みどりの日記                  ~gardener's hum~

  みどりの日記 ~gardener's hum~

第24回 9月8日



『一粒のブルーベリー』



昨年のことです。あるお客様からの依頼で庭のリニューアルのデザイン設計、植栽を頼ま
れました。
全面的にイメージを変更し今までのお庭の雰囲気を一新して、ちょっとモダンでお花も
楽しめるスペースに作り替えようということで作業がスタートしました。


その際、私は庭の隅で成長した木々の陰に隠れて半分枯れかかった弱々しい小さな木を
発見しました。この葉っぱどこかで見たことあるな。
もしかしてこれは…。

「ブルーベリー?」思わず口に出していました。
それほど哀れな姿でした。枯れた枝ばかりが目立ち緑の葉っぱが申し訳程度についている
だけでした。このままだったらダメになってしまうだろうな…と思うほど弱っていました。


お客様が横から顔を出して「何の木だったかしら?」と首をかしげていました。
どうしてここに植えられていたのかもわからない様子でした。
処分してくださいと依頼され、刈り取った草木のごみと一緒に家に持ち帰りました。


しかし、私はどうしてもその木が気になり、とりあえず小さな鉢に植え替えてみました。
ま、ダメになるかもしれないし…そんな気持ちで庭の水やりのついでに小さな鉢に水をやり、
時季が来ると植え替えをしたりしていました。


そして、ついに今年春。柔らかそうな新芽が出始めているのを発見しました。
私は「お、新芽が出たんだ。こりゃ、もしかしたら来年あたりに花を咲かせるかもしれない」と思いましたが、予想に反して早くも今年の初夏に白く小さな花を咲かせました。
想像していたより早いペースで成長しているのを感じました。



もしかしたら数年後にはジャムが作れるなるほどに成長したりして…?と淡い期待を持ちま
したが、すぐに否定。
そんなに簡単に実がなるわけじゃないよな。

そして照りつける日差しに汗を流しながら水やり作業に追われていました。

その後しばらくして雑草を抜こうとしゃがみこんだら、ブルーベリーの葉っぱの下に
小さな実がなっているのを発見しました。濃い紫色のブルーベリーの実が一粒だけなって
いる!思わず顔がほころびました。

あとは、この実をいつ口にするか…です。明日か、あさってか。


一粒だけなので、鳥に食べられてしまうのも悔しいから、待ちきれずにぱくっと口の中に
放り込みました。「すっぱ~っ!」 ちょっと早かったか??それでも十分満足しました。

品種の違う木を近くに置くとよく実がつくというので、来年はもう少したくさん収穫できる
かな?

楽しみに待っています。











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