私がFIRE(経済的自由を得て早期退職)を達成する上で、軍資金を幾ら準備したか、以前のブログ「FIRE 幾らあればできる?」でも紹介しました。 ただし、その内容は50歳未満の方には参考にならなかったかも知れません。 軍資金の半分が、私の年齢(FIRE達成時56歳)だからこそ得られた収入だったからです。 以下は、私のFIREの軍資金の内訳です。
① 退職一時金 870万円
② 早期退職割増 1,500万円
③ 確定拠出年金 470万円
④ 個人年金 2,900万円
合計 5,740万円
FIREに向けて、自分自身で貯めた(積み立てた)のは全体の半分(④個人年金)だけでした。 あとは会社が貯めておいてくれたり、支給してくれたものでした。 ②
早期退職割増
をプラスすると、定年退職と同等の満額の退職金になります。
世の中の会社には、早期退職支援制度を設けている会社は多いですが、50代が対象の会社が多いと聞きます。 これは特に大企業において、バブル期(1980年代末~1990年代初頭)に大量採用した社員が人数面でダブつき、人件費の面でも高いことが理由のようです。 現在20~30代の方々には恩恵がありませんね。 40代の方々なら、貯蓄している間に50歳を超えて、この恩恵を受けられるかも知れませんが。
では、もっと若い方々や、早期退職支援制度が無い会社の方々はどうすればFIREできるのでしょうか。 会社がお金をくれない以上は、FIRE軍資金は自分で蓄財するしかありません。 私の場合、FIRE達成後、個人年金の積み立てや国民年金保険料を払い終わるまで(64歳)は、生活費も含めて年間400万円ほど必要です。 生活費だけなら、交際費や各種年会費など含めても300万円もあれば良いのですが。 結果、56歳10ヵ月でFIREした私は、60歳までだけでも約1200万円が必要でした。 これは、私が個人年金と公的年金の繰り下げを利用してFIREしたからです。 個人年金はまだ積み立て終わっていませんし、国民年金(老齢基礎年金)も満額欲しいので継続して保険料を払い込み中です。
生活費だけ貯めればよいのであれば、年間300万円、60歳までで900万円あれば済みます。 もし50歳でFIREしたなら3000万円ですね。 それでも50~60歳だけで3000万円、40~60歳なら6000万円、30~60歳なら9000万円が必要です。
では、世間で評判の「4%ルール」に従ったならどうでしょう。 「ポートフォリオの4%の資金で1年間の生活を賄えれば、貯蓄が30年以上持続する可能性は95%」のことです。 ポートフォリオとは、金融商品の組み合わせのことです。 4%ルールでは、年間生活費の25年分を蓄財して、あとは手取りで年率4%の利益が得られるようなポートフォリオで投信運用すればよい、とされています。 つまり前述の例では、蓄財が必要なのは、年間生活費300万円の25年分、7500万円ですね。
私の場合は、投資運用の勇気はありませんでした。 そのため、60歳までの生活費に加えて、公的年金を繰り下げ受給(老齢基礎年金を70歳、老齢厚生年金を75歳まで繰り下げ)するまでの生活費も必要でした。 年間生活費が300万円なら、56~60歳の生活費900万円に加え、蓄財は更に4000万円必要です。 ただし、公的年金の受給が始まって以降に向けての蓄財は必要ありません。 年金ですべて賄えますから。 つまり、4%ルールにおける運用益は、私の場合は公的年金がこれに相当します。
私は、10年間で2900万円を貯めて個人年金にしました。 同じペースで7500万円貯めるなら26年かかる計算です。 ただし、蓄財中も4%ルールに従ったポートフォリオで運用すれば26年はもっと短くなります。 いかがでしょうか。 これが日本のネット上によくあるFIRE実現方法です。 若ければ若いほど、投資運用の運用益の凸凹を時間が解決してくれる、とも言います。 ただし、そのくせ「投資運用は自己責任」とも言います。
私は投資運用も4%ルールも否定するつもりはありません。 単に不勉強だったので投資は怖いだけです。 ただ、忘れないでください。 名著「FIRE 最強の早期リタイア術」のご夫婦は、4%ルールに従うだけでなく、4%ルールに従った場合に残る破綻確率5%を0%に近づけるために、何重にも対策を打っています。
私のように貯金(個人年金)と公的年金で食べていくなら、これからの一生は無駄遣いに気を付けるだけです。 でも投資運用をされるのであれば、勉強してださい。 FIRE達成後もです。 昨日まで正しかったポートフォリオが、明日も正しい保障は無いのですから。
若い方々が短期間でFIREしたいなら、必要な軍資金を構築するために投資運用も必要かも知れません。 まずはポートフォリオ(バランスのとれた金融資産の組み合わせ)を勉強してください。 そしてFIREを達成したら、それでまでのポートフォリオが今後も間違っていないか、各種制度・世界情勢も含めて常に勉強し続け、対策してください。 確定拠出年金のポートフォリオを自分で考えるのと同じです。 「FIRE 最強の早期リタイア術」のご夫婦も勉強し続けています。 4%ルールに従う場合、蓄財だけではFIREは終わらないのです。 FIRE達成後も「運用」は続きます。 「運用」するのは貴方であり、FIRE達成後の自由の永続性(軍資金を枯渇させない)も貴方に掛かっているのですから。
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