一即多、多即一

一即多、多即一

パッション



 この映画の中でのキリストの受けた受難のすさまじいこと!普通ならまず耐えられないような激しい苦痛をキリストが受けます。
まず当時の祭司たちが、自分たちの地位がキリストのせいで危うくなるので、でっち上げの裁判をしてキリストを死刑にしようとします。

 そしてキリストは鞭打ちの刑に処されますがただの鞭だけでなく、先が鈎状になっていたり、金属が埋め込まれていたりして、皮が裂け肉が見えるほどになってしまいます。40回打たれたら死んでしまうので、39回までしか打たないとされていたようです。映画ではキリストの皮が裂け、肉が見えているところまではっきり描写しています。更に瀕死の状態のキリストに重い十字架を背負わせて、ゴルゴダの丘まで行かせるのです。ろくに十字架も背負えないほど弱っているキリストに対して、そばにいる兵士たちは、口汚くののしり、鞭で打ったりします。人間はここまで残酷になり、ひどい存在となれるのかと暗澹たる思いもします。

 そして、十字架にかけられるとき、手のひらとあしに釘を打たれます。神経を直接しげきしますから、ものすごい痛みです。更に十字架を立てるとき、全体重が釘で打たれた部分にかかり、ものすごい衝撃と痛みが走ります。罪人たちは皆十字架にかけられると、あまりの苦痛に兵士たちに呪いの言葉を吐くそうです。しかしキリストはその様なものたちに対しても、哀れみをかけ祈ります。

 わたしはキリストの神に対する信仰と、他の魂に対する愛にうたれました。キリストを題材とした映画は数多くありますが、ここまでキリストの受けた受難を生々しく表現した作品はありません。この作品を監督したメル・ギブソンは「精霊がこの作品を作らせた」というようなことを言ったそうですが、何人かの人も感想で言っていますが、普通の映画というものを超越したものとなっています。この作品を見たら誰でも大きな衝撃をうけることは間違いありません。

 わたしは好むにしろ好まないにしろ、キリスト教徒であろうとなかろうと、人類はこの作品を一度は見ておくべきだと思います。人間の残虐さ、それをも超える愛、神への信仰心、こういうものが安易な言葉を超えて、私たちにこの映画は訴えかけます。

 わたしも多くの映画を見てきましたが、映画を見て涙したことは今まで一度もありませんでした。どれほど感動的な作品や悲しい作品を見ても、泣いたことはなかったのです。しかし「パッション」を見て、涙を流すまでは行きませんでしたが、あまりの衝撃の大きさに、心の奥から打ち震え、涙がにじんできました。単なる感動というものとは違うものを私に与えました。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: