ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Mar 23, 2008
XML
「いっそセレナーデ。」

 今日は「室内楽の集い」に参加してきた。ニューヨーク郊外の屋敷を借り切り、プロ/アマ奏者および愛好家30人以上が集まっての春の祭典。
 実際に演奏して楽しむ人、呑み喰いに興じる人、情報交換や知人づくりに励む人、自分の出る演奏会の宣伝をする人……。なぜか喧嘩してる酔っ払いもいるし。

 僕の参加したセッションは主に二つ。まずは モーツァルトのフルート四重奏ニ長調 。トレイシー(fl)、トニー(vn)、僕(va)、ボブ(vc)の四人。

 この曲はバイオリンで弾いたことが何度かある。でも、今回ビオラで弾いてみて何か違和感があった。
 違和感と言うと語弊があるけど、誰の音を聞きながら弾いたらいいのか不安でしょうがない。
 旋律を担当してるのはだいたいフルート。ただ、ビオラ弾きとしては同族のバイオリンのほうが音色的に聞きやすい。また、中低音という立場ではチェロと一緒に組む必要もある。
 ビオラの立ち位置がわからないまま右往左往してしまった。弦楽四重奏でビオラを弾く感覚とも全然違う。



 さてこの曲、全部で三楽章しかないし、小品だと思ってると心地よく裏切られる。弦楽のためのディベルティメントK136、137、138みたいな楽しみかたができそう。複数の旋律が同時進行で流れてていつのまにか合流する書法には素直に萌えてしまうわけで。

 1楽章も3楽章も、いかにもなニ長調。底抜けに軽やかで華やか、心弾む「ザ・春」。花鳥風月を愛でながら弾きたいところ。
 幸福感にあふれているというキャラは、同じモー氏のニ長調で言えば「二台のピアノのためのソナタ」に非常に近い。

 で、この曲のほんとにすごいところは、そんな両端の楽章にはさまれてる2楽章。30小節ちょっとしかない短いアダージョ。弦三人のピチカートに乗ってフルートが旋律を歌う。もの哀しい演歌調!

 質感のあるピチカートをはじくのが難しい。トニーの提案により、いっそのことセレナーデごっこをすることにした。バイオリンやビオラを、肩に乗せるのではなく、ギターのように横に抱きかかえてピチカート。姫(フルート)の歌を階下で支える。
 ギター奏法って意外に手こずる。ほかの弦をはじいちゃったりして。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  Mar 27, 2008 08:28:15 AM
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

カレンダー

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

ピカルディの三度TH

ピカルディの三度TH


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: