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一般に「アメリカ五大オーケストラ (Big Five)」と呼ばれるものがあるそうです。ニューヨークフィルシカゴ交響楽団ボストン交響楽団クリーブランド管弦楽団フィラデルフィア管弦楽団(順不同) 先週クリーブランド管弦楽団を聴く機会がありまして、……ということは、ついに僕は五大オケ全てを制覇できたことになります。しかもそれぞれの地元で聴けました。 めでたしめでたし。 興味深いのは、五大オケのある都市が必ずしもアメリカで人口の多い上位五都市と一致するわけではないということ。 この五都市に共通するのは、強いて挙げれば海や湖のほとりってとこぐらい。冬の寒さもハンパぢゃないし。シカゴにいたっては、またの名を Windy City 風の街! ボストンもクリーブランドも、決して大都会なんかじゃありません。人口50万ぐらいなはず。たぶん金沢市ぐらいの大きさ。それなのに、定期は三、四回も繰り返して公演するし、すごく音楽文化が根付いてる町。おそらく、スポンサーとかの仕組みがうまく機能してるうえ、地元に優秀な音楽大学があるというのも必要にして十分な条件なのでしょう。 そして、そのオケは地元の人には「おらがまち」自慢のいとおしい存在。 生粋のニューヨーク市民は、ニューヨークフィルのことをいちいち New York Philharmonic なんて呼びません。「ザ・フィル」とだけ呼びます。同様にシカゴやボストンの人は自分んとこのオケを「ザ・シンフォニー」とだけ呼ぶ。クリーブランド管なんて、なんと「ザ・クリーブランド」で通じるとか。 東京や大阪、ロンドンとかのようにオケがいっぱいあって選択肢の多い都市に住んでる人を羨ましいとも思いますが、「ザ」をつけて呼べる自慢のご当地オケがある町で生まれ育った人ってのもまた羨ましく思うわけで。
Mar 29, 2008
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「メタボ系。」 長年の夢がついに実現。ベートーベンの七重奏曲を弾くことができた。 このプチ交響曲を弾く機会なんて一生に一度あるかないか。同意者を集うのにも苦労したし、さらう期間も短かったけど、メンツにも恵まれ至福。 バイオリン: (自分) ビオラ: ローラ チェロ: ボブ コントラバス: ジェフ クラリネット: モーシェ ホルン: リチャード ファゴット: ジム 以上七人の侍のなかで、唯一、実音でト音記号を弾いてるのが僕。ほかのみんなは中低音。ちょっと気を緩めると重たい音楽になってしまう。お腹まわりが充実しているメタボリック系の編成。 指揮者なしのオーケストラでコンマスを弾いてるような責任感/恐怖感につぶれそうになるけど、みんなに励まされながらなんとか楽しく合わせることができた。 全部で六つも楽章がある。メヌエットありスケルツォあり、お約束の変奏ものもあって盛りだくさん。で、僕が特に気に入ったのは以下の三つの楽章。1楽章 正統派変ホ長調音楽。重厚で神秘的な序奏つき。後半に行くにつれてますます楽しくなる。2楽章 彼自身の弦楽三重奏9-1っぽくもあり、どこか懐かしい感じのアダージョ・カンタービレ。6楽章 なにやら怪しげなアンダンテのあと、いよいよプレスト。どうにも止まらない感じで突進しつづけて、いきなりバイオリンのカデンツァが出てくる。この楽章を弾かずして七重奏曲は語れない。難曲ではあるものの。 それにしても、全六楽章というのは重い。 さすがベト氏だなと思うのは、メタボな編成なのに全体的な味付けは軽やかに若々しく仕上げているとこ。モーツァルト的というか。 実際、2楽章はモーツァルトのクラ五重奏にも似てるし、4楽章の変奏曲は弦楽三重奏ディベルティメントK563のパクりにも聞こえる。調まで同一!***** なお、この曲で一番おいしいパートはずばりクラリネット。フルートやオーボエなどの高音楽器がないぶん、目立ちまくり。 実際、ひとつの席をめぐって、今日は三人のクラリネット奏者が名乗りを上げて争奪戦を繰り広げることになってしまい……。
Mar 23, 2008
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「いっそセレナーデ。」 今日は「室内楽の集い」に参加してきた。ニューヨーク郊外の屋敷を借り切り、プロ/アマ奏者および愛好家30人以上が集まっての春の祭典。 実際に演奏して楽しむ人、呑み喰いに興じる人、情報交換や知人づくりに励む人、自分の出る演奏会の宣伝をする人……。なぜか喧嘩してる酔っ払いもいるし。 僕の参加したセッションは主に二つ。まずはモーツァルトのフルート四重奏ニ長調。トレイシー(fl)、トニー(vn)、僕(va)、ボブ(vc)の四人。 この曲はバイオリンで弾いたことが何度かある。でも、今回ビオラで弾いてみて何か違和感があった。 違和感と言うと語弊があるけど、誰の音を聞きながら弾いたらいいのか不安でしょうがない。 旋律を担当してるのはだいたいフルート。ただ、ビオラ弾きとしては同族のバイオリンのほうが音色的に聞きやすい。また、中低音という立場ではチェロと一緒に組む必要もある。 ビオラの立ち位置がわからないまま右往左往してしまった。弦楽四重奏でビオラを弾く感覚とも全然違う。 そもそも、フルート四重奏ってアンサンブルがほんとに難しい。同じモーツァルトの木管ものだったら、オーボエ四重奏とかクラ五のほうがバランス的に合わせやすい(←言い訳)。 さてこの曲、全部で三楽章しかないし、小品だと思ってると心地よく裏切られる。弦楽のためのディベルティメントK136、137、138みたいな楽しみかたができそう。複数の旋律が同時進行で流れてていつのまにか合流する書法には素直に萌えてしまうわけで。 1楽章も3楽章も、いかにもなニ長調。底抜けに軽やかで華やか、心弾む「ザ・春」。花鳥風月を愛でながら弾きたいところ。 幸福感にあふれているというキャラは、同じモー氏のニ長調で言えば「二台のピアノのためのソナタ」に非常に近い。 で、この曲のほんとにすごいところは、そんな両端の楽章にはさまれてる2楽章。30小節ちょっとしかない短いアダージョ。弦三人のピチカートに乗ってフルートが旋律を歌う。もの哀しい演歌調! 質感のあるピチカートをはじくのが難しい。トニーの提案により、いっそのことセレナーデごっこをすることにした。バイオリンやビオラを、肩に乗せるのではなく、ギターのように横に抱きかかえてピチカート。姫(フルート)の歌を階下で支える。 ギター奏法って意外に手こずる。ほかの弦をはじいちゃったりして。
Mar 23, 2008
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アメリカとカナダにまたがる五大湖。周辺は寒さと強風が厳しいことで知られてます。 今回もいちおう防寒対策は完ペキにしてやってきたつもりだったんですが、甘かった。 今、滞在しているエリー湖の南岸付近では、ゆうべ大雪が降ってしまいました。 対岸のカナダはもっとタイヘンなことになってるのでしょうか。 湖面はまだ凍ってます。
Mar 22, 2008
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今、オハイオ州クリーブランド市を訪ねております。さぶいです。小雪が舞ってます。 クリーブランドといえば有名なオケがある町。で、催しものを確認してみると、ちょうど公演がありましたっ。しかも五嶋みどり氏がチャイコンを弾かれる。 「いやぁー、オレって日頃の行ないがよっぽどいいんだなー」と悦に入りつつ、いそいそと聴きに行ってまいりました。四公演あるうちの今日が初日。***** 一曲めは、プエルトリコ出身の現役作曲家ロベルト・シエラ Roberto Sierra の「ファンダンゴ Fandangos」。スペイン風舞踏曲。最初から最後までノリノリ。実にわかりやすい曲/演奏で、つかみはオーケー。 ちなみに指揮者(今日は客演)もラテン系、ジャンカルロ・ゲレロ Giancarlo Guerrero。コスタリカ出身。バランス感覚が秀逸。 二曲め、チャイコフスキーのバイオリン協奏曲。 さすがは五嶋さん、壮大さと華麗さと緻密さを織り交ぜながら、しかし焦らずに大きく音楽を進めます。 ガムシャラに弾いてる感がないのに、ぐっと圧倒されます。 無礼を承知で例えると、今宵の彼女のキャラは、1楽章は「大人のオンナ」風、2楽章は「♪人生いろいろ、男もいろいろ」風、3楽章は「おてんば娘」風。 艶のある演奏で、いやみのない範囲内でコブシも回しまくり。「五嶋節」が炸裂してました。(←ごとうブシと読みます。ごとうセツさんぢゃなく) 終了後は割れんばかりの拍手。なかなか鳴り止みませんでした。 最上階の客までびっしり総立ち。今日の会場は、あらゆる年齢層のあらゆる人種の観客で埋め尽くされてましたが、万人を納得させる演奏でした。 世界の Midori。同じ日本人として誇らしく思いました。←勝手に身内のつもり。 休憩後はムソルグスキー「展覧会の絵」(ラヴェル編)。このド派手な曲をすっきりとまとめ上げてました。 「古城」はサックス独奏が渋い曲ですが、最後にサックスが独りで伸ばすところ、僕が今までに聴いた「展覧会」のなかで一番長いフェルマータでした。聴いてて窒息しそうになりました。***** それにしてもこのオケ、ほんとに瑕(キズ)がない。凹凸がなく、あんまりクセがないのは意外。 オケ同様、ホールも気に入りました。ジョージ・セル氏の霊に温かく見守られているような、古風で欧州的な華があります。 舞台の奏者の音をもれなく拾うだけでなく、客席の雑音までも丁寧に響かせてくれるホールです……。 アールデコ調(?)の譜面台 セベランスホール Severance Hall
Mar 20, 2008
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「田舎に泊まろう!」 演奏旅行のためにイスラエルにやってきたエジプトの警察音楽隊。目的地とは別の町にたどり着いてしまい、その田舎町で一夜を過ごすはめに。 宗教や文化、言語の壁をも乗り越えて、不器用ながらも地元の人と交流する楽団員らの悲喜こもごも。 イスラエル人どうしの会話はヘブライ語、エジプト人どうしはアラビア語。両者の会話は英語で。 英語での題は The Band's Visit 舞台がイスラエルだけあって、アメリカ映画でもヨーロッパ映画でもない独特の雰囲気が漂っている。そして、会話の「間」のとりかたが、どことなく日本的にすら感じられて心地よい。 実に面白かった。おとぼけ楽団員たちのウルルン滞在記、それは自分を見つめ直す機会にもなる。淡々と描かれていて、時にホロリとしてしまう。 地元の純情少年に「オンナの口説きかた」を教える金管奏者。 自作の楽曲をなかなか完成させられず、行き詰まっているナンチャッテ作曲家。 父子ほど歳の離れている新入隊員の奔放ぶりに戸惑いまくる初老の指揮者。 そして、そんな突然の訪問客らを受け入れる町の住人たちが良かった。過剰におもてなしをすることなく、自然体で異国の客に接している。 特に、食堂の女主人に好印象を持てた。僕のもつイスラエル美人の印象そのもの。翳りがあって、化粧は薄くて、声が低くて、煙草を吸う。 アラブとイスラエル間の政治的な問題を忘れ去れてくれるような爽快かつ心温まる映画だった。 ***** ふと思い出したのが、ユアン・マグレガー主演映画「ブラス! Brassed Off」(1996年イギリス)。 北イングランドの炭鉱町でほそぼそと活動する吹奏楽団でも、やはり、なにかの事件を機に楽団内の人間模様が表面化してしまう。でも結局は団員どうしの絆が深まるいい機会でもあるわけで。
Mar 17, 2008
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突然ですが、クラシック音楽の曲名について、どうしても自分なりに整理しておきたく筆をとってます。 こちら英語圏で音楽関係の話をしていて困ることがよくありまして。 標題つきの楽曲って、日本で定着している曲名をそのまま英訳すると全然通じなかったりします。そもそも英語が原題であるとは限らないし、慣習的な呼びかたがあったりもします。 初めて「せんじょんぱっしょん by ばっく」と聞いたときは、それがヨハネ受難曲のことだなんて見当もつきませんでした(St John Passion。マタイは St Matthew)。 せっせと一つひとつ覚えていくしかないのでしょうか。 というわけで、いくつかに分類してみることにいたしましょう、そうしましょう。1.初級編■有名な曲なので是非覚えておきたいもの 英雄 交響曲エロイカ。ヒーロー的 Heroic とはあまり言わない。 巨人 日本語でもキョジンの発音が分かれるところ。マーラーはタイタン、読売はジャイアンツ。 死と乙女 Death and the Maiden。ガールやギャルじゃない。D&Mと略す(たぶん)。■固有名詞だけで充分通じるので、全部を横文字で言えなくても別に困らないもの(←こら) ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら Till Eulenspiegel's Merry Pranks ツァラトゥストラはこう語った Thus Spake Zarathustra (Thus Spoke Zarathustra)2.中級編■日本語の題をそのまま英訳するのは危険、潔く丸暗記が必要なもの 復活 マラ2は Resurrection。リターンとかカムバックとかぢゃなく。 威風堂々 Pomp and Circumstance。ポンプ pump と勘違いしがち。 大学祝典序曲 Academic Festival Overture。ユニバーシティーとか言いたいけど。 春の祭典 The Rite of Spring。スプリングフェスティバルとか言いたいけど。■日本語やドイツ語の題だと威厳があるのに、英語だと軽妙すぎて、なんだかなぁー、なもの 魔笛 まじっく・ふるーと The Magic Flute 神々の黄昏 とわいらいと・おぶ・ざ・ごっづ Twilight of the Gods さまよえるオランダ人 ふらいんぐ・だっちまん The Flying Dutchman 3.上級編■超難題、英語での題名を言えるアナタはクラヲタ王 後宮からの誘拐 The Abduction from the Seraglio 売られた花嫁 The Bartered Bride だったん人の踊り Polovetsian Dances 剣の舞 Sabre Dance4.番外編■英語での標題がついてないもの 運命 第五 The Fifth と呼ぶのが一般。Fateでも通じるが、Destiny とは言わない。 革命 ショス5も標題はないはず。Revolution とか言わないし。ショパンのは Revolutionary?***** そーいえば昔、誰かと話してて「剣の舞」を英語で伝えることができず、しかも「ハチャトリアン」も通じず(英語ではかちゃちゅぅりあん?)、しょーがないので一節を歌って聞かせたことがあります。 それでも通じなかった音痴なワタクシ……(笑)。 ところで、こう並べてみると、原題が英語っていうのはまずない。すぐに思いつく有名どころでは、West Side Story とか Appalachian Spring ぐらいでしょうか。 原題をできるだけ尊重しようという風潮は業界でも広まってるようです。アメリカ国内ですら、幻想交響曲を「ファンタスティック・シンフォニー」と英語呼びすると素人呼ばわりされてしまいます。シンフォニー・ファンタスティーク Symphonie Fantastique とフレンチに呼ぶのが好まれるわけです。微妙な違いですが。 あと、同じモーツァルトのオペラでも、正統派クラシック愛好家なら、ドイツ語で歌われる「魔笛」は題名もドイツ語で呼び(Die Zauberflöte)、イタリア語で歌われる「フィガロ」はイタリア語で呼ぶようです(Le Nozze di Figaro)。 あー、めんどくさ……。
Mar 12, 2008
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「やもめが翔んだ日。」 僕としたことが、観てて思わずプチ号泣してしまった(←なんじゃそりゃ)。 戦地に出向いてる妻グレース(兵士)の訃報を聞いて途方に暮れる主人公。 母親が亡くなったことをふたりの娘たちになかなか言い出せない彼は、旅に出ようと彼女らを誘い、シカゴから遥かフロリダまでの大陸縦断ロードトリップに出る。 ←英語版サイト 日本語版サイト→ ジョン・キューザックという俳優は、こういう不器用な男の役がほんとに上手い。 妻の声で応答設定していた自宅の留守電に外から何度も電話してしまう場面とか、決して仲良くはない自分の弟を衝動的に訪ねては、ぎこちない会話をする場面とか。 むずかしいお年頃の娘ふたりを演じた子役らもお見事。 いつもはマジメな長女が、知らない男と一緒に深夜に煙草を吸う場面とか、耳にピアスを開けた次女が、「大人のオンナ」になった喜びを母親と共有できない寂しさに引きこもる場面とか。 詳しくは書けないけれど、最後のフロリダの海辺の場面は、音声的に裏ワザを使って編集していて、これには賛否両論。***** 戦士の戦死、および残された家族という重い問題を扱ってる映画のわりに、声高に反戦を謳っているわけでもない。軍関連の描写は最小限に抑えてある。 でも、観終わった後に各人いろいろと考えてしまうに違いない。 今日の映画館でも嗚咽やすすり泣きがこだましていた。 「戦争を知らない子供たち」の一員を自負している僕ではあるけれど、アメリカに住んでると戦争を身近に感じざるを得ない。自分の周りにも予備役軍人が何人かいて、ふだんは普通に暮らしているのに、召集がかかると戦地へ飛んでいく。イラクとか。 ちょうど先週、アフガニスタンに駐留している友だちから写真が送信されてきた。雄大な自然の写真。彼は元気でやってるらしく、とりあえずは安心。
Mar 9, 2008
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「世界の車窓から。」 僕の知るかぎり、結局こちらアメリカでは劇場公開されるにいたらなかった不運な映画。イギリス在住の人に勧められ是非観たいと思い続けていて、ついにDVDを発見。やっと鑑賞することができた。 インスブルックからローマへと行く列車や駅構内での人間模様。 エルマンノ・オルミ(イタリア)、アッバス・キアロスタミ(イラン)、ケン・ローチ(イギリス)の三人が監督していて、大きく三つの場面に分かれている。 ヨーロッパを鉄道で旅したことのある人なら馴染みのある光景が次々と出てくる。単なる鉄道おたくをも萌えさせる映画のハズ。 さまざまな国籍や階層の人が乗り合わせている。兵士とか難民とかサッカー好きフーリガンとか。 基本的には重くて暗い映画だけど、ローマの駅に到着する最後の場面は爽快にすがすがしく終わる(という印象を受ける)。 ずばり、気に入った。自分のツボに見事にハマった感じ。 スコットランド人が(英語で)話す場面にも英語字幕がついていたのには救われた。個人的には好きな訛り/響きではあるけど、やっぱりなかなか聞き取れないし。 それにしても、映画産業が成熟しているアメリカですら配給されなかったなんて残念。渋くて深い映画なのにもったいない。 逆に日本できちんと劇場公開されてたというのには嬉しい驚き(邦題「明日へのチケット」)。こうゆう映画をもっと観てみたい。好みははっきり分かれるだろうけど。
Mar 8, 2008
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自分の四半世紀近くにおよぶアマチュアオーケストラ歴のなかで気づいたこと。 オケにはそれぞれに特有の「掟」があり、ときにこちらの常識があちらの非常識になることがある。コンマスや幹部の偉さ加減とか、本番の舞台上での作法とか、どれもちょっとしたことなのだが、苦笑または狼狽してしまったことが多々ある。 古今東西のオケにおよそ共通な約束ごとと言えば、本番用衣装は黒の上下ということぐらいだろうか。 それでも、例えば男性の場合、黒またはそれに準ずる色、という緩い表現のとこもあれば、(カタチから入るのが好きな)アメリカ合衆国の場合だと、タキシード、さらには、燕尾服とはっきり指定するオケもある。 以下も僕が実際に所属してたオケでの実例。基本的には、周りの奏者の迷惑にならないように、という理由によるものだと思うけど、あんまり説得力がないような。■本番当日は香水を使用しないこと。■本番前日/当日はニンニクやアルコールは控えること。喫煙も。■女性は、腕や肩、脚などを露出しないこと。(男性指揮者を悩殺してしまうから)■指輪、耳輪、腕輪、首輪などをつけないこと。(光りものは反射して眩しいし、ジャラジャラ音がなる)■衣装は全身黒を着用すること。下着も黒にすること。 ま、さすがに実際に下着の色まで検査されることはなかったけれど、小心者の僕は、抜き打ち検査を恐れ、律儀に黒いのを履いていったりもして(笑)。***** さて、意外な盲点はハンカチの色。そこまで規定してるオケはないかも。 自分の汗をぬぐったり楽器を拭いたり、舞台上でハンカチを使う奏者は多いはず。僕自身も本番では(冷や)汗をかくので、自称ハンカチ王子。 事件は先月の本番で起こった。 とある奏者が、舞台上でド派手な黄色いハンカチを使用していた。で、そのことがオケ内でプチ論争に発展。クラシック演奏会の舞台に黄色いハンカチはふさわしくないのではという保守派の意見が出た。 じゃぁ何色だといいのか。 やはり服装に合わせて黒や白が無難か。 あと、弦楽器は楽器自体が茶色っぽいから、茶色や濃いめの赤も許容されるべきではないか。 でも、それを言うなら、金管楽器の色は黄色に近いわけだし、黄色のハンカチでもいいのでは?***** まぁ、僕としては、そんなことより、ふと太田裕美氏の「木綿のハンカチーフ」を思い出したわけで。 いい曲だと思ふ。泣ける。
Mar 7, 2008
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「美女と夜警」 またまた妙な映画を観てしまった。日本では既に「街のあかり」という邦題で公開済みのフィンランド映画。 孤独な男(夜間警備員)が、謎めいた美女に翻弄されて犯罪に巻き込まれてしまうという話。 英語での題名は Lights in the Dusk 決して僕好みの映画ではないけれど、映画おたくが喜びそうな撮り方をしてる。 フィルムノワールを狙いつつも、どぎつい原色も使用されてて独特なスパイスが効いてるし、暗黒街を舞台としてるのに、ヘルシンキって大都会すぎないから軽い脱力感も醸し出されている。 登場人物全員が常に煙草を吸っているのも特徴。画面がやたらと煙たくなり、不健康感が見事に演出されている。上手いっ。 それにしても、妖しい美女に一途に惚れてしまう男の純粋さは、滑稽であると同時に胸を打たれる。いわゆるファムファタール(運命の女/魔性の女)系の美女って、騙されてるとは知りつつも男には魅力的に映るもの。そのへんの心理は万国共通なわけで。 わかりやすく例えれば、カルメンに虜になるドンホセ、あるいは峰不二子に惑わされるルパン三世の心理といったところか。←はぁ? 奇才かつ鬼才アキ・カウリスマキ監督の佳作。彼の映画は過去に何度か観たことがあるけど、今回初めて、眠りに陥ることなく最後まで観通すことができた!
Mar 2, 2008
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