幸せ探し

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2019年01月09日
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カテゴリ: 私のすきなこと

お里と沢市



壺坂観音霊験記(つぼさかかんのんれいげんき)
(豆知識)
これは明治時代に作られたもので、文楽・人形浄瑠璃では新作の部類に入る。「実は・・・だった」というように、文楽では趣向を凝らした複雑な展開の物語が多い中、この作品は、お里沢市の夫婦愛をストレートに描く。
お里のクドキは有名
「三つ違いの兄さんと、いうて暮らしているうちに、情けなやこなさんは、生まれもつかぬほうそうで、眼かいの見えぬその上に、貧困にせまれどなんのその、一旦殿御の沢市さん…」(男がいるのではないかと疑われて、沢市に思いのたけを語りかける)
土佐町松原の段(とさまちまつばらのだん)
幕開けは、壺阪寺への参詣人たちが、美人で気立てのよい女房のお里と、その盲目の夫沢市の噂話をして、目が見えるようになったらどんなに喜ぶだろうと話して立ち去る。
沢市内より山の段(さわいちうちよりやまのだん)
 沢市は箏三味線を教え、お里は賃仕事で生活を支えている。沢市は、お里が毎晩寝床を抜け出すのを不審に思って悩んでいるが、思い切って聞くことができないでいる。沢市が三味線を出して歌うと、お里は「今日はよいきげんじゃの」と、何気なく声をかける。この一言が、じっと抑えていた沢市の心を爆発させることになった。
 「どうせ自分はお前の気には入らないだろうけれど、他に思う男があればさっぱりと打ちあけてくれ。人のうわさで、お里は美しいと聞くたびに、自分はあきらめているから、決して悋気(りんき)はしないから」と、沢市はとうとう悲鳴にも似た思いを打ちあける。
 お里は驚いて、私のことをほかに男を持つような、そんな女と思うのか。父母に別れてから伯父さんの家に世話になり、一緒に育てられた沢市のことを三つ違いの兄さんと思いながら暮らしてきた。いったん夫婦となったからにはどこまでも添いとげようと、夫の目が開くようにと、雨の夜も霜の夜も、裸足で観音様にお参りして3年、いまもご利益がないのはどうしたことかと恨んでいたという。
 これを聞いて沢市は涙にくれ、お里に詫びる。お里は疑いが晴れて喜び、これで死んでも本望だとまで言う。
 しかし沢市は、これほどまでにお里が信心して願をかけてくれても、何のかいもないのは、自分の心根のためだと悲観してしまう。お里はそんな沢市を励まし、沢市もお里の一心に観音様にすがる心に打たれて、このうえはせめて後生を願おうと二人は観音様にお参りしようと言う。
 舞台は観音様の御堂となり、二人して御詠歌をあげている。沢市は、自分は3日の間ここで断食をするから、お里に家へ帰って用事をかたづけてくるようにと言う。お里は沢市も観音様を信じる心になったと喜び、御堂の左側は深い谷になっているから、決してここを動かぬようにと言って去る。
 沢市はお里の3年もの信心をうれしく思うが、苦労ばかりかけて、何のご利益もないのに絶望し、自分がいないほうがお里のためだと、谷へ身を投げる。
 お里は胸騒ぎを感じて引き返すが、沢市はどこにもいない。谷を見ると、月明かりに夫が倒れているのが見える。なんということ。お里は沢市が死ぬ覚悟であったとは思わず、御堂に連れてきたのを悔やむ。そして盲目の沢市が、あの世で迷うのを助けようと後を追い、谷に身を投げる。
 すると観音様が現れ、お里の貞節と信心を讃えて、二人を生き返らせ、沢市の目も開く。二人は大喜びで観音様にお礼を言う。






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最終更新日  2019年01月09日 09時00分09秒
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