RED STONE 増殖☆寄生日記

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January 21, 2007
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カテゴリ: 小説




 神聖都市アウグスタ、その名の通り聖職者が多く住み、中央の広場のすぐ北には荘厳な大聖堂がそびえている。全ての建物は白い石造りで、赤い宝石のようなものがひとつ埋まっている。街全体が整然とし、厳格なまでの落ち着きがある。

 ワインにするためなのか、街の東には背の低いブドウの木の畑が広がっている。

 クエストを授ける女性、ロビンは大聖堂の奥、こげ茶色と薄茶色の装飾と十字架が特徴的な石のオブジェがたくさん立ち並ぶ場所に立っていた。赤みがかった茶色の髪、大きく胸がはだけたドレスを着ている。

地図26.jpg



「あなたは・・・目に魔法を掛けていますね。ならばあなたもその本を必要としているのでしょう。」

「!」

 私が声をかける前に話しかけてきた。

「私の目・・・どうしてそれを・・・。」

 確かに、私はさっき目に魔法をかける薬を塗ってきたばかりだ。しかしその本というのは何のことだろう。

「ところで、『その本』と言うのは?」

 ロビンはさみしそうな様子で微笑み、こう答えた。

「クラフトヒストリー・・・その本を読むものは自分が行ったことのないダンジョンの内部が解ってしまいます。しかし、たやすく手に入れた知識ほど恐ろしい物はありません。結局スマグ図書館はそれを禁書と決め、封印しました。しかしある日襲撃を受け、盗難されたのです。その本がこれ以上、人の手に渡ってはなりません。・・・私を助けてくださいませんか?」

 確かにダンジョン内の構造が分かれば、冒険者にとって非常に有利になるだろう。そしてそれがひとたび悪い人間に渡れば、その知識が悪用されてしまうかもしれない。

「私はその本を取り戻そうと奴らを追いました。しかし道中で地崩れに巻き込まれて、眼鏡を無くしてしまったのです。私は眼鏡なしでは人の顔もろくに見えません。身動きが取れないのです。」

「それはお気の毒に・・・。私で出来る事ならお手伝いいたします。どうすれば良いですか?」

「ありがとうございます。お願いをしておいて申し訳ありませんが、この仕事を請けてもらうのには一つ条件があります。」

「条件?」

「これからあなたに魔法で呪いを1つ掛けます。その本を見つけてもその内容を受け入れないという魔法です。しかし私のところに戻って来ましたらその呪いを解いてあげましょう。どうでしょう、それでも引き受けてもらえますか?」

 何故こんな条件をつけるのだろうか・・・。

 そうか、彼女は私がその本を手に入れたら、そのまま持ち逃げしてしまうのではないかと心配しているんだ。魔法都市スマグの図書館が禁書にするほど大事で危険な本なのだ。その上、私は初対面。信用しろという方が無理な話だろう。

「はい。分かりました。」

 彼女は白く細長い指を私の目の上にかざした。ブツブツと何か唱えると、目が一瞬熱くなったような気がした。

「これでさっき話した魔法が懸かりました。その本はある集団の手によって路上強盗団アジトの2階に保管されています。そこは麻薬中毒者と強盗たちが住んでいて、とても危険な所です。やつらはX会議員という化け物にその品を守らせているはずです。X会議員を倒し、その本を私に持ってきて下さい。」

「はい。行って来ます。」





 路上強盗団のアジトは古都ブルネンシュティグの東、東プラトン街道/道の中間地点にある池のほとりに存在する。アジトに近づくほどスリや強盗が増えるのですぐに分かる。

 木でできた建物の二階に登ると、ローグやグレムリンが多くうろつく広間を見つけた。その中に酔っ払ったようによたよた歩く、小太りのモンスターを見つけた。これがおそらく『X会議員』だろう。

 攻撃を仕掛けると、弱々しい声で命乞いをしてきた。

「ア~、もう、これは私のじゃなくって奥さんのものだってば~~。」

 こんなのがクラフトヒストリーを本当に保管しているのだろうかと思えるほどあっけなく倒れ、ロビンの言っていた本らしきものを見つけた。

 禁書となるような貴重なものだから、表紙が豪奢な装飾で飾られた分厚い本をイメージしていたのだが、破れほころびた地図を何枚か重ねてただ留めてあるだけといった薄いみすぼらしい本だった。

 広げて見てみたい衝動に駆られたが、ロビンの魔法もかかっているし、何より彼女の信用を得たくてそのまま荷物の中に入れた。





 アウグスタに戻ると、同じ姿勢のままロビンが立ち尽くしていた。

「戻りましたか。約束通りその本を渡して下さい。私の魔力で本物かどうかを鑑別できますから。」

「はい。ここにあります。」

「本物のクラフトヒストリーに間違いありません。冒険者達は嘘つきで、信用ならないと思いましたが・・・これで上に面白い報告書が書けますね。」

 報告書?何のことだろう・・・。彼女は本当に自分が取りにいけないから私に頼んだだけなのだろうか。ひょっとしたら他に真の目的を持っているのかもしれない。

 ・・・やめよう。私はこの称号が必要で、そのために必要な仕事をしただけ。それ以外、私の関知するところではないはずだ。

「それでは、あなたが見せてくれた本当の勇気に応えます。」

 私の目の上に指を置き、二言三言呪文を唱えた。

「ご覧下さい。そうすればあなたにもこの本の魔力がかかり、さまざまな戦いで有利となることでしょう。」

 茶色く変色した紙をめくると、この世界にあるすべての場所の地図が載っていた。パラパラと目を通しただけなのに、その知識が脳に深く浸透していくようだった。

 次の地図製作レベル5。それを手に入れたら、世界はどんな風に見えるのだろうか。





つづき

 まだまだ続く悪寒 ^^;






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Last updated  August 22, 2009 01:28:32 AM
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