いらっしゃいMY ROOMへ

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母へ・・・・

おかあちゃん、ごめんな。
いつも思い出す、おかあちゃんの顔は病気の時の顔。
胸が苦しくなる。

ごめんな、おかあちゃんが死ぬ時そばにおらんかって。
まさか、おかあちゃんが死ぬなんて思わんかったから。
肺炎にかかってるって聞いたけど、「大丈夫やろ」って勝手に思って海水浴なんか行った私。
あの日の朝、おとうちゃんから電話で「心臓が止まった」って聞いて、それでもおかあちゃんは死ぬわけないって思った。

病院に着いて冷たくなったおかあちゃんを見た時初めてわかった。
ごめんな、おかあちゃん。





ごめんな、おかあちゃん。
おかあちゃんが病気になった時、「親より子供の方が大事や」「死にそうな親より風邪引いてる子供の方が大事や」って言うた。
違う。そんなことない。
今思っても、しゃーないやんな。

おかあちゃんが病院のベットの上で、私を見ようとしなかったのが悲しかった。
変わり果てたおかあちゃんを見るのがイヤやった。

病院にも行かんかった。
子供連れで大変やから、っていうのもあったけど、子供を病院に連れて行って、他の患者さんに触られるのがイヤやった。
とんとんは、まだ赤ちゃんやったな。
看護婦さんに連れられた女の人が、赤ちゃんのとんとんを「抱かせて欲しい」って言うたから、抱かせてあげたら返してくれなかった。
怖かった。
そんな病院に入ってるおかあちゃんも怖くなった。





でも、でも、おかあちゃんを病気にしたんは、私かもしれん。
鬱病は”がんばらせてはいけない””責めない”なのに・・・・
とんとんを出産する時に「がんばってもらわな、さるさるのこと頼まれへんやん」「おかあちゃんしか頼まれへんし」って言うたよな。
それから鬱病がひどくなってからも「しっかりしてや!」「死にたかったら誰にも迷惑かけんとしてや」「がんばらな」って言うたよな。
いっぱいおかあちゃんを責めた。

私がおかあちゃんを殺したんかもしれんな。
ごめんな。

それやのに、おかあちゃんに甘えたい私がいる。
勝手やね。
ワガママやね。


でも、ひとつだけうれしかった。
おかあちゃんが寝たきりになって、意思の疎通もできひんようになってから、それでも辛そうなおかあちゃんを見て何が言いたいかわかったよ。
背中が痛かったんやろ。
わかったやろ。
看護婦さん呼んで体位変えてもらったら、おかあちゃんの顔落ち着いたもんな。
あれだけは誰にもわからんかったやろな。
それだけは私の誇りになったわ。




おかあちゃん、なんぼ謝っても謝りきれんわ。
ごめんな・・・・おかあちゃん。



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