りらっくママの日々

りらっくママの日々

2010年07月29日
XML
カテゴリ: ある女の話:サキ



実家に帰ると、兄が彼女を連れてきていたのでビックリした。
私が帰るのを待っていたらしい。

みんなで母が作った正月料理をつまみ、
四畳半の元兄の部屋で、兄と彼女が泊まることになった。
私は姉といっしょだった六畳の自分の部屋で眠ることに。

川の字に布団を敷くけど3人だと一気に部屋の狭さを感じる。
クゥが「狭い~、ママと二人がいい~」
って、言ったことに、つい腹が立つ。

女の子は口が達者になるとは聞いてたけど、3歳でもうこの調子だなんて。


それだけなら子供だから仕方無いって思えるけど、
姉がそんなことを言うクゥに対して一切叱ることをしないで、
仕方無いな~って感じの空気にますます腹がたってくる。

家の中は姪のクゥ中心に動いていた。
何かと言うと、
「クゥが寝てるから、いっしょにさっさと寝てよ」
とか、
「クゥちゃんが食べたいものにしようね。」
って感じ。
テレビは幼児向け番組の録画に占領され、食べる以外にすることも無く、
勘弁してほしい…って感じだった。


多分、それが一番私の心にひっかかってたんだろうと思う。

兄と兄の彼女はクゥをカワイイね、と調子づかせ、
お年玉を与えたりするので、大学生の私は、しまったと思った。
クゥから、おねだりのまなざしを向けられると、
こんな時だけカワイイ顔をしてみせるクゥが可愛く思えなくなった。


そう言った私に、姉は「何それ?」って、冷たい眼差しを向けて、
クゥはそんな母親から何かを感じ取ったのか、
いかにも可愛がってくれる兄たちのところに懐きだした。

家に居場所が無く、
地元の友達に連絡を取るためにメールを送れば、
「ゴメン!今彼と旅行中なの~♪」
とか、
「えー!帰ってきてるの?これからマーくんと初詣だよ☆
明後日なら空いてるのに~!
それとも明日、彼に友達連れてきてもらって会う?」
って返事が来た。

そんなの気を使うし、いらない。

誰かいるだろうとアテにしていた友達たちにも結局会えず、
私は何しに帰ってきたんだろう?

赤木くんと、あのまま帰らないで過ごせば良かった…。

心の中でつぶやいても後の祭りで、
明後日の昼にはそっちに着けそうってメールを赤木くんに出した。

返事が来ない。
寝てるのかもしれない。

夜中、真ん中で寝ているクゥの寝相は悪く、パンチされて起きた。

兄が帰ってこなければ、私は兄の部屋で、ゆっくり一人で眠れたんだろうな…。
いや、そうじゃ無い。
姉が嫁ぎ先で上手くいってれば、ここに姉親子が泊まることもなかったから、
私は自分の部屋で安らかに眠れたのに。

そんなことを思い、姉のダンナにパンチした。
ちゃんと娘の教育しろよ!って、姉の横っ面をひっぱたいた。
クゥは寝てると天使のようだった。
どうやら私も寝ていたらしい。

翌日の昼間に兄と彼女は、今住んでいる街へ帰って行った。
彼女の地元に兄の働く会社の基盤がある。
兄はこのまま彼女と結婚して、家のある街に戻ってくることは無さそうな話をしていた。

私も今大学がある街で就職を決めようと思っている話をした。

もしも、前彼のカズユキとずっと付き合っていて、結婚することがあれば、
絶対、家の近くとまでは言えなくても、側で暮らすだろうって思っていた。

だけど、赤木くんとこのまま付き合って行くなら、
私もここには戻らないだろうと思った。

姉は本腰を入れて、離婚して家に帰ってくる気でいるらしい。
親もそれを受け入れている。

「私も明日の朝出るから。」
そう言ったら、
「そうか~、試験ガンバれよ~。」
と、クゥをヒザに乗せて嬉しそうにしていた父が言った。

母と姉は「気をつけて帰りなね~」と言い、
じゃあ、明日はみんなで初詣に行って、オモチャ屋さんにでも行こうか。
なんて話をしだした。

クゥは私を見ようともしなかった。


私の居場所は、やっぱり無くなっちゃったんだな…。

遠くなっていく街の風景を電車の中で見ながら、
何だか悲しい気持ちになっていた。

これで付き合ってる男もいなかったりしたら、
一人暮らしでグレてそうな気がした。

待ち合わせをした駅の本屋で立ち読みをしている赤木くんをみつけた。
彼をみつけただけで、今までの憂鬱が吹き飛んだから不思議。

もういっか。私には赤木くんがいるんだし!

肩を叩くと、赤木くんが振り返った。

「ただいま」
「お帰り。」

赤木くんが私の頭をポンと軽くなでた。
当然みたいに私の荷物を手から取った。

「車で来たから、とりあえず出よっか。」

荷物と反対側の手で、私の手を握る。
胸がキュンと鳴った気がした。

あ~、帰ってきて良かった!

手の暖かさに、私は泣き出しそうになっていた。
迷子にでもなっていた気がした。
けど、堪えた。

駅ビルの駐車場に止めてあった車は、
初めて二人で話すことになったバーベキューで乗ったものだと思った。
何だか懐かしい。

「どうだった?家。」

「もー!聞いてよ!腹が立つ~!」

「聞くけどさ…」

赤木くんの顔が近付いてきて、唇が私の唇を塞いだ。

顔が離れると、抱きしめた腕と反対側の手で頭を撫でてくれた。

「あ~、早く会いたかった。マジで。」

「うん…」

「で?何怒ってんの?」

「忘れた…」

「何だよソレ~!」

「ううん、たいした話じゃ無いんだけどね~」

赤木くんは笑って、私の実家での話を運転しながら聞いていた。
私は怒ってたはずなのに、なぜか笑い話を話してるような気分になっていた。

家よりも落ち着く。


こうしてみんな家に帰らなくなっていくのかな…

そんなことをふと思った。


続く

前の話を読む

サキ1:目次





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2011年02月22日 23時32分01秒
コメント(2) | コメントを書く
[ある女の話:サキ] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

プロフィール

りらっくままハッシー!^o^

りらっくままハッシー!^o^

カレンダー

コメント新着

りらっくままハッシー!^o^ @ Re[2]:アカデミー賞授賞式(03/11) ゆうけんのままさんへ 一年ぶりになってし…

バックナンバー

2026年08月

キーワードサーチ

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: