2017 10 月 ドイツ出張備忘録 6. Weingut Lehnert Veit

ピースポートのモーゼル河岸にある醸造所。庭からは、黄色く色づき始めた対岸のブドウ畑の斜面が見渡せた。訪れたのは 10
月 7
日だったが、収穫作業の最終日だという。

「こんなに早い収穫は前代未聞だ」と、 64 歳のエリッヒ・レーナート。 15 歳の時からワイン造りをしているという。 8 月 27 日にフリーブルグンダーから初めて一段落してから休暇に行き、 9 月上旬の雨でブドウが傷み始めたので 9 月 13 日に戻って来た。 14 日に収穫作業者が到着し、 15 日から収穫本番。約 30% のブドウに貴腐菌が繁殖し、毎日ブドウ畑にバケツを二つ持って入り、えり分けながら収穫したそうだ。

「 2000
年代はじめは毎年良年になって、気候変動は良いことだと考えられたが、今は極端な天候が増えている。天気がよいだけでなく、極端に暑かったり寒かったり、雨が続いたり日照りが続いたり。気象観測は 1880
年からだが、今年 3
月は観測史上始まって以来の高温で、 7
月は降水量が史上最多だった」と、エリッヒの息子ペーター・レーナート。それでも、気候変動はまだメリットが大きい。ザールでは 70
年代に比べると、果汁糖度は 15
エクスレ高く、酸度は 2g/
ℓ少ないという。転換点は 1988
年だった。それ以来気温は上昇し、ラインガウの観測所によれば、平均気温は 1988
以来 1.5
度上昇している。
ペーターは言う。「南向き急斜面は、夏に非常に暑くなっている。 20
年後はどうなるだろう。品種をカベルネソーヴィニヨンなどに変更するのか、気温の高い地域に適した品種に植え替えることになるのか、まだわからない」と。「今年はブドウの葉をとらなかった。房に陽光が多く当たると、果皮にタンニンが多く出来るので弱冠の苦みがワインに出る。過去 2, 3
年は葉を取り去った。完全に取り去ると、病気はそれほどひろがらないが、果実味を失い、モーゼルらしいフレッシュ感が損なわれてしまう」。

ペーターの父エリッヒは、モーゼルのピノ・ノワール栽培の草分け的存在でもある。 1936 年から 1986 年まで、モーゼルで赤ワイン用ブドウの栽培は禁止されていた。エリッヒはいち早くピノ・ノワールの栽培醸造に取り組んだが、モーゼルでは誰も醸造手法を知らなかったので試行錯誤の連続だったそうだ。一方ペーターは 2009 年、ニュージーランドのワイパラにあるペガサスベイワイナリーで半年働いた経験を持つ。また、カナダ人の知人がボンの近郊でピノ・ノワールを造っていて、 Whatsapp やフェイスブックに栽培醸造状況を報告しており、そこで情報交換するのはとても楽しいという。

2017
年の夏、花崗岩のタンクを導入した。容量 1000
ℓ。値段は 50,000Euro
もするが、輸送量と 60
本 /
年のワインと引き換えに無料で使わせてもらっている。同じくモーゼルのシュミトゲスも花崗岩のタンクを既に導入していて、さらに 2
基買い足したそうだ。花崗岩のタンクで醸造すると、ステンレスタンクや木樽よりも短期間でワインが澄むという。
その日収穫したリースリングを、花崗岩のタンクで醸造すると言っていたが、その後どうなっただろう。

(つづく)
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