「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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10話 【愛し抜く、と誓う】
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10話 (―) 【愛し抜く、と誓う】
___01.志貴迦琳side
体調を崩してから5日目の朝。2度ぶり返した熱は、今朝になってやっと平熱まで下がった。のどの違和感もなく、頭痛もしない。
時間だけはたっぷりあったから、寝ている時以外は色んなことを考えた(本当はもっと冷えた頭で考えるべきだったかもしれないけども)。
アルバイトとパートタイマーの諍いを中途半端に掻き乱した件は、結局どちらの力にもなれず、八方美人な性格が高じてどちらも敵に回してしまった。
『勤務中も頭の中を色欲で満たしている志貴さんの指示なんか受けたくないです』という恨み混じりの一言には深く傷付いた。
扱き下ろしにかかる言葉の数々に、心が疲れてしまった。
これ以上自分の殻が破れないように、繭から出ないように。全ては自分を守るため、心の籠城という手段を自ら選んだ。
でも結局は露見してしまい、チーフ会議に召喚されてしまった。
青柳チーフに告白した件。こちらは丸ごとなかったことにしたい。執拗に食い下がり、醜態を曝してしまった。
青柳チーフと自分を並べたら、ちぐはぐで滑稽なカップルの出来上がりだということは自身も認めるところだ。
そんなダブルパンチのやり取りを経て、不破君に愚痴をぶちまけてしまったこともある。
こんな腑抜けた女が先輩風を吹かしているなんて、世の中間違っているよね。いっそ勤続年数を返上したいぐらいだ。
こうして布団にくるまり、考えを巡らせていると、せっかく柾チーフから分けて貰った元気も目減りするようでいけない。
ふと、枕元で携帯電話が着信音が鳴った。もぞもぞと這い出て画面を確認する。着信1件、留守電再生。
流れて来たメッセージは青柳チーフの『志貴、俺だ。復帰した。不破から、今度はお前がダウンしたと聞いた。ゆっくり養生するように』という文言だった。
……復帰したんだ青柳チーフ。本当によかった。
大変な時に4日も穴を空けたりして、皆には悪いことをしてしまった。でも今日は復帰出来そうだ。居ても立ってもいられず、着替えて出掛ける準備をした。
会社を辞めたらどうなるだろうかと頭をよぎる日もあった。でも頑張れと励まされた。
ナーバスに考えたことも多かったけれど、不破君や柾チーフ、八女さんや由利さんの言葉に救われた。
今度こそ元気になった姿を見せないと、本当に叱られてしまう。
___02
叱責を受ける覚悟でいたものの、すれ違う人たちが私に向けるのは好奇の眼差しだった。
失恋した者を面白おかしく見るような見世物めいてはおらず、さながら遠巻きにゴシップの渦中を覗き見するような気配。
店長や食品副店長の元に行けば「話は青柳から聞いている」と先回りで言われてしまい、狐につままれる。
一体私の処遇はどうなっているのか。お咎めもなし、野放し放逐とはなにごとだろう? 腑に落ちずも私は事務所へと向かった。
机の上に総勘定元帳を広げ、2画面仕様のデュアルモニターには株価関連のグラフやチャート。それらを操る主に声を掛ける。
「おはようございます、千早事務長。あの……お話しがあるんですが」
首を上げ、私を見上げた千早事務長。眼鏡越しに視線が克ち合う。
「志貴さん! 体調はもう大丈夫?」
「はい、お陰様で」
「よかった。話というのは?」
「休んだ4日分ですけれど……」
「あぁ。有給休暇にするよう青柳君から言われたから、そのように処理したよ」
「チーフからですか?」
「彼はマイコプラズマ肺炎だったらしいが、君もか? 聞けば、一人暮らしの彼に差し入れをした際にうつってしまったとか」
どうなっているの? 私が青柳チーフを看病? なんの話? 青柳チーフの部屋に行ったこともなければ、接触した覚えもないのに。
「……いいえ。何だかお話が錯綜してるようです。現に、私はマイコプラズマではありませんでしたし……」
「ははぁ、では看病疲れでダウンしたのかな? 交際早々大変なようだが、まぁ、志貴さんなら公私ともども頑張れるだろう。応援してるよ」
微笑む千早事務長が見れて役得! いつもならそう思っただろう。でもそれどころじゃない。聞き逃せないフレーズを耳にした。
交際? 誰と、誰が?
疑問符だらけだ。これ以上ボロが出ないように、私は事務所からそそくさと撤退した。
___03
事務所、バックヤード、どちらにも青柳チーフはいない。売り場にいるのだろうか。
ふと声が近付いてきて、それが青柳チーフと不破君のものだと気付く。
「赤ん坊をカートのカゴに入れていたのを見て、他のお客さまから『汚いからやめさせろ』と苦情が来てな。
『赤ちゃんに値段はつけられないと思うので、カゴからお出し下さい』としか伝えられなかった」
「うわぁ、苦しいですね」
「俺がオブラートに包んで言えるのは、せいぜいこれぐらいだ」
「昨日は僕の方も大変でした。女性社員がサービスカウンターに迷子を連れて行ったんですって。
そうしたら、偶然居合わせた本部の人間が「彼女は誰だ?」なんて言い出してシンデレラ探しですよ。紳士陣は戦々恐々でした。
柾チーフは『千早じゃありませんように』。僕は『透子さんじゃありませんように』。ソマさんは『八女サンじゃありませんように』って」
「結局誰だったんだ?」
「驚かないでくださいね。馬渕さんです」
「………………嘘だろう?」
駄目だ。やり取りが終わるのを待っていたら日が暮れてしまう。意を決して進み出た。靴音に気付いた2人の男性が顔をあげ、私を見やる。
「志貴さん!」
驚いた不破君に対し、青柳チーフは面白いものを見たかのように口角をあげた。
「体調は治ったみたいだな。安心したよ。俺を看病した所為でダウンしたとあっては、彼氏失格だからな」
「……チーフ。これはなんの冗談ですか? 相当悪質なデマが流れているみたいですけど」
「デマ?」
「私がチーフと……付き合ってる? みたいな噂です。何がどうなってるんですか? ご存知なんでしょう?」
「事実だろう? 俺と志貴は付き合ってる。なぜなら俺はお前にベタ惚れで、何度断わられてもめげずに交際を申し込んだから。……だろ?」
「……楽しいですか? 人の恋心を土足で踏みにじって。馬鹿にしてるんですか?」
私に対応したのはチーフではなく不破君だった。「志貴さん、ちょっとこっちへ」と断わると、私を一番端まで連れていく。
そこはバックヤードの隅で、スイッチを付けなければどこに何があるのか分からないほど暗く、密談するには打って付けの場所。
不破君は念を入れるように周囲に気を配り、本当に人がいないかどうかを確認した。私もそれにならい、確認する。
チーフからも距離を取っている。感情的にならなければ、漏れ聞こえることもないだろう。
「青柳チーフは、過度な中傷から志貴さんを守るために噂を流したんです」
「……あのね不破君。何がつらいか分かる? たとえこれがごっこ遊びでも、嬉しいって思ってしまっている自分がいるの。馬鹿だよね、本当」
主導権を握っているのは青柳チーフ。惚れた弱みだから仕方がない。
「志貴さん……」
不破君はそれ以上何も言わなかった。私たちが戻るとチーフの姿はなかった。昼休憩に行ったんでしょうね、と不破君は呟いた。
___04
「志貴、ご飯食べに行かない?」
ドライの詰め所に八女さんが顔を出し、出し抜けにそう言った。青柳チーフに関する何かを伝えたがっているのだとすぐに分かった。
「私、今日は最終までなんですよ」
上がるのは21時になるだろう。かなり八女さんを待たせることになってしまう。
すると八女さんは部屋に入り、壁に留めてあった勤務計画表を確認しだした。
「あなた、明日は遅番なのね」
「そうです」
「仕事が終わったら、マンションの私の部屋に来て。ご飯作って待ってるわ。今夜はうちに泊って行けばいい。必要なものは私が用意しておくから」
「え!?」
「話したい気分でしょ? 顔がそう言ってる」
指摘されても「そうかな?」と首を捻らざるをえない。
お節介だと突っ撥ねることもできた。それが出来なかったのは、私を見る目が寂しそうだったからだ。
私を憐れんでいるのだろうか。同情しているのだろうか。
そうだったとしても、『志貴に声を掛けなければ』という衝動に駆られたのだけは間違いない。
それはきっとありがたいことなんだろう。見て見ぬフリだって出来たのに。八女さんはそうしないんだな。人を放っておけないんだ。
「分かりました。終わり次第伺います」
約束を取り付けたあとは、我武者羅に働いた。出来得る限り欠勤をした分を取り戻したい。
___05
「青柳は社内恋愛を心底イヤがっていたの。彼の言い回しは捻くれているけれど、少しでも気持ちを汲んでもらえたらって思う」
「分かってます。これでもずっと見てきましたから。でも偽りの演技はいつかばれます。メッキが剥がれてしまうのと同じで」
「青柳は筋書きを用意しているみたいよ。ほとぼりが冷めたらこう言うんですって。『志貴に振られたから別れたよ』って」
「どうしてそういうことを本人の口から直接聴かせて貰えないんでしょう? 八女さんも不破君も、私からしたら、立ちはだかる壁に見えてしまう」
「そうかもしれないわね。あなたからしたら私は青柳の近くにいる女という認識になってしまうんでしょうね。でも彼とは同期で友達というだけよ」
「チーフが守りたがっているのは部下としての志貴迦琳で、女としての志貴迦琳なんかじゃない。……居た堪れません」
「それでも青柳はあなたを守ろうとしているわ」
「……」
「青柳が上から目線なのは、あなたに嫌われようとしているからなのだし、きっと青柳はね、今頃気付いてる。
志貴が健気だってこと。本当に自分を好いてくれているんだってこと。誰よりも情熱的で、女性らしいってこと。
朴念仁だからねー、青柳は。鈍いし、認めたがらない。でも大丈夫よ。
『恋愛ゲームだ』なんて馬鹿みたいに格好付けてるけど、私には、翻弄されて本気にさせられてる青柳の姿が目に浮かぶの。
滑稽だけど新鮮で、そんな青柳を見るのも悪くないわ。今から言っちゃう。おめでとう、志貴」
「……呑気ですね、八女さんは」
「何言ってるのよ。これはチャンスよ。怖気付いちゃだめ。
例え恋人のフリだとしても、世間的には正真正銘『恋人』なんだから、何をしようが志貴の勝手よ? 自由だもの、既成事実だって作りたい放題」
こそっと囁く八女さんは魅惑的で、しかもその内容にもどきっとした。押しの一手ってこと?
「今は青柳が主導権を握っているけど、志貴にだって手綱を取る道はあるのよね。青柳ったら、そこんとこ分かってるのかしら?
いいえ、絶対気付いてないわね。あー、愉快!」
カクテル缶片手に、けたけたと笑う八女さんである。でもふと真顔になって、静かに言った。
「私は志貴を尊敬してる。真正面から青柳にぶつかったでしょう? 自分の気持ちを偽らずに最後まで言い切ったわよね。凄く偉いと思うの」
「自分のわがままを押し通しただけだとも言えますけどね」
八女さんは笑った。
「……幸せになれるといいわよね、志貴。ううん、志貴だけじゃない。千早も潮も私も。香椎も黛も馬渕も。……世の中の女性、全員!
恋に生きて、仕事に生きて、試練をくぐり抜けて……タフなんかじゃないのにね、女なんて。
脆くて、危うくて、寂しがりやで弱いのに、みんなみんな頑張ってる。歯を食い縛ってる。
でも水面下で一所懸命足を動かしている白鳥のように、その必死なサマは億尾にも出さない。
だってそれって美しくないでしょう? 時には見苦しいとさえ判断されてしまう。やるせないわよね。強くないのに無茶ばかりさせられて。
だから男性には守って貰わないといけないの。愛されないと寂しくて死んじゃう。そういう、儚くて美しいものだから」
「八女さん……」
「幸運を祈ってるわ。大丈夫、青柳とあなた、とてもお似合いよ? 自信を持って。もっと素直になればいいのよ。
好きって何回言ってもいい。減らないわ。何も減らない。プライドを捨てることにもならない。言い続けていいの。攻撃的じゃなく、無償の愛なら。
だってね、人を愛するって素敵なことだから。これからも包んであげてね、青柳のこと」
八女さんのセリフは、青柳チーフの気持ちを丸っきり無視している。
でもなぜだろう? するりと「はい」なんて言葉が滑り落ちたのは。頷いてみせたのは。
私でも頑張れる? これ以上の勇気を持てる? 自分を信じてもいいのだろうか。だとしたら賭けてみる価値は充分だ。
無理かもしれない、不釣り合いかもしれない、不相応かもしれない。そんなマイナスのイメージが、いつの間にか取っ払われてる。
恐れない。もう逃げない。足音を耳にしただけで踵を返していたあの日の私とは、もう違うから。
受け入れようと思う。自然体であろう。だって、愛にはきっと、見せかけの装飾、取り繕った見栄なんて似合わないだろうから。
「憑き物が落ちたみたい、っていうのは変かもしれないけど、好きって、こういうことなのかな……」
たどたどしい文を繋ぎ合わせてなんとか八女さんに説明すると、「そうよ!」と満面の笑みで応じてくれた。
大丈夫だ、と思った。
どんな結末になっても、もう大丈夫。天邪鬼には戻らない。
心に根差した蕾は開花したがってる。
___06.青柳幹久side
穏やかな顔付きになった志貴は物腰も柔らかくなり、陰でまことしやかに「これは恋が為せる業だ」と囁かれているのを俺は知っていた。
人の噂は75日というが、実際には2週間ほどで落ち着いた。順調な恋愛は、周囲を白けさせるらしい。つまり、これで作戦は成功したことになる。
それから3週間が経ち、4週間が経ち、1ヶ月が経った。その頃にはもう、疑う者もいなくなっていた。
だがこれは俺にとっては番狂わせな出来事でもあった。
仲違いをして別れなければならなかったのだ。それも、俺が嫌われる形で。志貴が俺を振る方法で。
それなのに志貴は、俺を見る眼差しをすっかり変えていた。以前は脅え、震えていた瞳も、今では慈しみが宿っている。
足音を聴きつけるなり逃げていたくせに、今では振り返って笑みを零す。
――憎しみ合えない。喧嘩など起こりようがない。
けしかけたこともあった。わざと喧嘩が起きるように仕向けて、怒り任せに別れの言葉を切り出させようとした。
だがそれも無駄だった。志貴は歩み寄ろうとした。分かり合える道を選ぼうと、真剣に思案しだした。
本当に変わったのだ。
そうなると俺も変わらざるを得なくなった。
だってそうだろう? 敵愾心のない女性を、頭ごなしに叱れるわけがない。
叱る回数が減る。怒鳴る回数が減る。猜疑心は霧消し、穏やかな時間が生まれる。他愛のない会話が増え、相槌が増える。
理解しあった先に友情が育まれ、尊敬しあう内に、それは愛情へと変わった。
自覚した俺は、志貴に言った『嘘』を撤回した。もはや俺の意固地など、生まれてしまった恋心にとっては邪魔なものでしかなかったから。
志貴は素直に受け入れた。「さようならですね」。彼女はそう言った。
「さようならだって? 俺にはそんなつもりはさらさらない。俺は嘘を撤回しただけであって、お前と別れるつもりはない」
「……どういう意味ですか?」
「『俺と志貴は付き合ってる。なぜなら俺はお前にベタ惚れで、何度断わられてもめげずに交際を申し込んだから』」
「その言葉は……」
「――嘘ではなくなったという話だ」
「嘘じゃなくなった……?」
「どの口がそれを言うんだと思うかもしれないが……」
志貴の髪に触れ、それを一房、耳に掛けてやる。思えば、これが彼女を女性として意識して触れた初めての行為。
今度は志貴の手が俺の手首を掴んだ。そのまま己の頬へと導く。彼女の赤い頬は武骨な手の平で撫でられ、それでも心地よさそうに目を瞑った。
「……続けて下さい」
彼女はゆっくりと目を開いた。その一言を告げる俺の顔を、一瞬でも見逃さないとでも言うように。
「俺はお前を大切に想う。何よりも、誰よりも愛おしいんだ。志貴」
「……ありがとうございます」
ふふっと笑った目尻から、つっと涙が伝った。
こうして、志貴迦琳は公私ともに俺のパートナーになった。
___07.志貴迦琳side
近付いて来る。一定のリズムで、足音が。
「誰か、志貴を見掛けなかったか?」
「いいえ、見てません」
行かなければ、早く。
「どこへ行ったんだ……? おい、志貴を知らないか?」
貴方が呼ぶ。だから私はそれに応える。
「お呼びですか、青柳チーフ」
「志貴」
チーフは私を振り返った。顔には微笑が浮かんでいる。優しげな薄鈍色の双眸が私を捕えた。
「来月、ドライの会合に出席することになった。このリストに載っている資料を揃えてくれないか? 上半期の売上レポートが肝となる」
A4用紙3枚に渡る内容を頭に叩き込み、青柳チーフに返却する。
「POSオペレーターに掛け合ってみましょう。上手くいけば協力を仰げるかもしれません。集計結果は私が毎日ファイルに綴って保管します」
「頼む」
「お任せください」
チーフの信頼を得るようになってから、ユナイソンネオナゴヤ店ドライ売り場は円滑にコミュニケーションが取れている。
チーム内の不和は取り除かれ、元の鞘に納まった。
今にして思えば、歯車を狂わせていたのは私のひん曲がった性格が大きな原因だった。
上司には天邪鬼な態度だったし、部下にはどっちつかずで頼りない姿を曝し続けていたもの。
頼られないのは当たり前の話で、それでもそんな私を見捨てずにいてくれたチーフや不破君たち、ユナイソンの仲間――。
それらは掛け替えのない、私の宝物だ。
交際は順調で、私たちは婚約を交わした。薬指の指輪が婚約指輪から結婚指輪になり、やがて身籠った私はユナイソンを円満退社した。
「振られたから辞めます、だっけ? あの時辞めていたら、今のお前はいなかったな」
幹久さんは、たまに過去の話を蒸し返しては私の頬を膨らませるようなことをわざと言う。
「いざとなったら女性は強いんです!」
こちらもわざと拗ねてみせる。
「そうだな、迦琳は強い。でも俺を置いて行かないでくれ。立つ瀬がなくなっちまう」
豊かになった腹部を優しく撫でる、未来のパパ。未来のママ。なんだかくすぐったい。自然と笑みが零れ、胸が切ない気持ちでいっぱいになった。
「勿論です、旦那さま」
私の両腕は、愛しいものを抱き締めるためにある。
私の目は、愛するものを最期まで見届けるために。
私の心、身体、魂、全てを使って愛し抜くわ。
だってほら、世界はこんなにも儚くて、でも逞しくて、美しいものだから。
貴方と歩む。どこまでも、行けるところまで。
それが、志貴迦琳の一生よ!
道はいつだって正せられるし、自分だって変えられる。
未来は変幻自在なんだと。そのことを教えてくれたのはユナイソンの仲間たちでした。本当にありがとう。
END.
2012.07.18
2025.12.25
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