大東亜戦争は聖戦ではない

大東亜戦争は聖戦ではない

片山虎之助議員




○委員長(大河原太一郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 平成八年度一般会計補正予算(第1号)、平成八年度特別会計補正予算(特第1号)、平成八年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、片山虎之助君の質疑を行います。片山虎之助君。

○片山虎之助君 教育における教科書の重要性というのは論をまたないところでありますが、現在、我が国は昭和二十四年度から検定制度がとられております。検定というのは、国定教科書と自由化の真ん中なんですね。民間に書かせるけれども、チェックすると。
 ところが、このチェックも大変きついチェックから緩いチェックまで何段階もある。私は、今の我が国の教科書検定制度は大変緩やかになっていると思います。ということは、既に文部大臣から答弁がありましたように、明らかに事実と違うもの以外はいいんだと、こういうことになっている。
 しかも、昭和五十七年に中国、韓国と若干問題がありまして、侵略か侵攻か侵入かという。そこで近隣諸国条項というのが入ったわけですね。近隣アジア諸国の近現代史については国際理解と国際協調の観点から配慮しなさいと。私はそれは一向に構わないと思うんですね。近隣アジア諸国と仲よくする、彼らに与えた痛みについてはちゃんとわかるということは私は必要だと思うけれども、同時に我が国の歴史や文化や伝統に対する誇りや自信を与えるような教科書でなければならないと、こういうふうに思うんですね。
 今は適当、不適当は言えないですよ。これは間違いだ、明らかに間違いだと、事実と違うというものだけチェックする。これでいいんだろうかなと。私は、もう少し前向きの、国際社会でも尊敬されるよき日本人をつくるための教科書にする、そういう観点が検定に要ると思いますが、文部大臣いかがですか。

○国務大臣(小杉隆君) 先生御指摘のとおり、著作者、編集者の創意工夫によって教科書ができているわけでありまして、今の検定制度のお話もありましたが、文部省としても学習指導要領とか検定基準に従って検定をさせていただいているところです。
 例えば教育基本法の第一条、これはもう私が読み上げると長くなりますから申しませんが、とにかく個人の人格の形成ということを第一の目標としておりますが、同時に国あるいは社会の形成者の一人としての自覚も持つことを目的としております。そういう中で、私どもも、国民として自分の国の歴史とか文化とか、あるいは国民としての自覚や誇りを持つような、そういう歴史教育といいましょうか、教科書の作成に努力をしているところでございます。

○片山虎之助君 わかったようなわからないような答弁でございますけれども、時間が余りありません。
 そこで、文部大臣、教科書は検定があるんですよ。その教科書を教える教師用の指導書は全くノー検定なんですよ。これがかなりいろんなことを書いているんです。いいんですか、それを野放しにして、自由自在にして、教える側。教科書だけ検定がある、緩やかだけれども。いかがですか。

○国務大臣(小杉隆君) 私も教師用の手引書を見せていただきましたが、かなり詳しく書いてあります。例えば、きょうのようなこういう国会の問答も全部書いてあります。これはあくまでも教科書会社が任意に発行しているものでありまして、私たちとして特にこれにかかわっているわけではありません。ただ、指導用の手引、これを見まして、その記述が適切であるかどうかについては我々としてもよく注意しておりまして、もし行き過ぎたような場合がありましたら教科書協会を通じまして記述の改善方について指導を行っております。

○片山虎之助君 私は事実は事実を歴史としてきちっと教えてひとつも構わぬと思う。ただ、それを誇張したり歪曲したり間違えたり、それは困ると言っているんですよ。そういうことが教師用の指導書に散見されます。調べてください。そして、それはきちっと何らかの措置をとるということを約束してください。

○国務大臣(小杉隆君) 繰り返しになりますけれども、そういう場合には記述の改善方について教科書協会を通じて各教科書会社に申し入れる、こういうことになっております。

○片山虎之助君 協会を通じてじゃ迂遠なんですけれどもね。
 そこで、きょう午前中も質問がありました、ほかの党の質問者から。教科書について偏向だとか不正確だとか間違いだとかいっぱいそういう注文がある。それを文部省のどこかできちっと受け付けて、精査して、場合によってはその言ってきた人と協議して直すという仕組みゃ場をつくる用意はありませんか。

○国務大臣(小杉隆君) 教科書に関してはさまざまな御意見や御要望があるところですが、その都度説明はやっておりますし、また必要なものは発行者の方に伝えるというようなこともやっております。
 私自身もいろんな方々の御意見をできるだけオープンに聞くように努力をしております。とにかく国民の教科書に対する信頼感というものを確保するためにさらなる努力をしていきたいと思います。

○片山虎之助君 いや、だめですよ。文部省に、教科書に関する苦情センターと言ったら語弊があるかもしれぬけれども、そういうものをつくって、そこできちっと、これはこういうことです、これは間違いですから直してくださいとか、そういう仕組みをつくってください、場を。任意で受け付けてということじゃ直りませんよ。

○国務大臣(小杉隆君) 教科内容につきましては、教育課程審議会という文部大臣の諮問機関がありまして、もし自分の意見を言いたいということがあれば、所定の手続をとっていただければいつでもヒアリングをする、そういう場を設けております。

○片山虎之助君 いや、それは簡易にすぐ言えて、そこできちっと、公式非公式じゃなくて、議論をしてよりよい教科書をつくるというような場を設けるんですよ。
 時間が余りありませんからあれですが、実は教科書の偏向記述の問題やいわゆる従軍慰安婦の問題で今国内のいろんなところで大変論議が起こっている。私の地元の岡山県議会も十二月十九日に、中学校の歴史の教科書の従軍慰安婦の記述を落とせという陳情の趣旨採択をしたんです。全国で今十ある。それから、県でも四県用意しているところがある。ほかにもいっぱい広がっていますよ。やっぱりそれだけ国民の関心が教科書問題に向かってきたんです。私なんかは門外漢だった。だから、こういうところでこういう質問をするということは、これはこれでいいのかなと、普通の国民が私はそう思っていると思うんですよ。
 そこで、いわゆる従軍慰安婦の問題は私はやや感情過多になり過ぎていると思う、ともに。もっと事実だけを冷静に検証して、それに基づいた議論をすべきなんです。聞く耳を相手は持たない、こういうのは私は困ると思います。しかし、実際はいろんな動きが出ている。私はどうやってこれを直すかということは大きな国民的課題だと思いますけれども、まず従軍慰安婦という言葉はやめてくださいよ、教科書でも、政府のものでも。政府の場合には「いわゆる」が上についているけれども。これは誤解を招くに決まっている。文部大臣は二種類あると言った、従軍という言葉に。そんなこと国民はわかりますか、いかがですか。

○国務大臣(小杉隆君) そもそもこの慰安婦という記述が教科書に載るようになった経緯について
は先生も十分御承知だと思うんです。
 戦後処理問題が非常に議論されたのがたしか平成三年の三月ごろだったと思いますが、その後政府としてもいろいろな調査、内外のいろいろな調査機関に当たったりあるいはいろんな資料を検証したりして、客観的な調査研究の結果として平成五年八月に政府の慰安婦関係調査結果というものが出されました。そして、この問題が社会的に大きく取り上げられまして、歴史的事象の一つとして中学生にも理解が可能である、こういうことから執筆者並びに教科書発行会社の方で記述に踏み切ったものと考えております。
 私どもは、そうした経緯を尊重しながら、よりよい検定制度というものをつくっていくためにさらに努力したいと思っております。

○片山虎之助君 従軍というのは軍属ですよ、軍籍を持つということなんですね。したがって、従軍記者だとか従軍看護婦さんはおるんです。従軍慰安婦なんというのはないんですよ。勝手につくった言葉でひとり歩きをしている。しかも、この言葉は一定のイメージを与えるんですよ。不正確でありかつ一定のイメージを与える。特に私は大変な影響があると思う。
 そこで、文部大臣が今言われた平成五年八月四日の外政審議室の調査、それに基づく官房長官の談話がこれまた不正確なんですよ、不正確。軍が関与していると。関与はしていますよ。関与にもいい関与、悪い関与、積極的な関与、消極的な関与があるんだから。それは兵士を守るために消極的にはいい関与をしたんですよ。だから、それは私は否定しません、否定しない。それじゃ、強制連行や強制募集、そういうことの事実が確認できたかどうかなんです。ところが、あの調査報告も官房長官談話もかなりあいまいなんです。
 そこで、外政審議室長、どういう調査をしましたか。

○政府委員(平林博君) お答えを申し上げます。
 政府といたしましては、二度にわたりまして調査をいたしました。一部資料、一部証言ということでございますが、先生の今御指摘の強制性の問題でございますが、政府が調査した限りの文書の中には軍や官憲による慰安婦の強制募集を直接示すような記述は見出せませんでした。
 ただ、総合的に判断した結果、一定の強制性があるということで先ほど御指摘のような官房長官の談話の表現になったと、そういうことでございます。

○片山虎之助君 今の審議室長の話は、資料と証言を集めた、資料には強制性を示すようなものはなかったと。ということは、(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)いや、今答弁したんだから。
 そこで、それじゃ証言ということになる。その証言はどういう人から集めましたか。

○政府委員(平林博君) その前に、強制性の問題でございますが、今御答弁申し上げましたのは、強制募集を直接示すような記述は見出せなかったと。ただ、もう少し敷桁して申し上げれば、いわゆる従軍慰安婦の方々の日常の生活等におきましては強制性が見られるということで先はどのような官房長官の談話になったということでございます。
 証言につきましては、元従軍慰安婦とされる方々本人、それからいろいろな研究者、学者等でございます。

○片山虎之助君 いや、日常生活の強制性なんというのは、これはある意味ではわけがわからないんですよ。そういう資料があるなら、また出していただきたいと思いますが。
 そこで、結局は証言を中心にどうもあの調査報告や何かができたんじゃないかというふうに私は思っている。証言というのは、当事者の両方なり第三者が入る証言でないと、片っ方だけの証言者を集めてということは、ちょっと私は客観性を欠くんじゃなかろうかと。
 そこで、この調査報告なり当時の官房長官談話のバックデータ、資料があればディスクロージャーしていただきたい。

○政府委員(平林博君) 調べた限りの資料につきましては、それぞれの省庁、さらにはまとめまして外政審議室にございまして、一般の閲覧に供してございます。

○片山虎之助君 いやいや、それじゃその資料だけであの調査結果ということは、なかなか私はすぐは結びつかないような気がしてしようがないんですよ。
 いずれにせよ、しかしそれはきちっと資料として出していただきたいと、こういうふうに思います。もう一度。

○政府委員(平林博君) 御要求がございますれば資料をいつでもお持ちして参上いたします。これはどなたにも、研究者、一般の方を問わず見ていただいておりますが、御要求がございましたらいつでもお持ちして御高覧に供したいと思います。

○片山虎之助君 特定の個人の方の名前を出すのは本当はちょっと恐縮なんですが、当時の官房長官は河野さんで、河野さんが暮れのある新聞に、残された資料によれば、その当時の談話で彼が言ったことを裏づける資料はある、しかもそういう事実もあるということを言われているんですよ。それは恐らく個人の資料じゃなくて外政審議室か何かの資料だと思うんですが、そういうものはありますか。

○政府委員(平林博君) 残された資料はございます。当時の河野官房長官がおっしゃっていた資料も、どのことをおっしゃっているのか今つまびらかにしませんが、すべてそろっておりますので、いつでも御高覧に供することができると思います。

○片山虎之助君 それじゃ、すべてのそういう資料を当予算委員会に出すことを改めて要求します。理事会で御協議いただきたいと思います、委員長。

○委員長(大河原太一郎君) 資料要求については、後刻理事会において協議して処置します。

○片山虎之助君 もう時間がだんだんなくなってきたんですが、もし資料が大変不十分で不正確であると、こういうことになりましたら再度調査をする御意向がありますか、ありませんか。

○政府委員(平林博君) 調査は平成四年の七月と五年の八月の二度にわたって行われて公表されておりますが、特に平成五年八月の調査の結果発表に当たりましては、調査対象を国外に広げますとともに、関係者からの聞き取り調査も行っておりまして、政府として当時、全力を挙げて誠実に調査したところでございます。
 政府といたしましては、当時の調査で一応一つの区切りをなしたというふうに考えておりまして、現在のところ再調査を行う考えは持っておりません。
 しかし、いずれにしましても、十分な調査をしたと考えてはおりますが、事柄の性質上、その後も新しい資料が発見される可能性は否定できませんので、引き続き十分な関心を持って対応しているというところでございます。

○片山虎之助君 それは予算委員会の理事会なり何かで協議しまして、その結果どういうふうに政府にあれするか、なお引き続いて検討させていただきたいと思います。
 そこで、そういう事実を踏まえて、文部大臣、とにかく事実が定かでないんですよ。ある意味では未確認、不正確なものを教科書に載せるということ、私はそれは大変困ると思うんだけれども、まあここはいろんな意見がありましょう、そちらの方でいろんなことを言っておられる方もおるんだから。しかし、それを中学生に、思春期前期の中学生に何でその内容を教えなきゃいかぬか。教えることは、私は歴史の内容は山ほどあると思いますよ。何でそういうことを特に教えなきゃいかぬか。
 それと、いろいろ聞きますと、外国の教科書でそういうことを書いてあるところはどこもないんですね。私は、教育的配慮の上からいっても、もっといろんな、是非分別ができるような高等学校や大学生ならいいですよ、中学校の教科書に何
で載せなきゃいかぬか。しかも、教科書の重要性から国費で無償にしているんですよ、義務教育はいかがですか。

○国務大臣(小杉隆君) 文部大臣としては政府の調査結果というものは尊重する立場にあるわけですし、それから中学生に云々という話については、現在もエイズなどの教育をやっておりますし、またこの問題は社会的に大きくマスコミでも報道されているということで、私どもはやっぱり事実は事実として伝えるということも重要な教育の一環だろうと思います。
 先生の今御指摘のように、ほかにもいっぱいいいことがあるじゃないかというお話ですけれども、私たちは、現在の学習指導要領の中でも、例えば小学校においては人物中心の歴史学習ということをやっておりますし、中学校でも世界史を背景とした我が国の歴史の学習というものをやっております。
 いずれにしても、今後の子供たちが日本の歴史や文化に誇りを持って日本人としての自覚を持つ、国際社会の中でそうした気持ちで生きていく、そういう教育に向かって努力をしていきたいと思っております。今、教育課程審議会においてこの教育課程全体の改定について審議を行っておりまして、その中で歴史教育についても御議論をいただくことになっておりますので、さらに努力をしたいと思っております。

○片山虎之助君 もう時間がありませんが、無味乾燥な人格を形成してもらってもしようがないんですよ。自国の歴史や伝統や文化に誇りゃ自信を持つような、それをもとに未来を切り開いていくような青少年を私はぜひ育てていただきたい。今のような歴史教育のあり方では大変私は問題があると思います。
 歴史教育全般について、あるいは歴史認識について、総理の御所見を最後にお伺いいたします。

○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほどから議員と文部大臣のやりとりを聞いておりまして、共通する部分、それは事実は事実のままに、ありのままに教える。その教える年次はどの年次がいいのかということは、専門家としてそれぞれの判断がありましょう。そして、大きな歴史の流れを十分に若いうちに覚えてもらっておく。これは大事なことだと思いますし、私は、この議論が不毛な議論に終わらないためにも大きな歴史の流れを事実を事実として教える、ここに共通の意図を見出したい、そのような気持ちで御意見を拝聴しておりました。

○片山虎之助君 私の残余の時間は、同僚議員の山崎、関根両議員に質問をしていただきます。
 どうもありがとうございました。


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