★★＋『利休にたずねよ』～山本兼一

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2010/05/05

関白秀吉の勘気を被った利休の切腹当日から、
時間を遡行して物語は始まる．．．

卓抜した美意識、審美眼を持つ利休は、
多くの大名から無二の絶対基準として崇められ、
恐れられる一方、
その「ブレ」の無い排他的な一徹さゆえに、
権力や名声に群がる者たちにとっては、
疎ましく目障りな存在であった。

利休は唯一、精神的に屈服させられない
自分をも見下す高慢な存在に思えてくるのだった．．．

　●　●　●　●　●　●　●　●　●　●　●

多くの証人が証言台に立つ
法廷小説のような展開で物語は進む。

イエズス会の宣教師・ヴァリアーノの下りがおもしろい。
牢獄のような狭い部屋で、
がらくたに過ぎない土くれの焼き物を
白々しく褒めあう詫び数寄の茶が理解できないと．．．

千利休と言えば、
秀吉に屈せず切腹させられた茶人という認識しかないが、
利休に関わった人々に照らしてその人物像を描きながら、

なるほど．．．そう来たか．．．

冷徹な千利休のイメージに対して、
感情がほとばしる人間臭さが奥底に感じられ、
いろんな利休像を読んでみたくなる一冊だった。

満足度は ★★＋

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Last updated 2010/05/05　06:37:38 PM
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■コメント

Re:★★＋『利休にたずねよ』～山本兼一(05/05)

はざくら２００５さん

長谷川等伯展に行ったら、等伯の描いた利休の肖像がありました。わたしにはなんとなく野中広務氏に似ているように思いました（笑）等伯は同時代の人で、利休とも交際があったのだから、きっと似ているはず。でも、この本を読んでいたら、またイメージが違ったかもしれませんね。 (2010/05/06　05:22:08 PM)

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はざくら２００５さん

pomodori_rossi さん

私のイメージは、去年の大河ドラマ『天地人』での神山繁さんでした。今まであまり関心の無かった千利休に対して興味が持てた一冊でした。
長谷川等伯展と拝見して、現代美術？と勝手に思いこんでいましたが、まさかこの時代の画家とは、はざくらさんの幅広い守備範囲に驚きです！

by pomo (^_^)/~　　 (2010/05/07　01:19:18 AM)

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Re:★★＋『利休にたずねよ』～山本兼一(05/05)

なほまる. さん

お茶を習っていたこともあって、利休といえば、
極限まで省略した美　を追求していた　というイメージです。
この本では、その省略（侘びさび）の中にあった「熱」はなんだろう？
というのをみんながそれぞれの立場で考えてたのかな
なんて思ったりしました。

(2010/05/07　06:54:54 PM)

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なほまる.さん

pomodori_rossi さん

茶道の経験があると、本の感じ方も随分違ったんでしょうね。伝統的な日本文化について、海外の方に説明できる程度の知識・認識がほしいと常々思っています。分かるようで得体の知れない「侘びさび」の精神もその一つです。機会があれば、平易な本でも読んでみたいと思ってます。好著があれば、是非御指南を．．．（笑）

by pomo (^_^)/~　　 (2010/05/11　12:38:38 AM)

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