にしわき眼科クリニック。

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2012.10.24
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カテゴリ: 外来診療一般

 さて今日は「瀬戸内眼科コロシアム2012」参戦記の続きです。

 9月23日(日)最初のプログラムは「コンタクトレンズ・アレルギー領域」でした。

 この中で一番印象に残ったのは、この数年でカラーコンタクトレンズ(以下カラコン)による眼の障害が激増しているという話でした。昨年のコンタクトレンズによる眼の障害の半分以上がカラコンによるものだったそうです。

 カラコンは以前は「おもちゃ」扱いで販売されていたのですが、2009年のカラコンに対する薬事法改正で逆に焼け太りの結果となり、2011年以降書類審査のみで劣悪な品質のものもガンガン承認されるようになりました。その結果、医師の処方箋無しに合法的にネットやドンキホーテなどの大型ディスカウントショップで販売されるようになっています。

 カラコンには大きく分けて2種類あり、1つは一般の眼科クリニックで処方するジョンソン&ジョンソン社の「ワンデーアキュビュー ディファイン」のような酸素透過性が高く安全性の高い(グループ4 高含水イオン性)タイプ、もう1つが2011年以降に承認されたキャンディマジック、ラバーズカラーなどの酸素透過性が低かったりレンズの作り方が雑だったりと安全性にリスクのある(グループ1 低含水イオン性)タイプとなります。

 ところが我々眼科専門医が処方させて頂けるような前者のタイプは、「デザインが地味で目力が大幅にはアップしない」ので不人気なんですね。後者の新承認のレンズはデザインが派手でカワイイのでどんどんシェアが上がっているのが現状なのです。具体的には以下のような商品群ですね。

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 今回のプログラムでは、「女子中学生の3種の神器」が紹介されていました。それは、「スマホ、つけま(つけまつげ)、カラコン」で、講演された先生は都会の繁華街で開業されていることから実地に女子中学生に調査したところ、カラコンは、「ドンキで買ってるよ。」、「目医者なんて行ったこと無いよ。」、「カラコンで眼が痛くなっても、目医者に行くと怒られるから絶対行かないよ。気合で治すよ。」とのことでちょっと唖然としたとのことでした。

 またこの講演された先生は、素晴らしいことに若い女性が大量に働く飲食施設(分かりやすく言うとキャバクラ)でも、崇高な私財を投じて実地調査を行い、その結果、働く女性の「4人に3人」が新承認のカラコンを使用していること、その購入の際に眼科を受診された方は0%!だった、という貴重なデータを発表されていました。そして、これらの独自調査の結果から「2020年には球面レンズを使用している女性の80%はカラコンを使用している状況になるだろう。」という予想をされていました。

 このように新承認のデザインの優れたカラコンは、

1. 10代の年齢層の構成比が極めて高い。

2. 中学生からの使用開始が多い。

3. 大型ディスカウントストアやインターネットでの購入が多い。

 という特徴があり、またその販売・管理に我々眼科専門医がほとんどタッチ出来ていないことから、眼の障害が起こっても治療できない、もしくは重症になってから眼科に駆け込んでくるという問題点が指摘されていました。

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 そして、カラコンを使用している患者様との接点は「トラブル発生時のみ」であることを十分に認識して、

1. カラコントラブルの患者様に決して怒ったりしてはならない。治療させて頂ける唯一の機会と考えて、優しくかつ全身全霊をかけて治療にあたることが必要である。

2. 新基準のカラコンは酸素透過性が極度に低かったり、酷いものになるとレンズの内側を綿棒でこすると色素が取れたり、と品質に大きな差がある。しかも患者様はそのカラコンを説明書を全く読まず使用期限も守らず滅茶苦茶な使い方をしている場合も多いので、「最長でも使用は1ヶ月にしてくださいね。」など、最低限のガイドラインを示すようにする。

 ことが大切であると、提案されていました。

 このように「カラコン」を巡る状況は急激に変化しています。実際にドンキホーテに行くといつの間にかカラコンの販売売り場はどんどんと大きくなっていますし、都会ではゲームセンターの横にカラコン販売専門店が出来たりしています。我々眼科専門医は、今後カラコントラブルが激増することを前提として、角膜(黒目)感染症に関する知識を深めるべく全力で勉強していかなくてはならない、と気持ちを新たにしました。






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最終更新日  2012.10.24 17:39:41


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