏16℃くらいでも、冷たい大西洋で平気で泳げるほど(唇は紫色ですけれど)寒さには強いのですが(冬でも半袖で歩いている若者を頻繁に見かけました)、暑さはからきし駄目のようです。
上記のように、極端な温度差の国で育った日本人が、気候的に大概どこでも適応できるのは道理で、加えて、何でも食べられるという無敵の条件を備えていますので、中国系の人々と同じく、どこに行っても適応できるのかもしれません。アジアの強さでしょうか。


それにしても、イギリスの夏は素晴らしいものでした。五年間過ごして、何時が一番好きな季節かと問われれば、迷わず「夏」と答えるでしょうね。
それに比べて冬の寒さ、辛さは、クリスマスの楽しみがなければ、灰色に映っていたに違いありません。
また、機会を見て、イギリスの夏の楽しみについてお話致しましょうね。

2002年8月1日(木)記




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