Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2005/06/21
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カテゴリ: エトセトラ
 梅雨入りしたというのに、雨はほとんど降らない。雨が降らないのは、JRの脱線事故で家族や友人をなくした人たちが、「涙の雨を、もう枯れて出なくなるまで降らせてしまったから…」と言う人がいたが、それほど、事故後の関西は悲しい、重苦しい日々が続いた。JR Takaraduka Line:05.6.19

 皆さんもご存じのように、脱線事故で107人もの犠牲者を出したJR宝塚線(福知山線)が55日ぶりに、19日(日)から運転を再開した。新聞やテレビのニュースによれば、事故現場を通る際、窓に向かって手を合わせる乗客の姿が目立ったという( 写真左 (C ) Asahi Shimbun )。

 かけがえのない家族をなくした遺族にとっては、運転再開は、悪夢を思い出させる節目に映るかもしれない。第1回の遺族説明会も始まり、これから補償交渉は本格化するが、遺族にとっては「お金よりも家族を返してー」という思いが、いまさらながら募るだろう。

 僕は同じJRの神戸線で通勤しているので、尼崎駅は通過するか、乗り換えの駅として使うだけだった。だからこの55日間、直接、通勤で迷惑を被ることはなかった(ただ帰りは、尼崎止まりの列車が増えて、乗り換える回数が増えたのは面倒だったが…)。( 写真右 =事故現場を通過する運転再開の電車  (C ) Kyodo News )。JR Takarazuka Line at The Scene

 それはともかく、この事故で改めて思ったことは、効率とか便利とかスピードをただ追い求めることのむなしさだ。別にダイヤ通りでなくても安全であることの方が、非効率であっても環境にやさしいことの方が、競争よりも助け合いの方が大切ではないのかということを、気づかせてくれたのもこの惨事だった。



 昔、ニューヨークから列車に乗り、コネチカット方面の電車に乗ったときのこと。列車の発車時刻は一応、印刷されたものはある。だが、現地の人から「ダイヤはあてにならないよ」と聞いていたので、時間の余裕を持って、マンハッタンのグランド・セントラル駅へ向かった。Ajisai in full bloom

 驚いたことに改札口がなく、切符を買って、そのままホームへ行って乗るだけ。列車は案の定、約10分遅れで発車したが、発車の合図(ベル)もまったくなし。「次は**駅ー」というアナウンスも途中、あったり、なかったり。要するに、自己責任の世界と言えばいいのか?(車内検札は一応あったように記憶しているが…)。

 フランスでパリ市内の駅から、ヴェルサイユ行きの列車に乗った際も、改札口はなく、車内検札もなかった。日本のような、ホームや車内での過剰なアナウンスも一切ない。終点のヴェルサイユ駅では、改札口にある箱に切符を入れるだけ。「これじゃ、キセルしてもばれないねー」なんて、連れ合いと話していたのを覚えている。

 それに比べて、日本ほど便利で効率的で、何事にも時間の正確さを求める国は、おそらく世界中探してもないだろう。うちの近所には、歩いて数分の圏内に24時間開いているコンビニやスーパーが計3軒もある。

 だが、そんなにたくさんコンビニがあっても、深夜、買いに来る人の数はしれている。明日の昼頃には、また、弁当や生鮮食品などが「賞味期限切れ」を理由に、大量に廃棄されるのだろう。無駄な生産がなんと多いことだろうか。

 今年は、身近な生活を一つひとつ見直していこうと思う。他人と競争することには、甲状腺がんの手術をしてから、ほとんど興味はなくなった。無駄なモノを買ったり、環境に優しくないことをしたり、そんなことをしていないかどうか、もう一度、一つひとつ自分に問い直していこう。

 水無月。我が家のアジサイも、見頃の季節になった( 写真左下 )。季節季節の花たちを、普通に、当たり前に愛(め)でられる、ささやかな幸せがいま一番うれしい。





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Last updated  2005/06/21 11:18:22 AM コメント(13) | コメントを書く


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うらんかんろ

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Comments

kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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