「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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G3 (柾) 【Dark Past!】
日常編 (柾) 【Dark Past!】
「僕の友人の友人の話なんですけどね。
なんでもその男、幸せな新婚ライフを謳歌しているかと思いきや、とある女性に浮気の愉しさを教え込まれてしまったんですって。
それからは、人が変わったみたいに浮気三昧。二股、三股、ある時はそれ以上の女性と情事を興じているそうで」
「……ひどい話だな。天罰でも下ればいいのに」
「柾さん、浮気の証拠を掴む方法って知ってます?」
「どうするんだ?」
「現場を押さえればいいんです」
「単純明快だが、身も蓋もない」
*
額。頬。首筋。鎖骨。手先。背中。太股。愛撫の場所を増やし、唇を這わす位置を変えるたび、彼女は肢体を丸め、「くすぐったいよ」と笑う。
「くすぐらせたいわけじゃないんだが」
「だって、くすぐったいんだもん」
ごめんね柾さん、と微笑む。
「ココはくすぐったくないから。柾さんの期待に応えてあげられるよ?」
そう言うと、顔を近付け唇を重ねた。始めは僕が彼女を組み敷いていたのに、気付けば彼女の方が馬乗りになっていた。いつの間に?
「……逆」
「え……?」
体の位置を入れ替える。それだけでイニシアチブが取れてしまうのだから不思議だ。
僕を見上げる瞳孔が見開かれていく。余裕をなくしつつあるのか、顔を強張らせて。
『大丈夫だから』。心の中で呟く。そんなに怖がらなくても大丈夫だから。優しくするから。だから委ねて欲しい。
でも僕には気紛れなところもあるから。口先では違うことを言って、翻弄してしまうかもしれない。例えばほら、こんな風に。
「覚悟してね」
僕は片方の掌で彼女の視界を遮るように両目を覆い、耳元で囁く。
キミの身に振りかかるであろう、これからの未来。快楽の度合い。
覚悟してね。
*
「直ー。直ー? いないのー?」
朝陽が昇り始めたばかりの時刻。
ぺたん、ぺたんと素足で廊下と部屋を行き来する足音が聴こえて来る。それは遠ざかったり、近付いたりしている。
やがて、「直ー。……あぁ、やっぱり寝室だったのね」と、独り言めいた小声。
覚醒し切れていない頭で整理する。今日は世間で言うところの祝日。それが珍しく自分の休みと重なった。
時刻は7時を過ぎたばかり。
見慣れた景色は自分のマンションのもので、僕はベッドに横たわっている。隣りには部下。彼女は裸。それは自分も同じ。当然ながら事後。
そして、こんな非常識な時間に訪ねて来た上、無断侵入を試みた人物は姉の涙無だった。祝日? 呪日の間違いじゃないか?
「……ありゃ。ごめんねー」
ベッドを上から覗き込んできた涙無は苦笑い。
せめて、この子は起こさないようにしないと。
そう思っていると、気配で違和を感じたのだろう。一夜を共にした彼女が上半身を起こした。寝ぼけ眼を手でごしごしと擦り、あふ……と小さな欠伸。
「ん……柾さん?」と小首を傾げるも、視界には見慣れぬ女性が「やっほー」と手を振っている姿が入ったのだろう。「誰!?」と警戒心を剥き出した。
七面倒臭い展開だ。これが女性同士の修羅場なら、まだよかったかもしれない。今のように、親族に見られることほど厄介なものはない。
「ごめんなさいねぇ、野暮なことしちゃって。ちょっと弟に挨拶をと思って立ち寄ったんだけどー」
目の前にいるのが僕の姉と知った彼女の行動は早かった。
あんぐりと口を開けると、ベッドから這い出し――その途中で「わきゃ!」と躓き――床に散らばった服を掻き集める。
それらを素早く身に着けると、「あの、えーっと、また後で。って言うかえぇっと、……さよなら!」。玄関から退場した。
「……ありゃりゃ。テンパらせちゃった。悪いことしちゃったなー」
「確信犯だろ」
「あんた結婚したばかりなのに何してんの? 結婚後即別居?」
「単身赴任と言って欲しい」
「奥方と同じ市内に住んでおきながら単身赴任って説得力ないわよ」
「別にいいだろ……。それより1年半振りに顔を見せたな。何の用だ?」
「ぶらりと気ままに一時帰国。小春姉にあんたの住所聞いて、合鍵借りたの」
「帰ってくれ」
「驚かせようと思って極秘帰国した私を邪険に扱うつもり? 直ってば冷たいわ」
「今日は用事があるんだ」
「さっきの子とデート?」
「あの子は……。……いいだろ、別に」
「よくない。こんなのいいワケない。でも、あんたに何言っても無駄だって事は幼少期からとくと知ってるから諭すのはやめたの。
それよりお腹空いちゃった。何か作ってよ」
「嫌だ。何で僕が……」
「勝手に台所借りるのは申し訳ないしー」
「勝手に鍵を借りるのは申し訳なくないのか?」
「あははー、これはお姉様1本取られたわー。ま、いいから作ってよ」
「……部屋から出てってくれ」
「ちょっとー。この期に及んで追い出す気ー? フライト8時間だったのよー?」
「……下着」
「にゃ?」
「……だから、せめて下着ぐらい穿かせてくれ」
「あっははー。これはこれは! 気付いてあげらんなくて、メンゴ・メンゴ!」
涙無はカラカラと笑うと部屋から出て行く。その途中で……見られた。床に落ちていたものを。
「いやん。直ってば、ポールスミスのローライズの黒ボクサー?」
「出てけ、変態」
*
「直ってば本当に用事があったのね。てっきり、その場凌ぎの嘘だと思ってたわ」
『私も行きたい』という我儘を許したのは、どうせ断わっても僕の後を付いて来ることが安易に予想できたからだった。
社宅マンションの隣りにある喫茶店が待ち合わせ場所だった。10時に来る予定だった2人は、聞けば予定より早く席に案内されていたと言う。
照れ臭そうに笑む少年に対し、少女の方は天真爛漫な笑顔を振りまいていた。
「直パパ、会いたかったー!」
「……援交?」
僕の隣りで呟いた涙無のその言葉に、周囲にいた客たちの視線が僕目掛けて一斉に突き刺さる。
「人を勝手に犯罪者に仕立てるな。僕と絹の関係を知っているくせに」
戸籍上は僕の子供である2人。姉の絹に、弟の玄。彼らは僕の隣りに座る涙無をきょとんと見やる。
「えっと……直パパ。こちらの方は、新しい彼女さん?」
娘公認の浮気というのも情けない話だ。改めて、僕の行動が常軌を逸脱していると気付かされる。
ところで、僕の結婚話が持ち上がり、籍を入れてから今日までの間、涙無は日本を離れ、遠く欧州にいた。
だから子供たちと涙無は互いに今回が初めての対面となるわけで、絹が涙無を知らないのも無理からぬこと。
それにしたって、涙無が僕の『彼女』に見えるのには納得がいかない。
「こんな女と付き合う男がいたら教えて欲しいもんだ」
「これは早いトコ自己紹介しなきゃね。初めましてー。直の実姉の涙無よ」
恐らくは面識済みの長女恭子、次女小春と比べてしまったのだろう。三女の軽さ加減に絹は目を丸くしたようだった。
「あなたが涙無さんなんですね……! 初めまして。児玉絹と申します」
「絹ちゃんか。ってことはそっちが弟くんね。えっと、木綿くん?」
「……いいえ?」
にこりと笑って冗談を軽くいなす玄には同情する。
「いくらスミレでも、自分の腹を痛めて産んだ双子の名前を豆腐の種類にするわけないだろう」
「聞いてみなけりゃ分かんないじゃん?」
分からいでか。馬鹿め。
「初めまして。児玉玄です」
「シズカ君かー。イケメンだー。お姉さんの恋人になって欲しいなー。私、募集中なんだけど、どう?」
「涙無さんと俺は身内関係にあるわけですよね? 再婚相手の姉と付き合っていいものなのかな……? 倫理とか面倒なんで辞退しておきますね」
「振られちゃった。絹ちゃんは?」
「私?」
「絹ちゃんのような美人さんが私は大好物」
「あら、光栄ですわ。そうですね、ご縁があれば……そんな関係になるかも知れませんわね?」
「絹ちゃん、気に入ったわー! 大丈夫、玄君も好きよ」
光栄です、と玄は苦笑する。
それにしても、末恐ろしいのは絹の懐の深さだ。博愛主義な性格が恋愛に発展しかねない危うさを含んでいる。これは釘を刺しておくべきだろう。
「絹のその言葉は社交辞令だって、父さんは信じているからな」
「なっ……直パパー! シズカ君、聞いた!? 『父さん』だって! 直パパが自分のこと『父さん』って言ったの、初めて聞いたー!」
「……ははぁ~。なんとなく分かったわ、絹ちゃんの性格」
「えぇ、分かりやすいでしょう? 絹は、柾さん至上主義なんです」
玄の補足に、涙無は深く頷いた。
「なるほどね。それで、今日はどんな集まりなの?」
「絹が僕に伝えたいことがあるそうだ。……だろ? 絹」
絹に発言を促すと、さっきまでの上機嫌はどこに行ったのかと疑いたくなるほど眉尻を下げた。
「絹?」
「私、直パパと別れるのは嫌なの」
「……絹。僕には何を言っているのか」
さっぱり分からない。だから再度、問おうとした。だが僕が口を開くより、涙無によるポロシャツ胸倉掴みの方が早かった。
「あんたさー、どこまで手広く浮気してんの? よりにもよって奥さんの娘とデキてるって、ハ! そこまで性根が腐ってたなんてね。殴っていい?」
「誤解だ。確かに女子高生は守備範囲だが、付き合えるわけないだろう。戸籍上では僕の娘なんだぞ」
「絹ちゃんはただの『女子高生』じゃないわ! 美人女子高生よ! なのに付き合えないだとー!?」
「待て。その反論もおかしくないか? それにだ、もし他人同士で、こんな出逢いじゃなければ、僕だってこんな綺麗な子は放っておかない」
「ほらみなさい! あんたは天性のスケベなのよ!」
「あの……趣旨が、ずれてやいませんか?」
困惑気味に仲裁に入る玄の言葉に、僕と涙無は黙り込む。絹も複雑そうな顔で僕を見ていた。
「……大丈夫だ、絹。異性として見てはいないから」
我ながら最低レベルのフォローだと認識しつつ、これからも絹と親子関係を築いていくならば、その点だけははっきりさせておく必要があった。
「その点については私も大丈夫です。親子フィルターが存在していますし。それに『柾直近の娘』って、レア度では恋人より上よね、直パパ?」
レア度発言には苦笑せざるを得ない。なるほど、そんな考え方もあるのか。「それじゃあ」と涙無が尋ねる。
「さっきの『別れたくない』っていうのは、一体何の話?」
「直パパに離婚の相がハッキリ見えたんです。それで、思い留まるように進言したくて」
「待ってくれ。僕が離婚?」
「どういうこと? 直の浮気が奥さんにバレて、怒髪天ってコト?」
「直パパの素行を、母は既に知ってます。寧ろ、浮気を始めたのは母が先なので、直パパは被害者側なのですが……」
「えぇっ? そんな修羅場状態だったの? でも、離婚の相って? 『相』ってつまり、占いのことでしょ?」
「絹と玄は占い師顔負けの予言者だ」
「あー、そういえば電話で聞いた気がする。あんたの縁談にはそんな奇怪な話が付き纏ってたっけね。
奥さんがあんたを手に入れたがってた理由は『柾』の血筋云々が……だっけ?」
「はい。木霊遣いを生業としている児玉家には、柾姓がとても魅力的だったのです。
柾という漢字には木が入っていますでしょう? 正しく木を制するのは、児玉にとって……」
「ストップ。説明されても分かんないからいいや。ごめんね。
こういう言い方は酷かもしれないけど、要するに児玉菫さんは直の苗字が柾だったから結婚したがったのよね?
その我儘を押し通して直をゲットしたものの、愛があって籍を入れたわけではないから浮気を始めたってのはエゴよね?」
「直パパが離婚を考えても仕方ないと思います。でも私は、直パパには『パパ』のままでいて欲しい……」
「絹ちゃんの気持ちは分かるけどね……」
涙無は溜息。僕としても絹を悲しませたくなかったから、
「離婚は考えてないよ。せめて、君たちが成人するまではね」
言ってから気付く。失言に。どう見繕っても、最後の言葉は余計だった。
「そんな……期限付きだなんて」
「初婚の柾さんが、母さんの究極の我儘に付き合ってくれたんだ。それだけでも感謝しきれないのに、これ以上束縛なんてできないよ」
項垂れる絹に、隣りの玄が言い聞かせるようにゆっくりと話す。僕へのフォローのつもりなのだろう。その心遣いが有り難かった。
「そんなの、私だって勿論分かってるわ、玄くん。でも感情が追い付かないの」
「俺と絹が成人するまでに柾さんが心変わりして、居続けてくれているかもよ?」
「私の予言的中率を知っているでしょう? やけに楽観的ね、玄くん」
「俺だって、そんな予言が当たって欲しくないさ」
絹の的中率が高いからこそ、玄もそこで口を噤んでしまったのだろう。後を継いだのは涙無だった。
「2人が成人するまでは大丈夫だって直本人も言ってるし、玄君の言う通り、直だって考え直すかもよー?」
「……だといいのですけど」
「絹ちゃん、視た未来を捻じ曲げる能力ってないのかな? 回避能力みたいな。今からそういうのを養えばどうかな?」
オカルトめいたことなど何も知らないくせに、涙無は一丁前にぺらぺらと喋るが、どうせ思い付いた順に垂れ流しているだけのことだろう。
一方、絹は目から鱗だとばかりに、見る見る頬を上気させた。
「ただ視るだけではなく、回避できるように……? それなら直パパとの未来も安泰かも……!」
『大丈夫なのか?』と目で玄に問えば、『このまま黙って様子を見ましょう』とアイコンタクトが返ってきたので、黙秘を貫くことにした。
「絹ちゃんの未来も変わるかもねー」
「……え?」
「ん? え? 私、変なこと言った? 深い意味はなかったんだけど」
お前はいつも風変わりな発言しかしないだろう。何を今更のたまうか。
「まぁ何が一番望ましいかって、直が浮気をやめることなんだけどねー」
いきなり矛先が僕へと向き、その切っ先が胸に突き刺さる。
「直パパには、無理矢理スミレ……母が結婚を迫った経緯もあるので、浮気に走っても仕方ない部分もあると思うんですけれどね」
「そんな風に直を甘やかしたら駄目よ、玄君」
「浮気をやめたからと言って、僕の気持ちが菫に向くとは思えないが」
「……あんたね……、じゃあ何で結婚したのよ……」
「秘密」
言って、そっぽを向く。すると斜め前のテーブル通路側に座っていた他の客と目が合った。
友達と会話を楽しんでいたところ、ふと何気なく視線を動かしたら、そこには僕がいて、お互いに目が克ち合った――そんな何気ないタイミングだった。
年の頃は25前後。ショートボブの黒髪、揺れる両耳のピアス。微笑んでみた。彼女は周囲を見回して、それが自分に向けられたものだと気付き、はにかむ。
「ちょっと。聞いてるの、直?」
「浮気をやめろ、だろ。善処するよ」
話は終わったとばかりに僕は財布を取り出す。それが解散の合図だった。絹と玄は席を立ち、出口へ向かう。涙無もその後に続く。
請求書を掴むと、2枚の野口英世紙幣と1枚のカードを財布から引き抜いた。
ショートボブの彼女の横を通り過ぎる時、さり気なくテーブルの上にカードのみ滑らせる。
彼女が慌ててそのカードを掴むのを目の端で捕らえつつ、僕は歩く速度を落とすことなくレジへ向かう。
彼女の手に渡ったカード――僕の携帯番号が書かれた名刺――を彼女がどうするか、それは近い未来に分かるだろう。
僕の浮気癖が治るかどうかに関しては、遠い未来に委ねようと思う。
僕には気紛れなところもあるから。
口先では違うことを言って、翻弄してしまうかもしれない。例えばほら、こんな風に。
「もしもし、柾です。君は……けさ喫茶店で会った子か。電話をくれて嬉しいよ」
僕の身に振りかかるであろう、これからの未来。
覚悟なんて、まだ必要ないだろ?
2011.08.20
2020.02.19 改稿
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