りらっくママの日々

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2010年04月19日
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カテゴリ: ある女の話:サキ
今日の日記


昨日の日記
(映画「のだめカンタービレ(前編)」の感想☆)





女物であろう傘を見て迷う。

まるで心理テストやクイズ番組みたいに。

 A.この傘誰の?って聞いてみる

 B.見なかったことにする

とりあえず傘からサッと目を背け、
Bを選んで前の景色を見る。

カズユキは気付いて無い。



さあ、どっち?

さあ、どっち?

Bでいいの?ファイナルアンサー?


車はカズユキのアパートの前に着いた。

降りて部屋の前まで来る。

「あのさ…」

「ん?」

カズユキは鍵で部屋を開けた。

「うわっ!暑っ!」

急いで中に入ってクーラーを入れている。

私は玄関でその様子を見ている。



「ああ…うん…」

カズユキは冷蔵庫を開けてビールを出した。

「あ~、うまっ!」

車だったから飲むのを我慢してたらしい。

私は、とりあえずベッドに座った。



「うん…あの…傘さ…」

「え?傘?
あ!ああ~!
ヨシザワの。こないだ送ったから。」

ずっと迷って、ようやく言った言葉に、
カズユキは、何てこと無いように言う。

「何?そんなの気にしてたの?
サキって、ヤキモチ焼きだな。」

私は、そうかな?って思う。

フツーは、気にしないものなのかな?
私がヤキモチ焼きな女なのかな?

カズユキはテレビをつけて服を脱いで、Tシャツとパンツだけになった。
そしてビールを飲みながら、テレビを見て、あははって笑ってる。

私の気持ちなんて、
きっとどーでもイイんだろうな。

それに、もうビールを飲んだってことは、
私を送る気なんて無いってことだよね。

何だか腹がたってきた。

「やっぱり今日は帰るね。」

「え?何で?」

「終電なくなっちゃうし。寮の門限に間に合わないし。」

「泊まればいいじゃん。」

「…」

「怒ってんの?ヨシザワ送ったこと?」

「怒って無いけど」

「怒ってんじゃん。」

「そうじゃ無くて…
言い訳とか説明とか、どうしてこっちが聞かなくても言ってくれないの?
何でこっちがいつも聞かないといけなくて、
どうして責める形になっちゃうの?
だから何だか疑ってるみたいになっちゃうのに。
それがホントに嫌なのに。」

カズユキは私の言葉を私の顔をじっと見て聞いていた。
それから、ようやく聞き終わったかのような間を置いて言葉を出した。

「ああ…
うん…何て言うかさ…」

ああもう!
歯切れ悪いっ!
何かホントに腹が立ってきた。

「だってほら…、別にさ、友達だしさ。
傘忘れてったなんて思ってなかったんだよ。ホント。
ホント何でも無いし。」

カズユキは残念そうな顔をして言った。

信じてもらえてないんだ?
って顔。

そんな顔をされると何も言えなくなる。

「うん…
うん、わかった。」

何でも無いんだろうけど…
それは、わかってるんだけど…

「うん…
ホント、なんでも無いから…。」

カズユキはつぶやくように言って、またテレビを見始めた。

何もなかったかのような空気を作ってるような気がするので、
私は仕方なく、隣にちょっと間を開けて座った。

その距離が私とカズユキの距離のように感じる。

さっき飲み会で赤木くんと隣同士だった時と同じ距離なのに…。

赤木くんなら…

彼女とケンカした時にどうするのかな?

さっきみたいに手を繋いでくれる?

私の左手が、

何だか淋しそうに見えた。




(続く)

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最終更新日  2010年04月19日 19時51分49秒
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