Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

2017/10/09
XML
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
 69.ピーニャ・コラーダ(Piña Colada)

【現代の標準的なレシピ】 【スタイル】 シェイクまたはブレンダー

 「ピーニャ・コラーダ」は米国の自治州、プエルトリコの国民的ドリンクです。その「ルーツ」は1800年代にロベルト・コフレッシ(Roberto Cofresi)というプエルトリコの海賊が、部下たちの士気を鼓舞するために作ったラムとパイナップル、ココナツを使ったドリンクに遡るとも言われていますが、コフレッシのオリジナル・レシピは伝わっておらず、真偽の程は定かではありません(出典:海外の複数の専門サイト)。

 一方で、Wikipedia英語版によれば、「1922年に発行された『Travel Magazine』という雑誌(12月号)に『ピニャ・コラーダという名のドリンク』が紹介されている」とのことですが、ラムとパイナップル・ジュースだけのドリンクで、肝心のココナツミルクを使っていないため、現代のピーニャ・コラーダの原型と言うには、少し無理がありそうです(出典:Wikipedia英語版)。

 カクテル名は、スペイン語で「裏ごししたパイナップル」という意味です。潰したパイナップルを裏ごししてジュースを採ったことがその名の由来と伝えられています。ただし、当初は「ピーニャ・コラーダ」とは呼ばれておらず、現在の名で定着するのは60年代半ば以降とのことです(出典:Wikipedia英語版&日本語版)(「パイナップルの茂る峠」との意味だという説もありますが、真偽の程は分かりません → 出典:Kotobank.jpほか)。

 さて現代版のピーニャ・コラーダの起源については、現在までのところ、3人のバーテンダーが「自らが考案した」と主張していて、決着はついていません。

 1人は、プエルトリコの首都サンファン(San Juan)にあるカリブ・ヒルトンホテル(The Caribe Hilton Hotel)のバーテンダー、モンチート(Monchitoはあだ名で、本名はラモン・マレーロ・ペレス <Ramón Marrero Pérez>)。モンチートは、同ホテルの「ビーチコマー・バー」で働いていましたが、1954年、「Don Q」というゴールド・ラムをベースに、この年初めて商品化されたココナツ・クリームを使って考案したというのです。
 モンチートはその後、1989年までの35年間、このピーニャ・コラーダをつくり続けました。同ホテルは、プエリトリコ州の知事から二度に渡って「ピーニャ・コラーダ誕生の地」というお墨付き(認証)をもらっていると言います(出典:Wikipedia英語版)。 

 もう1人は、同じカリブ・ヒルトンホテルのバーの支配人、リカルド・ガルシア(Ricardo Garcia)。彼も1954年に、当時入手できるようになったココナツ・クリームの缶詰をつかって、新しい「ウェルカム・ドリンク」として考案したとのこと(出典:Portions of the Caribbean<Jeff Berry著>、Meehan's Bartender Manual<Jim Meehan著>からの引用)。前述のモンチートと時期がまったく同じなので、ひょっとして、ガルシアはモンチートの上司で、両者が「自分が考案した」と主張している可能性も?)。

 さらにもう1人は、サンファンの「バラチーナ(Barrachina)」というレストランのバーテンダー、ラモン・ポルタス・ミニョ(Ramón Portas Mingot) 。ブエノスアイレスの有名なバーからやって来て働いていたミニョは、「1963年に自らが考案した」と主張し、同レストランも外壁に「ピーニャ・コラーダ誕生の地」というプレートを飾り、ミニョの主張を支持しています。つまり現状では、3人が「自分たちこそが考案者」と主張しているようです(出典:同)。

 なお、「ピーニャ・コラーダ」は1978年、プエルトリコ政府から「ナショナル・ドリンク」に認定され、毎年7月10日は「ピーニャ・コラーダの日」に制定されているとのことです(出典:同)。

 「ピーニャ・コラーダ」が欧米のカクテルブックで初めて紹介されたのは、現時点で確認できた限りでは、米国で出版された1976年版の「Mr. Boston Official Bartender's Guide」です。そのレシピは「ホワイト・ラム3オンス、ココナツ・ミルク3tsp、パイナップルを潰したもの3tsp、クラッシュド・アイス2カップを一緒にブレンダーにかける」で、現代レシピに比べるとラムが多めです。

 ご参考までに、80年代のカクテルブックから、ピーニャ・コラーダのレシピを少し見ておきましょう。
・「The Pocket Bar Book」(Micheal Jackson著、1980年刊)米
 ゴールド・ラム2~3オンス、ココナツミルク1.5~2オンス、潰したパイナップル(またはパイナップル・ジュース)3~4オンス、クラッシュド・アイス1杯分を一緒にシェイクするかブレンダーにかける。コリンズグラスにクラッシュド・アイスを入れ、注いだ後、カット・パイナップルを飾る」とあります。
 ※著者は後にウイスキー評論家として有名になったあの方です。「1970年代に現れて地歩を固めたミックス・ドリンクの中で、ピーニャ・コラーダほど広範な人気を勝ち得たカクテルは他にない」とコメントしており、70年代に米国内で人気が急上昇したことが伺えます。

・「The Vogue Cocktail Book」(Henry McNulty著、1982年刊)米
 ホワイト・ラム(またはテキーラ)2オンス、ココナツ・クリーム(またはココナツ・リキュール)2.5オンス、パイナップル・ジュース3オンス、氷(ブレンダーまたはシェイク)

・「Cocktails」(Hilary Walden著、1985年刊)英
 ホワイト・ラム5分の1、ココナツ・ミルク5分の2、パイナップル・ジュース5分の2、氷(シェイクまたはブレンダー)

 1970年代、全米で普及したピーニャ・コラーダは80年代に入ると、トロピカル・カクテルのスタンダードとしてその地位・知名度を不動のものにし、90年代以降のカクテルブックでは、欠かせないドリンクとなりました。なお、現代のバーでは、フローズン・スタイルでつくられることも珍しくありません。

 ピーニャ・コラーダは、日本には70年代末までは伝わったと思われますが、当時はココナツ・クリーム(またはココナツ・ミルク)の入手が難しかったため、あまり普及はしませんでした。街場のバーのメニューとしてよく知られるようになるのは1980年代後半以降です。

【確認できる日本初出資料】 「カクテル入門」(福西英三著、1982年刊)。レシピは「ホワイト・ラム30ml、ココナツ・ミルク45ml、パイナップル・ジュース80ml、材料をすべてシェイクし、クラッシュド・アイスを入れたグラスに注ぐ。飾り=パイナップル・スライス&マラスキーノ・チェリー」となっています。



・こちらもクリックして見てねー! 【人気ブログランキング】






PR

Profile

うらんかんろ

うらんかんろ

Comments

汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

Free Space

▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。 ▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

神戸の残り香 [ 成田一徹 ]
価格:1980円(税込、送料無料) (2021/5/29時点)


▼コロナ禍の家飲みには、Bar UKのハウス・ウイスキーでもあるDewar's White Labelはいかが?ハイボールに最も相性が良いウイスキーですよ。 ▼ワンランク上の家飲みはいかが? Bar UKのおすすめは、”アイラの女王”ボウモア(Bowmore)です。バランスの良さに定評がある、スモーキーなモルト。ぜひストレートかロックでゆっくりと味わってみてください。クールダウンのチェイサー(水)もお忘れなく…。

Favorite Blog

「続・水無月」 はなだんなさん

安芸の宮島。 きんちゃん1690さん

LADY BIRD の こんな… Lady Birdさん
きのこ徒然日誌  … aracashiさん
猫じゃらしの猫まんま 武則天さん
久里風のホームページ 久里風さん
閑話休題 ~今日を… 汪(ワン)さん
BARで描く絵日記 パブデ・ピカソさん
ブログ版 南堀江法… やまうち27さん
イタリアワインと音… yoda3さん

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: