みどりの日記                  ~gardener's hum~

  みどりの日記 ~gardener's hum~

第11回 6月9日



『光と影のアート』


子供の頃に「どうして影は黒いのだろう?」と不思議に思ったことがありました。
今になれば「影になっている部分に光線が届かないから暗く見えている。
それを人間が“黒”と認識しているから」という答えを科学的に導き出す
ことができます。でも、それは本当にその色なのでしょうか?

みなさん、インスタレーションという言葉を聞いたことがありますか?
それは英語で「装置・設備設定」という意味で、現代美術における表現方法、
ジャンルの一つのことをいいます。


具体的に言うと特定の室内や屋外などにオブジェや装置を置いて、
作家の意向に沿って空間を構成し変化させ、その場所全体を作品として
体験させる芸術のことをいいます。
作家の意向に添って「鑑賞」するものと「体感」するものなどがあり、
それはとても面白い展示です。 



 私は十年ほど前からワイヤという素材を使って少しずつ表現活動を行って
きました。
きっかけは、お庭に広がったグリーンの植物に合わせるにシックな色合いの
アイテムを自分で作ってみよう、と思ったからです。
それからというもの、柔らかなラインを作り出せるワイヤの魅力に引き込まれて、
今では依頼を受けた空間を飾る作品の制作なども行うようになりました。

そして、新潟市中央区万代のギャラリー「ゆうむ」で今月16日から開催される
「和の三人展“スリーカラーズ・スリーワークス” vol.2」という作品展では
ワイヤを使ったインスタレーションにチャレンジすることになりました。


 インスタレーションはさきほどお話したとおり場所との相性が重要な要素を
占める展示方法ですから、私はこのお話をいただいたとき、すぐに実際の現場に
行くことにしました。そこで思い浮かんだ「言葉」をテーマにしようと思ったからです。

会場の小さなギャラリーは古い民家を改装したもので、趣のある柱や廊下、
建具の数々が昔のまま残っているなんとも言えない懐かしさに包まれた
不思議な空間でした。


私はギャラリースペースの白い壁を見つめていたら頭の中で相反する2つを
意味する言葉が次々と浮かんできました。
“光と影”や“善と悪”、“白と黒”に“表と裏”。
明るいスポットライトを浴びる世界とは違う、ほの暗い影の部分」。
それが、この場所でどんな姿を見せるのか?
ちょっと暗く怖いイメージもあるけれど好奇心をそそられる「影」…。
その予測のつかない一瞬の造形を想像しワクワクしました。


 しかもそれらの展示は会期が終われば撤去されてしまい人々の記憶の中にしか
残らないものです。でも、そこがいい。
実際に現場で見て体感することによって皆さんの中でどんな色のストーリーが
展開するのか、とても楽しみにしています。




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