金曜日、助手がきました.
助手って大げさですが、彼女はイギリスで刺繍を一年学んだ。
その作品は素晴らしい。
ある日やってきた、Cちゃんは悩んでいた。がんばって作品展をしても刺繍というだけで高額な値段が付けれない。
それで、絵を習い、画面の中に刺繍を入れこんで、彼女しかできない世界を作っていきたいと。
御月謝払いますっていうので、じゃあ、助手っていうことで、いろんなこと手伝ってくれる?と契約しました。
昔 小学校の時からうちに遊びに来ていた彼女、もう2児の母です。
金曜日cちゃんと作品の前であれこれ・・・
そこに・・・電話がかかりました。
え0んの診療所からでした。
お母様 尿が出なくて意識も朦朧とされているので、お知らせします。
それ、・・・きた!
何でもない風をしながら・・・、内心はドッキンドッキン・・・・
私は器用な人間でそんなときでも顔一つ変わらない・・・
Cちゃんに絵のことを教えながら、もう一つの頭は段取りを考えていた。
・・・・いつ、妹に知らせるか・・・
早く知らせても、また、いつものように元気になるかも知れない。とりあえず私だけ行ってこよう。。。
夫にはすぐに電話。え0んから連絡があったこと、
夕飯を外で食べてください。
さて、用意!
歳が歳だし、裳の用意をし、長くなってもいいようにいろんなものを詰め込んだ。
目が悪くなってから運転はやめたので、もったいないけど、タクシーを呼んだ。家を出たのは夜の9時。
暫く 自分の家を離れるのでやることがいっぱい・・・・夫の朝の用意、ほうり出している絵具をかたずけ、家を少しきれいに・・・
タクシーに乗り込んだ時はすでにぐったりくたびれていた。
・・湾岸線を走った。海の夜景が後ろへ後ろへと飛んでいく・・・・
この景色を何度見ながら運転しただろうか・・・
それも、今回でおしまいなのかも・・
大きなカーブを曲がると西宮浜。そこから、カブトヤマのほうに向って上に上に登っていく。
裏六甲の道から宝塚のほうへ・・・その奥のベッドで母は待っている。
守衛さんに名前を登録して、診療所へ・・・深夜の診療所は凄味がある。
ナースステーションにゲストルームにいますから、何か変化があれば連絡お願いします。
とりあえず、しばらくの心の準備のために祈った
母に安らかな最期をお与えください。遠くの妹、兄が間に合いますように・
夜中3時 連絡あり、脈拍が30に・・・すぐに階下の診療所へ
今夜ここで寝させていただけませんか?
ということで、母の横に簡易ベッドを置いてもらって、そこで寝ることにした。
でも、一晩中、足から頭からマッサージ・しながら、思い出話をしゃべった。
母からもなにかエネルギーが出ていて、しゃべれないもののいいひと時を過ごした。
夜中4時 血圧も安定して、脈拍も落ち着いていますということ。
私の、マッサージがよかったのかな・・・って。
朝5時になるまで我慢したけど、もう緊張が持たない、
逗子の妹に電話
神戸の兄貴に電話。
二人ともすぐに来ることに・・・・
といっても、兄貴が現れたのは昼前・・むむむ・・・
妹は11時の飛行機に乗りました。
昼過ぎ、先生から血圧が下がってきていると・・・
相変わらずしゃべりかけ、マッサージを続けていたが、胸騒ぎが。
妹に電話。やっと、伊丹についたらしい。
すぐにタクシーで来て!
昼御飯を食べに行った兄貴に、すぐに帰ってきて!
1時過ぎ妹が部屋に飛び込んできた!
兄貴 私 妹 が母のベッドを囲んだ。
息が苦しそう・・・・
がんばれ、がんばれ。。。。
私が背中に手をいれ指圧
そこに、長い間母の世話係をしてきた介護のかわいい人がやってきて、
母は突然目を開けた!じーっとその人の顔を見る・・・
やあ、こんにちわ・・・
みんなで言った。
妹の顔をじーーっとみる。やあ、おかあま、起きたのね!
ち0ですよ!わかる?見えてるのかなあ・・・
見えてる見えてる…みんな勝手なことをいう。
まだ、死ねないわ・・・と冗談を言った。
妹がとにかくゲストルームに荷物を置いてくるね。
その時、母は・・・ホッ…今までにない息使い
ちょっと待って、変よ。
またみんなで母の周りに、また、ホッ・・・・ホッ・・・・・
みんな、自分の息を止めて母を見つめた。
息が止まっている?いや、そんなことないよ・・・ホッ・・・・
ほらね・・・・おかあま、ほら、息をして・・・ほら・!
・・・・・・・しかし、母はそれっきり、息をしなかった。
・・・・・・・・・・・・・・・心臓はかすかに動いているのに・・・
先生を呼ばないと!ドタバタ・・・看護婦さんがやってきて・・・・
もうその時は、
・・・・・・・・確かに母は亡くなっていた。
見事な最期だった。
子供たちに囲まれ、孫も最後に間に合い・・
介護の担当の人に手を握られ・・・・静かに、安らかに旅立った
7月31日 午後13時52分 永眠 94歳
お疲れ様でした。ありがとう…みながそれぞれに言った・
妹が小さな声だけど、タオルで顔を覆いながら、深く泣いた・・・
私は涙がほほをとうとうと流れた・・・
兄貴は・・・どうしてたか覚えていない。
カーテンを開けると、山々は緑で美しく、空は真っ青な夏の一日
母はこの美しいエデンの園から、天国に帰って行った。
母の一生は静かに終わった。ありがとう、ありがとう・・・・