知恵への愛(うそですww)

mission20



      翌日         星間高等病院

数日前にもここにユニは寝ていた。
体中にいろいろな薬品の管を付けられていた。
まるで、生きているのではなく、生かされているかのようだった。
「ユニ・・・」
クロードは数日前と同じように寝息を立てるユニを見ていた。
「(俺も昨日、あの時のユニみたいになってたのか?)」
クロードは昨日の自分と数日前、暴走したユニの姿を重ね合わせた。
「やっぱり、コイツのせいか?」
クビにぶら下がるMMIペンダント。
機械の王たる証。
「こんな・・人を傷つけるもの!!!」
クロードはMMIペンダントを握り、力を加える。
「!?」
その時、MMIペンダントが光る。
『・・・い、コードMMIX-01を発見しまし・・・』
どうやら誰かの通信を傍受しているようだ。
「(くっ・・・なんだ?)」
クロードの脳内に直接音声が入ってくる。
『・・うですね。4302号室に入院ちゅ・・・』
「(4302号室ってココじゃねぇか!?コードMMIX-01って。ユニ!?)」
クロードは椅子から飛び上がる。
『・・ふふ。これでまた研きゅ・・』
「(ふざけるな!?この期に及んでまだ研究だと!?只でさえ目が見えないのに!!この子はモルモットになるために生まれてきたのか!?)」
クロードはユニの顔を見る。
目蓋こそ開かないものの、その顔は無邪気そのものだった。
「やらせない!絶対に!!俺はこの子を守る。守ってみせる!!!」
その時、部下のロブが入ってくる。
「ここにいたんですねぇ。隊長!ラブラブですかぁ?」
冷やかし始めるロブ。
「何しに来た?待機中だろ?」
クロードが言う。
「何言ってんすか?今日は新しく配属されるパイロットに隊長のヴァンナイトを引き継ぐ日じゃないですか!」
クロードは今朝のミーティングを思い出す。
「(あれ?そんなこと言ってたっけ?というか、ヴァンナイトって俺が勝手に使っちゃってるだけでホントは正規のパイロットが配属される予定だったんだな。でも、ソイツって俺より操縦ヘタだろ。俺にはMMIペンダントがあるし。)」
クロードはMMIペンダントに目を落とす。
「(・・・それだ!!ヴァンナイト!!)」
クロードは難問が解けた時の顔をする。
「ありがとう、ロブ。機体のチェックをしてくる・・・よっ!!!」
と言って、部屋を出る直前に、180度向きを変え、ロブの腹に思い切りこぶしを叩き込む。
「ぐっ。」
ばたりと倒れるロブ。
気を失っている。
「すまない。ロブ。」
クロードはユニの体についている管を丁寧に取り除く。
「クロード?」
ユニは目を覚ます、が目蓋は開かない。
「行くぞ。ユニ。ここにいちゃ駄目だ!!」
クロードはユニを抱えて4302号室を飛び出した。

       数分後    連合軍格納庫

病室から格納庫まで、奇跡的に誰にも遭遇することはなかったが、格納庫内には整備員がうじゃうじゃいた。
「(どうする?俺!)」
思わずMMIペンダントを握り締める。
「(こいつを使おう。)」
MMIペンダントが光ると、またさっきの通信が聞こえてくる。
『・・いへんです!4302号室には倒れたパイロットしかおりません!!・・』
『・・に!?探せ!!おそらく一緒にいたクロード・ドガだろう。確保しろ。おそらくヤツは・・』
どうやら脱走がバレたようだった。
「(まずいな。急ごう。)」
クロードはMMIペンダントで格納庫のセキュリティシステムにハッキングし、外の警報を鳴らす。
  ルー ルー
「どうした?」
「何があった?」
整備員達が外に走っていく。
「今だ!!」
クロードはヴァンナイトのコックピットに飛び乗り、起動する。
「隊長?」
偶然隣のヴァンビンを整備していたビリーに見つかる。
「何してるんですか?」
ビリーが聞くが、クロードは答えない。
「ヴァンナイトは今日引継ぎで・・・隊長!?」
クロードとユニの乗ったヴァンナイトがフォトンウィングを出力させる。
「隊長!?何する気です?軍法会議者ですよ!!」
その時、ビリーのヴァンビンに通信が入る。
『クロードを止めろ。これは命令だ!実弾を使用しても構わん。奴を取り押さえろ!』
軍の上層部からの命令だった。
「しかし!!」
抵抗しようとするビリー。
『やれ!!』
しかし、軍人とは上の命令に従ってこその物だとビリーは思った。
「了解。」
ビリーのヴァンビンがヴァンナイトの行く道をふさぐ。
「やめてください!隊長!こんなことして・・」
ビリーがヴァンナイトに通信を入れる。
「どけっ!!」
クロードのMMIペンダントが光る。
ヴァンナイトは両腕のワイヤーロッドを同時射出してヴァンビンの両腕に突き刺さる。
「隊長!」
それでも呼びかけるビリー。
「すまない。ビリー。」
クロードはロッドを急速で巻きもどし、向かってくるヴァンビンのボディを蹴り飛ばす。
その衝撃でヴァンビンの両腕がもげ、残す武装を両足のマイクロミサイルのみとする。
が、格納庫の中ではミサイルを使えない。
そこまでを計算してでのヴァンナイトの攻撃だった。
「(勝てない。)」
ヴァンナイトは格納庫の扉を無理やりこじ開けて飛び去っていく。
「(隊長には、勝てない。・・・?)」
ヴァンナイトを追うように倒れたヴァンビンの横を何かが走り、飛び去っていく。
「(見慣れない機体だな。なんだ?)」

               惑星ミラリオン上空

「さて、飛び出したはいいものの、これからどうす・・・!?」
コンピュータがロックされたことを示すアラートを出す。
「ロックされた!?だれだ!?」
後ろから追ってきているのは見慣れないBAだった。
ずんぐりしている割には早い。
「ちっ。」
クロードはマイクロミサイルの雨を何とか凌ぎ、フォトンソードを出力し、切りかかる。
「このぉぉぉぉぉ!!」
しかし、充電し切れていないバッテリーのでは思うように刃が形成できず、フォトンシールドで受け止められる。
クロードは急いでソードにエネルギーを集中させるように設定しようとするが、目の前で防御する機体に変化がおきる。
両腕と両足に縦に亀裂が入り、装甲がスライドし、無数のフォトンレーザーの発射口が顔を出す。
「まずい!!この至近距離でっ!!!」
あわてて回避運動をするが間に合わない。
「フォトンウィングに被弾!体勢が・・・戻らない!!落ちる!!」
体制を保てなくなったヴァンナイトは重力に任せて落下していった。
クロードはユニを怪我しないように抱きしめていたが、落下のGに耐えきれずに気を失う。
上空にはずんぐりしたBAがたたずんでいた。

                  UMKNOWN

「(ここは?どこだ?おれは?それよりもユニは?)」
クロードは目を開ける。
そこは病室でベッドの横には金髪の少年が座っていた。
「大丈夫か?」
金髪で真っ赤な制服に金色の瞳の少年が言う。
「お前は!?ジ・アース人!?」
ここはASCPの戦艦レグルスの医務室だった。

                   つづく

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