りらっくママの日々

りらっくママの日々

2009年04月25日
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カテゴリ: オレとボク
今日の日記


アイツとオレ23」



今までは、サキとは平日の午後会うこともあったけど、
サキが就職したことで、
会える時間が、かなり減った。

入社式があったと言う夜、電話がかかってきた。

「もう、眠たくて。
社長やら、役員の話は長いし。
スライド上映が始まった時は、結構みんな寝てたよ~。」

「え?!寝ていいのかよ?」

「うん。真っ暗になっちゃって、レーザーポインターで会社の業績を説明してたの。
もう、その赤い光を見てたら…。
寝て下さい!って言ってるようなもんよ~。
で、明るくなったら、みんな何事もなかったかのように起きるの。
学校の授業じゃないのにね!」

オレたちは笑った。
サキは、そんな話をいくつかして、明日も早いから、と、電話を切る。

オレはまだ春休みだったので、
アオヤンから借りたゲームソフトの続きをした。

どうしても、コレを攻略したい!
って思っても、手詰まりになり、結局翌日アオヤンに助けを求めた。


サキに仕事の話を聞いてるせいか、
無駄な時間が妙にありがたいことのように思えた。
無駄なことに没頭できるのも、今だけのように思えた。


サキは、新しい環境に慣れることが大変らしいのに、
オレへの連絡はマメにしてきた。

新人歓迎会、職場の雰囲気、仕事の勉強、
週末に会った時の話題さえも、職場日記のように、自分のことばかりだった。

「今、販売研修だよ。
2年、販売の現場を経験したら、内勤にならないと、
うちの職場は落ちこぼれってレッテルが貼られちゃうの…。」

よくわからない話に、オレは適当に相槌を打った。
サキは、周りで働く人間の個人名を使って話をするので、
大体、どんな職場で働いているのかがわかった。

上司は男、職場は女性8割、男性2割。
女ばかりで気楽だが、
上司が信頼を置いている先輩の女がキツい人間らしい。

が、
毎回毎回、そんな話ばかりされるので、
オレとしては、少々うんざりしていた。
うまくアドバイスできる訳じゃないし、
その都度、サキが言う。

「そうよね。こんな話しても、シンちゃんにはわからないもんね…。」

そりゃあそうだ。
あっちは、現場で働いてるかもしれないけど、
こっちは、慣れた授業に、バンドにゲーム。

共通の話題はバイトの仲間の話位だ。
サキから見たら、オレはバカな子供に見えるのかもしれない。

仕事の深い話になったら、相手になれる訳がない。

置いてけぼりをくった、子供のような気分になる。
同時に、

あと二年すれば、追いつくんだ…

自分にそう言い聞かせる。


授業が減ってきたことと、
サキに会えない分、暇になったオレは、
バイトとバンドの活動、それ以外は、アオヤンとツルむことが多くなった。

今日はアオヤンがうちに来て、酒を飲みながらゲームをしていた。

「そういうの聞くとさ、何か見下されてるみたいで、時々ムカつくんだよな。」

「先に社会人になると、女って偉そうだよね。」
コントローラーを捌きながら、アオヤンが相槌を打つ。

オレは、ついアオヤンにグチる。
アオヤンも、同窓会で会った同級生の女に、何か言われたらしい。

「ほら、あっちからしたら、オレらより二つ以上うえの奴等と同期な訳だよ。
で、その同期とタメ口きいてんだってよ。

今まで先輩として接してたのに、
何か、新人研修だかで仲良くなって、年上と思って話してないとか何とか。

そしたら、オレら、同級生なんか、
遊びまくってて、子供に見えて、いいな~!
とか、言うんだよ。

あ~、あと二年すりゃあ同じ立場になるのに、
結局、そう言う女の後輩になるんだよ?

今までの上下関係が無くなるんだよ。会社ってヤツは。」

オレはウップンがたまってるのか、アオヤンに一気にまくしたてた。

「そっか…。大変だね。社会人かぁ~。
ボク、想像するのヤダな…。」

アオヤンは、楽々と、ゲームクリアーをして、
コントローラを置く。

「アオヤンは、先生になるんだろ?教職取るって言ってたじゃん。」

「取るけど、なれるかはわからないよ。
とりあえず、取っておくだけだからね。」

「あ~あ、オレも、なりたかったなぁ~、先生。」

「え?赤木くん、先生になりたかったの?」

「なりたかったけど、今の学部じゃ、嫌だよ。
好きなこと勉強すれば良かった。」

「それで、学校やめようとしたんだ?」

「まあ、それもあるけど…。たいした理由でも無いしな。
何かやりたい事が、なくなっただけだよ。」

アオヤンは、酒を一口飲むと感慨深く言った。

「そうか~。こんなにいっしょにいたのに、
その話聞いたの初めてだったね。」

「くだらない理由だよ。」

「そんなことないよ。大事じゃん、そういうの。」

オレは、今までのことを、ぼんやりと振り返った。
アオヤンも、何か次の言葉を考えているようだった。

「迷うよ。…やっぱり。
何か、ちょっと決めたことが、将来、具体的になっていく時期だと思うし。
ボクだって、何が役に立つかわからないから、
こうして、いろんな単位とってるだけだよ。」

「オレはオマエがいなかったら、あの大学にいねーし、ここにいねーよ。」

「おせっかいだった、かな?」

「それは無い。…てか、今はありがたいよ。」

アオヤンは照れ臭そうに笑った。
オレも。

大学に入った頃には、こんな状況が待ってるなんて、
全く想像していなかった。

日常に、劇的な変化なんて無い。

だけど、

未来は、

一日一日、自分で積み重ねていくものなんだな…。

オレは、
ツマミをかじりながら、
アオヤンの見事なゲーム捌きを眺めていた。


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最終更新日  2010年03月27日 16時20分42秒
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