備忘録その 8 . Weingut Immich Batterieberg
マインツでラインヘッセンワインの試飲を午後 3
時に終えた後、町中で軽く昼食をとってからモーゼルに移動し、イミッヒ・バッテリーベルク醸造所を訪れた。もともと予定にはなかったのだが、醸造責任者のゲルノート・コルマンが、たぶん私がフェイスブックにアップした写真に気づいたのだろう。モーゼルに来るなら立ち寄らないか、と親切にメッセージをくれた。醸造所に着いたのは夜 7
時すぎだったが、まだ空は明るかった。

無精髭を伸ばした彼は、週末に醸造所で開催される新酒試飲会の準備で大忙しそうだった。そこにはアルト・アディジェからエリザベッタ・フォラドリ、キャンティからイスティネ、ラインヘッセンからグンダーロッホ醸造所がゲスト参加するという。さらにスチュアート・ピゴットによる新刊の朗読、バッハのゴールドベルク変奏曲のピアノ演奏会、そしてドイツポップのライヴと盛りだくさんの二日間だそうだ。

昨年 4 月に訪れた時に試飲した 2013 年産に比べると、今回の 2014 年産は一層クリアで繊細になっていた。 2013 では飲み下した時に若干喉にひっかかるものがあったが、 2014 の余韻ではそういうことはなかった。すっきりとして、ほっそりとして、アルコール濃度も 9.8% からと控えめで、多くは完全発酵した辛口で ( 樹齢 100 年以上というツェップヴィンゲルトは残糖 12g/ℓ で発酵が止まってしまった ) 、シトラスやリンゴ、グースベリー系の上品な果実味が心地よい。ヘクタールあたりの収穫量は 20hℓ と言っていた。使い古したバリック樽で、野生酵母で発酵するので、軽くても深みと落ち着きがある。こういうワインなら毎日でも飲みたいと、 1 年と 4 ヵ月ぶりにモーゼルに戻ってしみじみと思った。

その翌日の夜、ゲルノートが勧めてくれたレストランで彼とばったり合い、同じテーブルを囲んだ。一人ではなく、新酒試飲会に出展するキャンティの女性醸造家とイタリア人ソムリエ、ゲルノートの友人で、フランケンでワインを作り始めた会社員とゲルノートの彼女、それにスペインからバッテリーベルクに研修に来ている女性醸造家の卵と、 15
年前にスイスから来てモーゼルでワインを作り始めたダニエル・フォレンヴァイダーといった面子だった。

テーブルを移るとき、昔トリーア大学で日本語の非常勤講師をしていた時お世話になった学部事務室のゲルゲンさんが、同僚と食事をしていて、思いがけない再会にお互い驚いた。彼女はその昔、学生有志で葡萄畑の世話をする同好会を立ち上げて、州営醸造所の葡萄畑の一角を借り、年に数回、 30
人あまりの参加者達で一緒に葡萄農家の気分を味わったものである。相変わらずお元気そうでよかった。
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