のんきにお茶でも飲みながら

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2016年10月24日
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私の観劇ブログをひもとくと、 「ミス・サイゴン」 の記録は2008年8月にさかのぼる。
その前は2004年らしい。(←ブログはまだ書いていなかったがその代わり観劇記録をつけていた。)
2008年以降も公演はあったのに、行かなかった。
理由は分かっている。
どうしても、 水着姿の女性達のきわどいシーンが苦手 だからだ。
曲の素晴らしさや物語の深さは分かっていたのに、公演があるたびに「観ようかな」とは思うのだが、ま、いっか、と積極的になれなかった。
しかし、この夏、「ミス・サイゴン」の数曲を演奏する機会があり、 曲の素晴らしさを再認識 した。
CDを買ってみたが、自分の記憶がかなり前なので映像の再構築が所どころ不明瞭だ。
観劇しよう。今回は、積極的にこの名作を観劇しようと思ったのだ。

ミスサイゴン.JPG
太陽の中に黒で書かれているのは、劇中で重要な役割を果たす ヘリコプターがモチーフ だ。

帝劇前.JPG劇場入り口にもシーンのパネルがたくさん飾られている。

主要キャスト.JPG
主要キャスト。2008年の時は、 エンジニアが筧利夫さん キムが新妻聖子さん クリスが原田優一君 だった。
ちなみに2004年の時は エンジニアが市村正親さん キムが知念里奈さん クリスが石井一孝さん だったらしい。)
キムは、トリプルキャストだった 昆さん が声帯結節で降板、他の2人の負担が増えるだろうが頑張って欲しい。私も声帯結節を煩った後10年以上ソプラノの高音域が歌えなくなった。昆さん、早く良くなりますように。
香盤全部.JPG
アンサンブル含めて。

さて、今回のプリンシパルは エンジニア駒田一さん キムが笹本玲奈さん クリスが上野哲也さん
上野さんは初見・・・だと思う。

さすがに主要キャストは皆うまい!劇最初の方はまだ私の耳も慣れていないせいか苦しそうに聴こえるのだが、どんどん伸びやかな歌声になっていく。特に笹本玲奈さんにそう感じた。
もちろん、 上原さんはね 、もう圧巻の歌声の持ち主だから。(ポロシャツがあまり似合わないな・・・ボソッ:笑)ブイ・ドイでの伸びやかな歌声。いつ聴いても素晴らしい。

あまりにも昔の記憶との比較だが、今回は所どころで爆竹を使っていた。以前はなかったように思うが、なくても良いような。そして、1幕ラスト近く、トゥイを撃ってしまった後のキムの叫び、 以前は声を出さずその表情だけで演じていた。 まぁ、これはあった方が分かりやすいかもしれない。(特にCDでは。)でも、なかった時の方が 心の叫びがリアル に伝わってきた記憶がある。

ヘリコプターのシーンは面白い。・・・最初に観た時は、多分、CGはまだ使ってなかったと思う。
遠い記憶をたぐり寄せ、最後に観た時は・・・もうCGがあったと思う。ライトとスクリーンを使ってうまくヘリコプターを演出していた記憶がある。(ここの変拍子、慣れるまでは演奏大変なのさ。ボソッ。)
トゥイの亡霊からのこの回想シーンが好きだ。とにかく 音楽の切迫感 ときたら。(そりゃそうだ。4分の4からの8分の7拍子とかだもんな。ぼそっ。)そして去って行くヘリコプター、取り残された人々の声なき叫び。
この変拍子によく日本語をつけたと思う。

心が動くシーンはたくさんある。
G.I相手にバカ騒ぎしながらジジ、娼婦、キムが歌う 「我が心の夢」 の切なさ。
ベトコンに走った幼なじみで婚約者のトゥイ。いくらクリスを愛していても、殺すほど憎むことはできなかったトゥイを、 息子を守るために撃ち殺してしまったキムのどうしようもない心の叫び 。息子のタムには「見てはいけない、来ないで」と手で制しながらトゥイの体をさする、何か話しかけようとしても声にならない、そして絶叫。
2幕冒頭、ブイ・ドイ救済会議のスクリーンと男声合唱の美しさ。
思いがけず対面してしまったキムとエレン。
会いたくて会いたくてやっとその瞬間が来たのに、彼には妻がいた。息子の未来はどうなるのか。絶望の中で決心を固めるキム。キムの想いを正面からぶつけられ動揺し苦しむエレン。
ラスト、息子を託し命を絶つキム。
ここは、原作である プッチーニのオペラ「蝶々夫人」 と、同じくプッチーニの 「ラ・ボエーム」 のラストと同じである。

はっきり言おう。

クリス、一番悪いのはお前だ(ー_ー)

ジョン、お前もな(ー_ー)悔い改めてブイドイ救済の活動してもな、やったことは消えない。
しかし、 戦争の狂気の中で、誰を責めるべきか。
ベトナム戦争について詳しく調べたわけではないが、アメリカにもベトナムにも一市民レベルにおいて精神的に深い傷跡を残した。混血児を産んだことでキムは殺されていてもおかしくなかった。バンコクに逃げられたのは・・・ エンジニアのおかげである

ラストで、クリスが死んだキムを抱き絶叫している横で、タムはエレンに抱かれ、エンジニアはジョンに何か訴えかけて(おそらくビザをくれ、と。)ジョンに拒絶されている。

エンジニアは、ビザが欲しいためだけにこの親子を助けたのだろうか。
どうしようもないヤツだけど、彼には彼の物語がある。
駒田さんが演じたためだろうか、なんとなく、心の底に「仕方ねぇな、オレが助けなくちゃ」っていう気持ちが、本人も無自覚であったのではないか。
ま、でも 危険にさらされたら見捨てて真っ先に逃げる だろうけど(^^;)

クロード・ミシェル=シェーンベルクさま
何度も何度も歌詞を変えたりあるいはオケのみで出てくる美しいフレーズが、頭から離れない。

悲しい物語、これにこの音楽がつくからこそ、もっと深く心にしみる。いつも傷つくのは一般市民。でも、歴史は繰り返され戦争はなくならない。人間がいる限りきっと世界は変わらず戦い続ける。その中で、私たちは生きていく。・・・あ、いつか人工知能に人間がとって変わられるかもね。そしたら、戦争はなくなるかもね。ただし、人類も終わってるけど。(←我ながら怖っ!)








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最終更新日  2016年10月24日 18時39分42秒
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