地上では 赤ん坊編

地上では 赤ん坊編
また同じ頃、ある家では二十歳くらいの女が溜め息をついていた。女の前にはピンクの生地に花柄がプリントされた乳母車があった。乳母車には赤ん坊が乗っていた。赤ん坊はその女の子供であるようだ。女は赤子を見つめ溜め息をつき、赤子は母親を見るでもなく遠くを見つめ、ただただばぶぅとつぶやくだけだった。この親子はどこか違う、と女の家に遊びに来ていたシノは思った。

「本当に不思議な子ねぇ。心なしか気味も悪いし‥」

と女は溜め息まじりに呟いた。シノは丁度この二人はどこか違うと思っていたところだったので、心を見透かされたのかと一瞬焦ったが気を取り直して質問した。

「何が不思議なの?そうかな、普通に見えるけど」

後半は心にもない発言であった。女は躊躇っていた。話してしまおうか、やめておこうか悩んでいるようだったが、話したいという気持ちが強かったようだ。

「これ、見てくれる?」

そういって取り出したのは、赤く輝くビー玉くらいの大きさの玉であった。大きさはビー玉でも輝きはビー玉よりも数万倍美しく、深い赤色が印象的だった。

「これね、この子が生まれた時‥」

女はそこで一息ついた。

「この子が手に握っていたの。」


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