ナラティヴ ひとり語り

ナラティヴ ひとり語り

本、ナルニア国ものがたり


『カスピアン王子のつのぶえ』
『朝びらき丸 東の海へ』
『銀のいす』
『馬と少年』
『魔術師のおい』
『さいごの戦い』        C.S.ルイス=作(岩波少年文庫)

 C・S・ルイスの『ナルニア国ものがたり』というと、キリスト教信仰に基づいて描かれた長編ファンタジーとして有名だが、その第1巻『ライオンと魔女』が映画化されると聞き、原作を読んでみた。
 私達はどのようにして信じるに至るのだろう。若い頃の私自身は、キリスト教の神が信じるに足るものなのかどうか論理的に考えようとしていたように思う。ルイスは論理的に考えることを否定しない。衣装だんすの中からふしぎな国へ行ったと言う妹ルーシィを心配した兄弟達が学者先生に相談する場面で、学者先生に、論理的に考えてみようと言わせて、ルーシィは本当のことを言っているという結論を導きださせている。
 信じてもらえないのは悲しいことだ。信じることが出来ないのはもっと悲しいことだ。子ども達は物語を読みながら、そのような感情体験をすることだろう。そして大人になって論理的な思考を超えて神に出会っていった時、ナルニア国の中ですでに出会っていたことに気づくだろう。
 この物語は7巻の『さいごの戦い』を除いて、途中の一冊だけでも読むことができる。5巻の『馬と少年』は、貧しい漁師の息子シャスタが旅の途上でアスランと出会っていくお話だが、子ども達に一冊だけプレゼントするとしたら、私はこの5巻を選ぶだろう。独りぼっちだと思える人生の途上で、常に伴っていてくださる方がおられるということを子ども達が思い出してくれることを願って。
 幼い頃にこんな物語を読み聞かせてもらった子どもは幸せだろうと思う。1巻だけでも良いかもしれない。その後は、3年生4年生になるにつれて自分で読み進めていけるだろう。
 『ライオンと魔女』から始まり『さいごの戦い』で終わるこの壮大なファンタジーは、多くの子ども達が神を信じて生き、神を信じて帰ることを願った作者、C.S.ルイスの信仰告白に他ならないと思うのだ。

(この文章は、日本キリスト教会『福音時報2006年2月号』に掲載されたものを加筆修正したものです)

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