お空のあいちゃん

お空のあいちゃん

あいちゃんがお空に行った日



3時、約束の時間に病院に行きました。まだ先生はこられていなかったので、主人と2人、あいちゃんのそばでまつことにしました。いつものように、主人は看護師さんにあいちゃんの様子を聞きました。 看護師さんは“今はおちついていますけど”といって言葉をとめ、“先生からお話を聞きましたか?”と、少し間を置いてから私達に聞きました。“いや、まだです。これからですけど。なにかあったんですか?”という問いに、看護師さんは“ 先生から説明があると思いますので”といって口を閉じてしまいました。

看護師さんは、そのままあいちゃんのモニターをチェックしたり、様子を見たりしていました。そしてうっすらと目に涙をためていました。“じっと見ないでよ、涙がでてきちゃうじゃない。”と彼女は、この日のもう1人のあいちゃんの担当だった、あの男性の看護師さんに、話しているのが聞こえました。

私達はうっすら気が付いていました。 うっすらがはっきりになったのは、先生といっしょにカウンセラーの方が、いっしょに来た時でした。“あちらのお部屋にいきましょうか。”と言う先生wの言葉を聞いて、主人はあいちゃんの前から動かなくなりました。 あいちゃんを見て“どうしたんだよ?どうしちゃったんだよ?”と繰り返し繰り返しつぶやいていました。 目からは涙がこぼれていました。“あいちゃんの前では泣かないって約束したでしょう”と私は言ったけれど、私の目からも涙が流れていました。

手術の説明を受けたのと、同じ部屋に通されました。 主人と私、先生、看護師さん、それから、カウンセラーの方。 先生は、ゆっくり丁寧に優しい口調で説明をしてくれました。

この時私が理解できたのは、あいちゃんの脳に出血があるということ、血液中の酸性度が高く、薬の投与が常に必要だということ代謝異常がること。 そして、これ以上治療を続けても、助かることは、今の医学では不可能であること。 難しい言葉は分からなかったけど、あいちゃんの命を自由にしてあげる事しか、私達にはできないと言う事は、いたいほどわかりました。

私はしばらく声をあげて泣きました。 泣いてもどうしようもならないのはわかっていたけど、でも、声をあげてなきかした。 その声をきいてカウンセラーの人も、泣いていました。 主人の目からも涙が止めど無く流れていました。

私が少し落ち着くと、先生は“なにかご希望があれば、好きにしてかまいませんが?”言いました。 私は“服を着せてあげたいんです。”とお願いしました。主人は“外に出してあげたい。”とお願いしました。 私達の願いは受け入れてもらえました。 主人は家に服をとりに帰ることになりました。 私はあいちゃんのそばで待つ事にしました。

後から調べた事ですが、あいちゃんには4度の脳室内出血がありました。 ミトコンドリア脳筋症という先天性代謝異常症で、これによって、脳と筋肉が傷害され、脳内出血を起こしたようでした。

最後に先生は言いました。 “いまの彼女にとって、生きるということよりも、死んでいく過程のほうが、ずっとずっと楽なのです。”と...。



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