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著者・編者 | 篠月しのぶ=著 |
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出版情報 | KADOKAWA |
出版年月 | 2017年6月発行 |
統一暦1927年5月26日、帝都中央駅のプラットフォームで クルト・フォン・ルーデルドルフ
中将が見送る中、 ハンス・フォン・ゼートゥーア
中将は東部戦線へ向かった。戦務参謀次長の職は解かれなかったものの、最高統帥会議に逆らったことで、事実上の更迭となった。2人は、帝国が大規模攻勢に転じるアンドロメダ作戦の成功を誓い合う。
ゼートゥーア
の来訪を知らない ターニャ・フォン・デグレチャフ
中佐は、急な来訪に驚いた。 ゼートゥーア
は ターニャ
に囮になることを命じる。予備選力としてヴォーレン・グランツ中尉の小隊を ゼートゥーア
に引き抜かれた上で、 ターニャ
が率いる サラマンダー戦闘団
は、作戦通り、ソルディム528陣地で敵に包囲される。一方、連邦はラーゲリに収容していた魔導師たちを復帰させ、東部戦線へ送り込み、 サラマンダー戦闘団
は窮地に陥るが、航空魔道隊の テオバルト・ヴュステマン
中尉や歩兵部隊の クラウス・トスパン
中尉の成長により辛くも窮地をしのぐ。ターニャは、「足りぬ、足りぬは工夫が足りぬというが‥‥育てるという努力は怠るべきでないのだろうな。無論、現場の限界はあるが」(141ページ)と自戒する。
友軍の救援という名目で、 ゼートゥーア
はクラム師団に便乗し、ソルディム528陣地へ向かう。 サラマンダー戦闘団
は、連合王国のドレイク中佐が率いる多国籍義勇軍の攻撃を受けるが、 ターニャ
を憎悪する メアリー・スー
少尉の暴走により、これを撃退し、クラム師団と連邦軍を挟撃することに成功する。
だが、東部戦線南方の資源地帯の確保は失敗し、アンドロメダ作戦は頓挫する。 ターニャ
らが連邦軍の物資を鹵獲、運用しなければならない状況に陥ったように、帝国の物資欠乏は隠しようのない事実だった。
その事実を思い知った ゼートゥーア
は、 ターニャ
にとんでもない相談を持ちかける――。
サラリーマンには制約が付きものである。上司になったはいいが、部下が全員有能だとは限らない。だが経営陣は、十分な要員を手当てせずに成果を出せと言ってくる。無能な部下を移動させて、他事業部の有能な要員を引き抜けば、今度はその事業部がピンチに陥る。結局のところ、与えられた要員を育てるしかない。部下の成長を褒め、けっしてハラスメントすることがないターニャの言動は、ある意味、理想的な上司像である。戦争という大量殺人業務に携わっていなければ、の話ではあるが‥‥。
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