にしわき眼科クリニック。

にしわき眼科クリニック。

2012.10.09
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カテゴリ: 外来診療一般
 瀬戸内眼科コロシアム、続いてのセッションは「緑内障領域」でした。最近、検査機器の進歩で早期発見が出来るようになったこともあり緑内障の患者様が激増しています。その意味で、眼科専門医として緑内障治療に長けることは今や必須の状況となっています。

 このセッションでは、まず「緑内障と診断されると約半数の患者様は失明を意識する」ことが説明されました。そのため我々眼科専門医は、すでに精神的に詰まっている患者様をより追い込むような説明を安易にしてはならないということが強調されていました。

 具体的には早期の緑内障の患者様には、「緑内障は失明する病気ですから絶対に点眼を忘れずにしてください。」ではなく、「早めに緑内障が見つかってよかったですね。点眼はあなたの神経を守るための貯金ですよ。」と説明したほうが治療に対するモチベーションが上がること、また、進行してしまった緑内障の患者様には「どうしてこんなに悪くなるまで眼科に来なかったのですか?」ではなく、「両目で見ているとなかなか視野の異常は分かりにくいですよね。まだ残っている視野を残すために積極的に治療していきましょう。」というように、気持ちを傷つけないように日々の診療に当らなくてはならないことが説明されました。私も今までも気をつけているつもりでしたが、これから更に意識して緑内障の患者様が前向きに治療に向き合っていける、その手助けができるように頑張りたいと気持ちを新たにしました。

 また、患者様の治療へのモチベーションを上げるためには、点眼で眼圧が下がればきちんと誉めてあげることが大切であること、日常生活で困ったことが無いか(階段の上り下りは大丈夫か?など)を尋ね、視野の状況に応じて適切なアドバイスをすることが肝要であることも強調されていました。

 次に緑内障診察の実際については、隅角(ぐうかく:目の中の水の出口のこと)検査をしっかりすることの必要性が説明されました。そして目の中の炎症に続発するセカンダリー緑内障に注意すること、炎症のある緑内障ではステロイド+ピバレフリンやアイファガンなどのフレア(炎症)を抑える点眼を使用するのがポイント、という話も印象に残りました。

 また、新薬のアイファガンは、

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 2歳未満は禁忌(めまい、頭痛、傾眠などの神経障害がある)なこと、またトラフが低いので注意が必要なこと、現在緑内障薬物治療で第一選択薬のPG(プロスタグランジン)製剤の中で、シェアナンバーワンのキサラタンから一番効果の強いルミガンにスイッチすると60%の患者様にDUDE(デューズ)という目の周りが窪む合併症が出ること、などの緑内障の最新豆知識も勉強になりました。

 そして最後に、緑内障薬物治療は一人ひとりの患者様に一番合う目薬を探してできるだけ眼圧を下げることで視野を維持していけるよう、「テーラーメイド」の治療を目指すべきであることが強調されました。

 現在では緑内障の目薬は様々な系統のものがあり、新薬もどんどん登場しています。私はその全ての薬の薬理作用、長所、短所、防腐剤濃度を完全に把握してかつそれを暗記し、目の前の患者様に合わせて最適解を瞬時に判断できるように常に心掛けています。






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最終更新日  2012.10.09 20:29:37


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