知恵への愛(うそですww)

mission15

Mission15 「BA-02 強奪」

     惑星ミラリオン  サブストリート

エアカーの普及によって今はもう使われなくなったサブストリートの裏道に一台の自転車が走っていた。
「もっと加速しろよ!!」
カゴに乗っているE・Dが怒鳴る。
「出来るけどこれ以上加速すると自転車がぶっ壊れるぞ!!!」
フォンが自転車をこぎながら言った。
ろくに整備されていない自転車は既に悲鳴を上げていた。
「とにかく早くしないと連合の新型のお披露目式が見れなくなるだろうが!!」
E・Dが再び怒鳴る。
「お前がいつから連合マニアかは知らんが、寝坊したのはお前だろうが!!」
フォンがハンドルをグニャグニャに操作してE・Dを振り落とそうとする。
「ギャァァァァァァァ!!てめぇなんてことしやがる!!」
「少し黙ってろよ!!」
2人は連合の新型を見に、猛ダッシュしていた。

           連合本部演習場

「新型のBA-02は高起動格闘型だが新型フォトンライフルの装備で中距離戦闘も難なくこなせる万能BA・・・。」
クロードがエスカレーターを上りながらつぶやく。
「ふむふむ。」
「さらに、スタティックエンジンの搭載によって起動時間は半永久・・・」
クロードはつぶやき続ける。
「ふむふむ。」
「開発者は俺の元先生であるフェルロ教授。俺のヴァンビンを基にして開発したらしい。」
クロードが振り向く。
そこにはユニがいた。
「どうしたの?」
ユニが首をかしげる。
「何でついて来るんだよ。」
クロードが顔を赤くして言う。
「あれ?駄目だった?」
「駄目に決まってるだろ!!」
「どうして?」
「事故があったらどうするんだよ!!」
「・・・心配してくれてるの?」
「あ、当たり前だろ!!」
クロードの顔がさらに赤くなる。
「君達ィ。2番格納庫はどこでしたっけ?」
軍服を見に付けた男がクロードに聞いてきた。
ネームタグには『ブラッド・ロイネル』と書かれている。
襟章を見ると中佐と言うことがわかり、クロードは姿勢を正す。
「あ、こ、この通路を右に曲がって・・・」
2番格納庫までの道筋を一通り教える。
「ありがとう。」
ブラッドはそう言って去っていった。
「?」
ユニはブラッドが最後にニヤリと笑った気がした。
「どうしたの?置いてくぞ。」
クロードがユニを呼ぶ。
「あ、ごめんごめん!!」
ユニはあわててついていった。

          数分後       2番格納庫

2番格納庫には新型の『BA-02』が収納されていた。
バン!
倉庫に銃声が響く。
「何者だ!!」
警備員が駆けつける。
バン!
再び銃声。
「あっけねぇなぁ。連合も。さっきの少年も。」
ブラッドが足元の警備員の死体を見ながら言う。
数分前に侵入したブラッドに2番格納庫の整備士や警備員全てが殺されていた。
「さってと。仕事仕事!!」
ブラッドは横たわっているBA-02のコックピットに飛び乗る。
「起動データ読み込み開始。機体データ、オールグリーン。スタティックエンジン正常作動。情報どおりだな。」
ブラッドは1人つぶやきながらBA-02を起動する。
大きさこそヴァンビンと同じだが外見は大きく異なり、異星の騎士を思わせる。
「さてと・・・ここにはもう一つお宝があるらしいじゃないの。」
メイン画面をマップモードに切り替える。
画面の中心は3番格納庫を映していた。
「BA-03にはスタティックエンジンはまだ搭載されてないよな!!」
ブラッドはスラスターを全開にして隣の3番格納庫に突っ込む。
3番格納庫にいた整備士たちは驚いた様子で逃げ惑う。
「死ね。雑魚が!!」
BA-02の頭部にある機関砲が火を吹いた。

         数分後   演習場 メインホール

「なんだろうね?」
ユニが聞いてくる。
先ほどから人の出入りが激しい。
「さぁ?お披露目式の準備で忙しいんじゃ・・・」
クロードが推測を言おうとした時、メインホールの西側の大型エレベーターが吹き飛んだ。
「なっ!!!」
そこに立っていたのは、返り血で真っ赤に染まったBA-02だった。
片手にコンテナを持っている。
『そうそう。そういえば・・・』
パイロットの声がスピーカーで聞こえる。
クロードはその声に聞き覚えがあった。
「ま、まさかあの時の!!」
クロードがBA-02の場所を教えてしまったのだった。
『この機体はまだ名前が決まってないんだったな。そうだな、ヴァンシリーズでこの姿だから『ヴァンパイア』でどうだ?ヒャハハハハハハハ!!!!』
ふたたび機関砲が火を吹きただの通行人や軍人を殺していく。
「危ねっ!!」
クロードはユニを引っ張って物陰に隠してその上に覆いかぶさる。
「クロードって案外大胆!!」
ユニはのんきに言った。
「こんな時に何言ってんだよ。」
BA-02はメインホールを後にしたようだ。
「迎撃できる機体は・・・確か下にBA-03があったはずだ。壊されてなけりゃいいけど・・・」
クロードとユニは3番格納庫に走った。

                 サブストリート終盤

前方には既に演習場が小さく見えていた。
「急げぇ!!ってもう始まってんじゃん!!」
すでに光がチカチカしている。
模擬戦でもしているのか、とフォンは思った。
「・・・様子が変だぞ。悲鳴が聞こえる。」
ジ・アース人であるフォンは数km先の音も聞くことが出来るのだった。
「なんだって?じゃあもっと急げ!!」
わかってる!!と言おうとした時。
「!!!」
自転車の前に人影が現れる。
「・・・・・姉さんか。」
その人影はフォンの姉、イズミだった。
「久しぶりね。不音。そちらはお友達?」
イズミはなれなれしく言った。
「いやぁ。お友達ではなく『大先輩』・・・」
「その名前で呼ぶな!!!!」
E・Dがふざけていると、フォンがイズミを怒鳴る。
「俺はもう不音じゃない。・・・なんのようだ。」
「・・・演習場に行くんでしょ。それを邪魔しに。」
フォンはテクノスーツを起動する。
「姉さん。本当に『神の鉄槌』に?」
「そう。母星の仇をこの世から消すために。」
フォンは紅鶴を転送する。
「言っても無駄なのか。俺はもうあなたを姉とは呼ばない!!」
「よく言ったわ。不音。」
「その名前で呼ぶな!!」
2人のジ・アース人が戦闘を始めた。

          演習場  3番格納庫

「こ、これは!?」
クロードのいる3番格納庫は死体の山だった。
「くっ。急がなきゃ!!」
クロードはBA-03に飛び乗り起動ボタンを押す。
が、反応がない。
「ど、どうして?」
クロードがテンパっているとユニが言った。
「電池ないよ。」
「え?」
良く見ると、バッテリーが入っていない。
BA-03はBA-02と同じくスタティックエンジンで動いていた。
「さっきのか!!」
クロードはBA-02が小さなコンテナを持っていたことに気づく。
「・・・ユニ。ありったけのバッテリーを集めろ!!それで代用する!!」
「ラジャ!!」
2人はBA-01用のバッテリーを探し始めた。

      数分後   3番格納庫

「これだけあれば十分だ。」
クロードは集めてきたバッテリーを入れれるだけ詰め込み、起動ボタンを押す。
今度はちゃんと起動したようだ。
「(それにしても1人用コックピットに2人はきついな。なんか変な展開になりそうだし。)」
とクロードは思った。
「起動データ読み込み開始。機体データ、オールグリーン。主電源をスタティックエンジンから通常バッテリーに変更。・・・えーとぉ?」
クロードが何かに迷っている。
「どうしたの?」
ユニが聞き返す。
「この機体ってなんて名前かなって?」
クロードが言うとユニが笑う。
「騎士みたいな顔だから『ヴァンナイト』でいいんじゃない?」
クロードは不服そうな顔になる。
「・・・まぁいいか。外には物資搬入口を使う。」
BA-03が完全に起動する。
「BA-03『ヴァンナイト』行きます!!!」

                      つづく



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