お空のあいちゃん

お空のあいちゃん

パパの腕のなかで



部屋に入る頃には、あいちゃんのしゃっくりの数は減っていました。減っているというより、しゃっくりとしゃっくりの間の間隔が長くなっていました。 私にはあいちゃんとのお別れの時間が近づいているのが分かりました。主人もきっと同じ気持ちだったのだと思います。“あいちゃん、ひっくひっくして。ひっくひっくってしてごらん”と話かけていました。

部屋に入ってからは、私はあいちゃんをあまり抱きませんでした。抱いていたい気持ちでいっぱいでしたが、主人にあいちゃんをたくさん抱かせてあげよう、と思っていました。 私は8ヶ月の間、あいちゃんと一緒でした。でも、主人は今やっとあいちゃんを抱く事ができたのです。

しばらくすると、あいちゃんはしゃっくりをしなくなりました。 私にはあいちゃんがもうここにはいないということがわかっていました。でも、それを主人に言う事はできませんでした。一生懸命にあいちゃんに話かけている主人の姿をじっとみてつめていました。そして、主人がやっと“先生をよんできて”という言葉を口にしたとき、私は部屋をでました。

先生がくると、心音をチェックしました。 そして静かにあいちゃんを主人の手から受け取りました。

私も主人もお互いの胸で、声をあげて泣きました。泣く事しかできませんでした。

2000年1月7日、午後7時30分。あいちゃんはパパの腕のなかで、静かに息をひきとりました。お空に旅立って行きました。


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