Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2016/11/17
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6.アヴィエイション(Aviation)

【現代の標準的なレシピ】 【スタイル】 シェイク

 「アヴィエーション」は日本でも欧米でもメジャーなカクテルではありませんが、誕生から一世紀を生き抜いてきたクラシック・カクテルの一つです。欧米のバーテンダーにとっては、今も「マスト・アイテム」なカクテルとも言われています。

 ニューヨーク・ワリックホテル(the Hotel Wallick)のチーフ・バーテンダーだったヒューゴ・エンスリン(Hugo Ensslin 1880~1929)が1910年代に考案し、エンスリン自身が1916年に出版したカクテルブック「Recipes for Mixed Drinks」に初めて収録されています(レシピはジン3分の2、レモン・ジュース3分の1、マラスキーノ2dash、ヴァイオレット・リキュール2dash。出典:Wikipedia英語版)。

 「Aviation」とは直訳すれば「航空技術(産業)」「軍用機」。エンスリンが考案した1916年は、プロペラの戦闘機が初めて実戦で使用された第一次世界大戦のさ中でした。今後の航空機時代を予感させる、そうした世相を反映して考案されたのでしょう(旅客を乗せて飛ぶ定期航空路の開設はもう少し後で、1930年代です)。

 当初のエンスリンのレシピには、ヴァイオレット・リキュールも2dash入っていましたが、「サヴォイ・カクテルブック(The Savoy Cocktail Book)」(1930年刊)で著者ハリー・クラドック(Harry Craddock)がヴァイオレット・リキュール抜きのレシピを示したため、現在ではこちらの方が主流となっています(エンスリンは、禁酒法が施行されるまではニューヨークで働きましたが、バーテンダーとして働く場を失うとペンシルベニアへ移り、別のホテルで働きました。1929年、理由は明らかでありませんが49歳の若さでピストル自殺しています)。

 参考までに1930~50年代のカクテルブックに見られる「アヴィエーション」のレシピを見てみましょう。
 ・「The Savoy Cocktail Book」(1930年刊)英 ジン3分の2、レモン・ジュース3分の1、マラスキーノ2dash
 ・「World Drinks and How To Mix Them」(1934年刊)米 ジン3分の2、レモン・ジュース3分の1、マラスキーノ2dash(※「Aviation No.3」という名で収録。「No.1」はデュボネ・ベース、「No.2」はウイスキー・ベースの別レシピのカクテル)
 ・「Café Royale Cocktail Book」(1937年刊)英 ジン3分の2、レモン・ジュース3分の1、マラスキーノ2dash
 ・「Trader Vic's Bartender's Guide」(1947年刊)米 デュボネ2分の1、スイート・シェリー2分の1、オレンジ・ピール
 ・「The Official Mixer's Manual」(1948年刊)米 ジン3分の2、レモン・ジュース3分の1、マラスキーノ2dash アプリコット・ブランデー2dash
 ・「Esquire Drink Book」(1956年刊)米 ジン11分の8、レモン・ジュース11分の2、マラスキーノ11分の1

 なお、このアヴィエイション(※「エイヴィエイション」と発音する方が原語に近い)は、現在でもデュボネ・ベース(上記「Trader Vic’s…」参照)またはウイスキー・ベースの同名カクテルが見受けられますが、知名度という意味ではやはりこのジン・ベースのオリジナルが勝ります。

 「アヴィエーション」が日本にいつ頃お目見えしたのかは定かではありませんが、戦後間もない時期には伝わっていたのではないかと推測されています。文献に登場するのは60年代に入ってからです。

【確認できる日本初出資料】 カクテルガイド(落合芳明著、1961年刊)。レシピは、ジン5分の3、レモン・ジュース5分の1、マラスキーノ3dash、アプリコット・ブランデー3dash。



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うらんかんろ

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Comments

汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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