そういちの平庵∞ceeport∞

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病者の祈り他



大事をなそうとして
 力を与えてほしいと神に求めたのに
 慎み深く従順であるようにと
 弱さを授かった

 より偉大なことができるようにと
 健康を求めたのに
 より良きことができるようにと
 病弱を与えられた

 幸せになろうとして
 富を求めたのに
 賢明であるようにと
 貧困を授かった

 世の人々の賞賛を得ようとして
 権力を求めたのに
 神の前にひざまずくようにと
 弱さを授かった

 求めたものは
 一つとして与えられなかったが
 願いはすべて聞きとどけられた

 神の意に添わぬ者であるにもかかわらず
 心の中の言い表せない祈りは
 すべてかなえられた

 私はあらゆる人の中で
 もっとも豊かに祝福されたのだ


「雲の上」

たった一つの地球なのに
いろんな文明がひしめき合い
寄ってたかって血染めにしては
つまらぬ灰などをふりまいているのだが
自分の意志に逆らってまでも
自滅を企てるのが文明なのか
なにしろ数ある国なので
もしも一つの地球に異議があるならば
国の数でもなくする仕組みの
はだかみたいな普遍の思想を発明し
あめりかでもなければ
それんでもない
にっぽんでもなければどこでもなくて
どこの国もが互に肌をすり寄せて
地球を抱いて生きるのだ
なにしろ地球がたった一つなのだ
もしも生きるには邪魔なほど
数ある国に異議があるならば
生きる道を拓くのが文明で
地球に替わるそれぞれの自然を発明し
夜ともなれば月や星みたいに
あれがにっぽん
それがそれん
こっちがあめりかという風にだ
宇宙のどこからでも指さされては
まばたきしたり
照ったりするのだ
いかにも宇宙の主みたいなことを云い
かれはそこで腰をあげたのだが
もういちど下をのぞいてから
かぶった灰をはたきながら
雲を踏んで行ったのだ

山之内貘 : 著 : 「山之口貘詩文集」 : 講談社文芸文庫

友達

困った時、助けてくれたり
自分の事のように心配して
相談に乗ってくれる
そんな友人が欲しい
馬鹿野郎、
友達が欲しかったら
困った時助けてやり
相談に乗り
心配してやる事だ
そして相手に何も期待しない事
それが友人を作る秘訣だ

祥伝社 : ビートたけし詩集 : 「僕は馬鹿になった。」

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