みどりの日記                  ~gardener's hum~

  みどりの日記 ~gardener's hum~

第3回 4月14日



『海辺の園芸教室』


コンテナと呼ばれる少し大きめな鉢にさまざまな植物を植え付ける
“寄せ植え作り”はとても楽しい作業です。


この時季は、たくさんのお花が“ポット苗”の状態でお店に並ぶので
楽しくてしょうがありません。
春は特に明るい花を植えたくなります。
鉢の前方に薄いピンクやパープルの花の苗を並べ、色合わせをしてみます。


「う~ん、これだけだとボケた感じになるわね」この脇に濃い色のビオラ
を合わせてみたらどうかしら?足元にはアリッサムがこぼれるように
鉢からはみ出して咲いているのも素敵ね。
だとしたらグリーンはどんな感じのものが合うのだろう。


 植物が成長して馴染んだ頃の姿を想像しながら、ひとりで作業をする
のでも十分楽しいのですが、これをお花好きの人たちと一緒に会話し
ながらできたら、どんなにか楽しいことでしょう。

「花や野菜を育てる幸せ」という園芸福祉の精神は、こんなささやかな
ところからのスタートでもいいのではないでしょうか。


「植物に触れてみてください。植物の声を聞いてみてください。
とても優しい気持になれます」そんな語り口でゆるやかに始まった
寄せ植えの教室があります。


 新潟市小針浜にある海辺のレストラン「ネフ」さんで、春から秋にかけて
月に一度ずつ開催されている“ひとときの園芸教室”です。

人はみな、たまには心を開放させてのんびりできる場所や時間が欲しいと
思っているのではないでしょうか。

初めて私がこの場所を訪れた時に、「こんな素敵な場所で波の音を聴きながら
土や植物に触れて作業をしたならば、どんなに気持ちが良いことでしょう」
と思ったのが始まりでした。


 まったく早いものです。この園芸教室も今年で5年目を迎え、
毎年植物好きの参加者の皆さんと、おしゃべりを楽しみながら仲良く続けています。

教室の開催時には、普段使われていない“海の家”の空間を教室に使わせて
もらっているので、天気の良い日はトタンの扉を全開にしてもらいます。

そうすると目の前に海風と共には浜辺がド~ンと広がります。
絶え間なく繰り返される波の音も、BGMには最高です。
そして潮の香りとレストランでのランチの準備のおいしそうな匂いが鼻をくすぐります。


時たま海鳥たちの鳴き声が響き、波が穏やかならば、遠く海の上に横たわる
佐渡島の姿だって見ることができるのです。

レストランの外からは、まさかこんな会が開催されているとはわからないのでしょう。

たまたま犬の散歩で通りがかった人が、たくさん並んだ苗とその周りで
会話する人たちの姿に驚き、近寄ってくることがあります。そのくらい、
私たちは海辺の景色を独り占めしているということなのでしょう。


 こうして私たちは最後においしいランチをいただきながら、植物のお話で盛り上がるのです。
目、耳、鼻、口…そして手。五感のすべてをフル回転させながら。



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