NO17 ゆうの 25年間の記録

コスモス


 辛く 長い入院と 手術が出来ない事に 胸を痛めていましたら、2月になり脳外科の先生から、また お話がありました。

「今度は、形成外科と一緒に なんとか ゆう君の手術をしたいのですが・・・但し、上手く行くかどうかは やってみないと分かりませんが・・・」と、

今の苦しみが、少しでも良くなればと、ゆうも私も 受ける事に決め 手術の承諾書に、サインをいたしました。


手術の内容は・・・

頭の後ろの 骨を外して、その骨を 形成外科の先生と一緒に、2枚に薄く切って、切り取った骨を パズルのように組み立て チタンのピンで留め、また 後頭部に戻して 脳と骨の間に、隙間を作るという 難しい手術でした。

ゆうの脳は 普通の人とは、全く違い 大きな血管を傷つけたら 大量に出血するので、ゆうと同じ血液型のスタッフをたくさん集めて準備が行われました。

昔は、親族の血液を輸血していましたが、その頃からは 術後の突然死が起こる可能性が高いとの事で、輸血は 他人からしか出来なくなっていました。

(今は、自分の血液を貯血といって、貯めてから手術を行うそうです)

今回の手術は、 今までとは違ったので、私の兄弟も「しいのみ学園」のM先生も駆けつけて下さって、そして・・・

元夫も ゆうの強い希望で、戻っていました。
(でも、入籍はしませんでした・・・何年後かの再び訪れる別れを予感していたのかも・・・うんうん!(^-^) )


待合室で、待っている間・・・一組、二組、三組、四組と・・・同じように、手術を待ってある 家族の方達が減っていく中、シーンと静まり返った時!

喪服の女性達10人ほどが、ぞろぞろと 手術室に入っていきました・・・
(なんじゃ~~嘘やろ~こんな時に、何で喪服着て手術室に 入らないかんと~~信じられんね~~何 考えとうと~~!)

何だか、病院関係者の方の葬儀に行く為に 手術室の看護師さんと待ち合わせをしていたようでした・・・
(しかし・・・頭来た~~~~! 場所を考え~~つうの・・・デリカシーつうもんは、ないんかいな~~ねぇ!)

一緒に、残ってあった 他の家族の人達も、(・o・) メガテン状態でしたよ~!

***************

午前中から始まった手術は、夜の7時まで掛かりました。

長い 長い 時間でした。

あまり 長く掛かるので、母が

「今度は、駄目な気がする」って、私は、

「何~言いようと~大丈夫って、もし駄目だったら 私はその方が良い だって、苦しまないで、死ねるからね。 でも・・・そんな気が全くせんけん、大丈夫だよ!」と、母を励まして いました。

(心の中では、真剣に 神様に願っていました。どうしても、連れていきたいのだったら、お願いだから 手術中にしてください!)と・・・

ガチャン~~~~!何回目かの、手術室のドアが開き・・・

ゆうが 長い手術に耐え・・・頭には、脳に溜まった血液を、外に出す細い管が2本入って、生まれて2度目の輸血をしながら、手術室から出てきました。

顔色は青白かったものの、Vサインをしながら 直ぐにエレベーターで NCUに 入っていきました。

先生の話では、
「手術は何とか 上手くいきました。今晩 出血が多く無ければ、大丈夫でしょう・・・今夜は、一応 病院に居てください。」と・・・

家族や、M先生は NCUに居る ゆうに会った後 家に送りました。

その夜は、3階のNCU近くには 他の患者さんの家族でいっぱいになって座るところも無く、階段の下に置いてある椅子に座り 懸命に祈ってました。

階段を、看護師さんが 下りてくる度にドキッとしながら、朝に成るのをまっていました。

が・・・元夫は・・・グーグー寝ていました・・・・・
(自分の子供が、生きるか 死ぬかちゅう時に まあ~よ~寝られるもんだよな~~~信じらんない~~!も~ばかちんが~)って、呆れちゃいましたよ。「(≧ロ≦) アイヤー



朝方の4時ごろ、看護師さんが呼びに来られました・・・
「ゆう君が、お母さんに会いたがっていますから おいでください」って

急いでNCUに入り 消毒をして服を着替え、案内されて ゆうのベットに 近づくと、ゆうが手を伸ばして来ました。

私は、その手をしっかりと握り締めながら、 頭の管から流れている出血の量を調べていました。

それほど、出血もしてなかったので、少しは安心しました。

ゆうは 思ったよりも 元気で 笑顔を見せてくれました。

これまでの、10回近い 手術の後は、必ずと言って良いほど 嘔吐に苦しんでいましたので(麻酔薬が、変わっている事に気が付きました・・・いつもの匂いが無くなっていました・・・独特の薬の匂いが・・・きっと、ゆうには今までの 麻酔薬が合わなかったのだろうな~)と 思いながらゆうの傍に1時間以上 付いていました。

それから 朝になると、状態が落ち着いていたので、ゆうがNCUが嫌いな事を知ってある 主治医の先生の計らいで 一般病棟の個室に 移ることができました。

これで、ずーっと傍に居られるのが嬉しくて ゆうとピースサインをし合って喜びました。

でも・・・この喜びは、3日と続きませんでした。


                   明日へとつづく

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