oyatitiの戯言

『 TO&TO』 SONGS


音源はカセットテープに録音されたものをWAVファイルでPCに取り込み、MP3に変換してアップロードしたものです。
24年前の1982年5月2日に当時、静岡市紺屋町にあったLM楽器専門店「すみや21」のレコーディングスタジオで本格的にレコーディングしたものです。

※著作権は放棄しておりません。
 無断リンクはお断りします。

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☆★ライナー・ノーツ★☆

♪Fuck'in Roll Night 



1982年3月作品
作詞:2トム-Y崎
作曲/編曲 ノブ・マンキ・F男・デンカ・2トム(TO&TO)

 まずはじめに断っておくが、作詞、作曲は高校生によるものである
70年代から80年代にかけてのハードロックシーンは華やかでディープ・パープルやレッド・ツェッペリン、マイケル・シェンカー・グループ、ホワイト・スネイク、キッスなどの有名バンドが台頭していた時代である。
我々の曲作りにも少なからずの影響を及ぼしていたのは事実であった。

 当時のロックの背景といえば「SEX」「CAR」「DRAG」の3本柱が主なものであった。
この曲の歌詞はズバリ「SEX」のことを歌っている。高校生の作詞にしては少々問題ありだが、「ロックの乗り」での「若気の至り」と言うことで勘弁していただこう。
内容はずいぶんとストレートな表現もあり今聞くと「恥ずかしい」の一語である。
バンドの中で一番年下の2トム(当時16歳)が曲に後付する形で歌詞を書いた。
しかしながら「王様」じゃないけれど「英訳」したらきっとカッコイイ、ハードロックにぴったりな歌詞になるのではないだろうか?

曲調はEmでややポップなミドルテンポ。
よく言われるのが「レイジー」の「♪ドリーマー」に雰囲気が似ているということだ。
曲作りはノブが原型のEmのギターリフを考えたところから始まった。
Em→D→Cという基本コード進行をマンキが決めてそれに2トムが歌詞メロディを乗せるというやり方で進んでいった。
マイナーコードをキーとすることでへヴィな雰囲気に仕上げたかったが、意図に反して出来上がった曲はかなりポップなものになった。
サビの部分のコード進行もマンキのアイディアでギターソロ前のリズムストップも単調なリズムに変化をつけるための工夫だった。

曲中の使用楽器だが、マンキはフライングVを、ノブはレスポールを目一杯のディストーションサウンドで鳴らしている。
F男のベースはアイバニーズの名器だ。
デンカのドラムスはスネアのみ自前のパール製。セットはスタジオ常備のYAMAHA製にジルジャンのシンバル。
当時、ライブでは一番人気の曲になっていた。
聴衆にはやはり「ポップな乗り」と「エッチな歌詞」がウケたようだ。(苦笑)

     written by Manki@oyatiti2 on Lead Guitar.

 しかし…すごいタイトル&歌詞だよな。高校生がこんなタイトルの曲でお行儀のいいYAMAHAの大会になんかエントリーしちゃいかんだろ(笑)。まあ、歌詞ははっきり言って「痛い」(笑)な。だが、それで「2トム」を責めるわけにはいかんだろうな。「心の傷の慰め」なのだから。

時代はちょうどNWOBHMな時期。ボクらが最も影響を受けていたのはブリティッシュ・ハードロックなわけで、断じてLAメタルとかアメリカン・ハードロックではなかった。

だが一方で、ボクらが崇拝していた Rainbow は丁度この頃、もっと広い市場へのアピールを目指してポップ化し始めた頃だったから、ボク個人のこの曲に対するコンセプトとしてはそんなあたりの影響が大きいと思う。

たとえば、いまとなっては珍しくも無いかもしれないが、ハードロックでありながら、あえてキックを4分打ちにしてみたり、Bメロのギターリフにシンクロしたハイハットのオープン&クローズなんかはかなり「キャッチー」さを意識してのことだ(と自画自賛)。

そういうところは上記のコンセプトに基づいて出てきているものだと解釈してほしい。

テイストとしては「これまでブリティッシュ・ハードの掟を頑なに守ってきました。でもちょっとだけ一般受けもしてみたい、というか、ボクらだってそういうことしたっていいと思うんです」という不器用さが漂っている感じ。

Rainbow の曲で言えば、ポップさを前面に出したアルバム、「Down To Earth」の中の曲ではなく、むしろ「Do You Close Your Eyes」みたいな位置付けではないか、と思うのだ。

決して後発のアメリカの産業ロックバンドのような「器用さ」を持ち合わせていないバンドが「やってしまった…」的な感触を感じてもらえるとイイと思う(ここ、笑うところです)。


     written by Denka on Drums.



♪Bluesy Bluesy Blues



1982年4月作品
作詞:2トム-Y崎
作曲/編曲 ノブ・マンキ・F男・デンカ・2トム(TO&TO)

 スローテンポのブルース風ロック。キーはAm。
前曲と同様に曲が先に出来上がり歌詞を2トムが後付けするという方法で出来上がった曲だ。
前半は静かにしっとりめに歌い上げている。ギターのリフとベースがユニゾンでへヴィな音を出している。
2フレーズ目まで静かに進行し、ボーカルもしっとりと歌い上げている。
ギターソロ前の2小節で2トムのボーカルがオクターブアップのシャウトに変わると曲調もさらにハードに変化している。
ギターソロはシンプルなブルーススケールで弾いている。リズムセクションもバックで盛り上げている。
ベースのピッキングの変化に気付いていただけたか?デンカのバスドラも「いつもより多めに踏んでいます」という感じだ。
12小節のギターソロが終わるとベースソロに入る。チョッパーっぽいサウンドとピーキーなベースの響きが良い。
そのベースにノブとマンキのツインリードがかぶり、デンカが音量を上げながらスネアで追いかけてくる。
バックにはタンバリンが効果的に入っている。叩いているのはゲストのトモケン。
ソロのあとは1音アップのBmに転調してさらにハードに演奏していく。
2トムのボーカルは最後はシャウトの連続である。

作曲はやはりノブのギターリフ考案から入っていった。基本的なリズムを刻むノブのリフに並んだ2弦で弾く「リッチー風」のマンキのリフを重ねるといった感じである。
ベースも基本手にはギターリフとユニゾンで追っていく奏法をとる。
リフの裏にマンキがオブリガートを入れている。このオブリガートも転調後のハードな演奏ではピッキングハーモニクスを入れてハードさを強調している。

曲中の使用楽器だが、マンキはYAMAHAのSGを使用。音に伸びを出すためにコンプレッサーをかけている。ノブはレスポール。
F男はやはりアイバニーズだが、ゲインをあけてハイトーンが響くサウンドアレンジをしている。デンカはスタジオ常備のYAMAHAセットにマイスネア(パール製)だ。

     written by Manki@oyatiti2 on Lead Guitar.


 実は当時は「Fuckin' …」より、こっちの曲のほうが演奏としては自信を持っていたんだ(恥)。

でもいま聴くとこれはかなり恥ずかしい。技術的に未熟なのは仕方ないとしても、自分の演奏の方向性が根本的に違っている、と思う。

曲中の「ベースソロ~ツインリード~スネアがクレッシェンド」って流れは確かマンキくんの文章にも出てくる、「すみや」のAさんが指導してくれたんじゃなかったカナ?ただ、アレンジでバンド以外の人の意見を取り入れたのは多分ここだけだったように記憶している。

「2トム」のヴォーカルに関しては、当時高校生であれだけのハイ・トーンで歌えるヤツは他に居なかった。彼がもっと自分の声をコントロールする術を身に付けていったら凄いヴォーカリストに成長したのではないか、と思わせる。いまの彼の消息が不明なのがとても残念だが…。
(2006年2月20日、仙台に居る2トムと連絡が取れました)

中学~高校にかけてやっていたバンドって、もちろんいま聴けば未熟さばかりが目立ってしまうし、やっている音楽もいま聴けば「古臭いことやってんなぁ」という感じだけれど、あの頃、狭くて熱い練習スタジオで本当にテレパシーでもあるんじゃないか!?と思うくらい一緒に演奏しているヤツらと息が合ったりする瞬間があって、それはそれは、まさに「奇跡」のような瞬間だった。

この2曲の演奏には残念ながらそういった一瞬は記録されていない。ただ、当時の自分たちのベストを尽くした結果だけが反映されている、思いっきり背伸びしてるけどね。まさに「この曲を演奏したから今の私になった」ということの記録なのだ、と思う。

     written by Denka on Drums.


♪Bleak You Bleak Down



1982年9月作品
作詞:2トム-Y崎
作曲/編曲 ノブ・マンキ・F男・デンカ・2トム(TO&TO)

 TO&TOのオリジナル曲としては「Fuck’In」「Bluesy」と並んで3本柱的なものであった。
キーはGm。Aメロのリフをノブが考案。そこからみんなで積み重ねながら作曲していったと記憶している。
作詞は2トムで曲が出来てからの後付作詞である。

 メインのリフはシンコペーションアクセントでファンキーなノリが当時ライブでも結構ウケたと思う。
ノブがリフを次々に考案するセンスはまるで「リッチー・ブラックモア」張りであった。
リフからの曲作りと言う点ではディープパープルのベーシスト「ロジャー・グローバー」もメイキング・マシンヘッドの中で語っていたのを最近入手したDVDでも聞いたのだが、当時我々も彼らに多大な影響を受けていたわけで、偶然にも通じるところであったのが嬉しい。

 Bメロのギターアレンジとしてリードのマンキはアルペジオでコードを弾いて、それにノブのフランジャーを効かせた効果音的なスライドが絡む。
ベースのF男もスローな渋いフレーズを流している。

 サビの部分はバンド全体のユニゾンで迫力とファンキーさを強調している。
レコーディング当日、ボーカルの2トムの喉の調子が思わしくなく、サビのシャウトが苦しそうなのがちょっと残念であった。
エンディングのサビも本当は4回のリピートをする予定がこのテイクでは2回で終わっている。

 ギターソロはペンタトニックを基本にフリージアンスケールを使用して弾いている。
曲全体のバランスも先の2曲よりも綺麗にまとまっている感じである。
ツインギターバンド本来の聞かせ方が確立してきた様相も伺える。

 バンドととしてのまとまりがついて各自のテクニックにも少し余裕が出てきた頃に出来上がった曲である。
今、あらためて聞いてみると「ココをもう少しこうすれば、ああすれば」みたいにひらめいてくる部分も多い。
実際にレコーディングから25年経過した現在、同じメンバーで再度セッションしたら面白い演奏になると思うな。

     written by Manki@oyatiti2 on Lead Guitar.

 この曲は多分、「Fuckin'…」「Bluesy…」の次くらいに出来た曲だったと思う。
メインのリフはノブさんが作ってきたもので、その後の展開はメンバーみんなであれこれやりながら作っていったものだと記憶している。

 Aセクションのリフは前述したとおり、ノブのひらめきの産物だが、本当にノブさんはこういう曲の核になるアイデアを他にもたくさん出してくれている。ライブではソロを執ることも少なく地道にバンドを支えていた印象が強いが、実は作曲面で多大な貢献をしていたのである。

 ドラムパートとしてはこのリフのシンコペーションの部分をクラッシュシンバルではなく、スネア+ハイハットとキックの組み合わせで演奏しているのが味噌だな。このようにすることでシンコペーションが間延びした感じにならず、より強い印象になったと思う。

 Bセクションからハーフタイムになる、という展開は当時いろんな曲で使われていたパターンだね。まあ、マンネリ気味といわれればそれまでだけど、この曲ではそれが必然であったかのごとくハマっているんじゃないかな。

 Cセクション(サビ)は、「Fuckin'…」と同様にハードな中にもポップさを出そうとした部分だね。このセクションのドラムパートは常に決まったパターンを叩いていて、その気になれば誰でもドラムパートを口ずさめるようになっている、、ハズ。

 ギターソロ前のちょっとした間奏はなかなか面白いアレンジだと思う。スネアのフレーズもこのコード進行(?)にマッチしているし、曲を飽きさせずに聞かせるために重要なポイントになっているね。

 ギターソロ後、イントロに戻ったような感じになった部分の裏でベースがとってもカッコイイフレーズを弾いているからよーく聴いて欲しい。さすがはF男くんだな。

 ある意味、この曲はTO&TOが最も「ノって」いた頃を代表するような曲だと言える。バンドとしてのまとまりはもちろん、オリジナル曲の作り方というものをある程度自分たちのものにして、「さあ、次はもっと面白いことやるぞ!」みたい
になっていた頃だ。

 メンバーそれぞれにいいところが発揮されていて、それぞれのパートに創意工夫が感じられる。欲を言えばエンディングはもう少し工夫できる余地があったか、という感じですがね。

     written by Denka on Drums.


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