心の成長

貧しい世の中


日本の平成十五年度の自殺者数は三万五千人を越えていました。
それは計算すると、一日約百人、約十五分に一人の人間が自ら命を絶っている事になります。
福知山脱線事故が毎日起きているのと同じだけの命が、毎日亡くなっているのです。

オゾン層には穴が空き、温暖化によって世界各地で激しい異常気象が起こり、南極の氷が解けた為に島が沈んで住民達は行き場に迷い、川や海は汚されて魚達は住処を失い、1400万種類いたといわれる動物が一年間に四万種、一時間に四種も絶滅し、一年間に日本の本州の半分もの面積が砂漠化しています。
そうした環境の変化だけで、毎年十五万人もの人間が死んでいます。
世界中で増え続けるテロや紛争や貧困、これらによって多くの人間が死んでいます。
その数は何百万人とも、何千万人とも言われております。
一言で何百万人、何千万人と言ってしまえば簡単です。
しかしそこには何百万人分、何千万人分もの真実の人間ドラマがあり、彼等も我等と同様に、もしも生きる事が可能であったのならば生きたかったのです。
一瞬にして全く無関係の人々が命を奪われ、乳飲み子は一欠片のパンが無い為に産まれたばかりで死んでいき、爆弾によって瓦礫の山となった自分の家を掘り返して、両親や子供を必死に探し続けるこれらの惨劇。
国内に目を向ければ、子供までもがその幼き小さな手を血で濡らしてしまい、学校では火災や地震の時とは別に、不審者が侵入してきた時に備えて避難訓練を行い、防犯ブザーを持たなければ子供達は登下校できない有り様です。
街中にカメラが張り巡らされて、家族が殺し合う保険金殺人は続き、卑劣な詐欺事件は当然となり、女性は鍵を厳重に掛けなければ眠れず、ドラッグは蔓延し、少女が体を売り、児童虐待は増え、ストーカー、鬱病、ニート、リストカット、ひきこもり・・・

「昔は良かった」
「昔ならそんな事で苦しむ必要はなかった」
「昔はもっと人と人が自然な形で密接に接していた」
と昔を善く見て、今を悪く見る傾向はいつの時代でもあるものです。
しかし今の此の発展した日本を見て、そして世界を見て、もしもその様に私達が想うのならば、それは此の日本にも、そして世界にも、紛れも無く『優しい心』が足りないからではないでしょうか?
『優しい心』が足りないが為に、私達がその様に感じているのならば、やるべき事は一つ、世の中に『優しい心』を増やし、此の日本を、そして世界を真に豊かにする事のはずです。
かつてインドの聖女マザー・テレサは、日本を訪れた時、こう言ったそうです。
「日本は貧しい国です」
誰もがこの言葉に驚き、耳を疑うかもしれません。
なぜなら現在の日本は世界でも有数の経済の大国だからです。
それなに私達の国は「貧しい国」と彼女に言われてしまいました。
そしてマザーはこう言葉を付け足します。
「日本は心の貧しい国です。
 みんな忙し過ぎて『優しい心』を忘れている様に見えます。
 こんなに豊かであるのに、なぜ道で倒れている人に声を掛けないのですか?
 どんなに豊かであっても、心が貧しければそれは本当の豊かさではありません。
 私はこの豊かで美しい日本で、大きな心の貧困を見ました」
確かに彼女の言う様に、私達の国は、経済の大国ではあっても、心の大国では無い様です。
ならば経済も、心も大国と言われる様な、そんな国と成る様に、私達一人一人の人間がやらなければならない事があるはずです。
そうして一つ一つの国が真に豊かに成っていく事で、世界も豊かに成っていくのではないでしょうか?
世界を豊かにする為に、
自分と同じ赤い血の通った人々の為に、
そして此の日本の為に、
貴方は今日、何をしますか?

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