目と耳が悪いビジネスマンの一筆

目と耳が悪いビジネスマンの一筆

2010/07/17
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ドイツのほぼ中心に位置するヴュルツブルクから南のフュッセンを結ぶ、全長約350kmの道。

わたしたちは朝の7時45分にローテンブルクを発し、ディンゲルスビュールまでこの街道をドライブし、ディンゲルスビュールから終点のフュッセンまではアウトバーンで移動しました。

土曜日ということもあって家族連れで外出する人々がグッと増えるようで、一部渋滞しているところもありました。

四台ものマウンテンバイクを搭載している乗用車や、大きな黒い犬を同乗させているキャンピングカーなど、いかにも行楽へ出かける様相の車が隣のレーンを次々と走り過ぎていきます。

これもドイツらしい週末の風景なのでしょう。

そんな混雑をなんとか乗り切り、フュッセンの街を通り過ぎて森の緑がとろりと溶け込んだような色合いの川を渡ると、シュヴァンガウというのどかな村にたどり着きました。

ここは今日の目的地・ノイシュヴァンシュタイン城の麓に位置しています。

とあるホテルのレストランで昼食をとり(大きなグラスに注がれたバイツェンビールが美味しかった)、お城を往復する専用バスに乗ってうねる上り坂を駆け上がっていきました。



そこはノイシュヴァンシュタイン城の全貌が眺められる絶好の展望スポットになっていて、多くの人々がミシミシときしむ橋の上を往来しています。

眼下の谷はかなり深くて、よくこういう場所から落下してしまう夢を見るんだよなぁ・・・などとのんきに考えながら進んでいきました。

わたしたちが橋の上に降り立ったちょうどその時、大きな雨粒が一つ、またひとつと落ちてきました。

たしかにさっきから雲行きがおかしかったのですが、ものの数十秒の間に音を立てて本降りになるではありませんか!

怪しく垂れ込めた暗雲を背景にして、悲劇の王が夢を託した城塞は、いわくありげに陰影を浮かべて佇んでいます。

「そんなところでボヤボヤしていないで、早くこちらへおいで」

目の前のお城が、そう言って雨を降らせているのかも知れません。

みな慌てて記念写真を撮影して、駆け足でマリエン橋を後にしました。


02マリエン橋からお城を眺める
マリエン橋からお城を眺める


雨脚は次第に勢いを増し、折りたたみ傘を開いて歩を進めます。

10分ほど歩いたでしょうか、さきほどマリエン橋から見下ろしたノイシュヴァンシュタイン城が、眼前にその威容を現しました。


03ノイシュバンシュタイン城にて
ノイシュヴァンシュタイン城を見上げる

04お城の入り口にて
城門をくぐるたくさんの観光客


見学の予約時刻を待ってゲートをくぐり、日本語でガイダンスしてくれるラジオのような端末を受け取って城内へと進んでいきました。


05お城から眺めるマリエン橋
城内から見上げるマリエン橋

06城内にて
城内からの風景




完成を見る前に、彼は変死を遂げたのです。

その時代の政治家としては失脚してしまったものの、中世の王侯に憧れ、浮世を離れて一人夢想に浸りながら世を送ることを望んだルートヴィヒ二世の情熱が、ここには染み込んでいるのです。

目が悪いわたしは光の乏しいらせん階段でつまづき、あわや転倒しそうになりましたが(笑)、なんとか手すりにしがみついて上へ上へと上っていきました。

控えの間、王座の広間、執務室、食堂、寝室・・・。

予約している後続のお客さんがいるからなのでしょう、ムダのない速やかなテンポでガイダンスが進行し、次へ次へと移ろっていかなければなりません。



前を見ても後ろを見ても、あるいは上を見上げても、薄暗い空間のなかに金色の光が不気味に照り返していて、平面的な写真では決して伝わってこない圧倒的な雰囲気がそこにはありました。

これが総工費248億円をかけたという、ルートヴィヒ二世の夢の形なのでしょうね・・・。

城内の見学を終えて再び外へ出たときには雨は止み、雲間から薄日がこぼれ出していました。

帰りは、バスで登ってきた山道を自分の足で踏みしめて下っていきます。

にわか雨を浴びた木々は汚れを落としたみたいに色彩を増し、目に映しているだけで心安らぎます。


07森の中を歩く
雨上がりの森を歩く


ただし、アスファルトの上は馬車を曳いてゆく馬たちのフンがそこここに散らかっていて、いっときも気が抜けません(笑)。

やがて昼食をいただいたシュヴァンガウのホテルが見えてきて、まだ少し時間があったのですぐそばにある湖へ散歩してみました。

人が集まっているほうへと進んでゆくと、なんとそこには白鳥の群れが。

そうそう、ノイシュヴァンシュタイン城は日本語にすると「新白鳥城」だし、ここシュヴァンガウも「白鳥の高原」という意味。

演出なのかも知れないけれど、この湖にはやっぱりどうしたって白鳥がいなくちゃいけないんです。


08湖の白鳥
湖の白鳥


人なつっこい白鳥たちとしばし戯れてから、バスに乗り込みました。

フュッセンを離れ、わたしたちを乗せたバスはオーストリアを通過して、スイスに入りました。

空は真っ黒な雲が張り出し、昨日まであんなに眩しく照りつけた陽光を奪い去ってしまいました。

まだ18時にもなっていないのに、まるで日没が差し迫っているかのような薄暗さです。

この国々では、21時でさえ鮮やかな太陽が輝いているはずなのに。

まもなく19時になろうかという頃、わたしたちはチューリッヒのラディソン ブル エアポートというホテルに到着しました。

明日はアルプスの山々を見に行く予定なのですが、果たしてこの天気じゃどうなることか・・・。

不安な気持ちを抱えながら、また新たな街で夜を迎えました。

何はともあれ、無事に旅を楽しむことができて感謝します。

ありがとうございました!!

●今日の天気
フュッセンはにわか雨。スイスへの道中は豪雨。

●今日の運動
お休み。





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Last updated  2010/07/23 07:38:37 PM コメントを書く


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ミンミンぜみ @ ありがとうございました! はちの家さん いつも気にかけてくだ…
はちの家 @ お別れの言葉 ブログ(日記)は、毎日一定の質の文章を…
ミンミンぜみ @ ありがとうございました まめあちゃさん 温かいメッセージを…
まめあちゃ @ Re:お別れの言葉(07/26) 間の抜けた頃に、コメントさせて頂きます…
ミンミンぜみ @ Re[1]:お別れの言葉(07/26) 和1号さん こんばんは、コメントあり…

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