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☆恋愛小説(2003)☆

恋愛小説(2003)

*2003年に読んだ恋愛小説の感想です。*

♪肩ごしの恋人♪唯川恵(マガジンハウス)
第126回直木賞受賞。萌とるり子は幼稚園からのくされ縁。他人も自分も信用できない萌と女を武器に結婚と離婚を繰り返するり子。彼女らのまわりで翻弄されるのは崇という家出高校生やエビ嫌いの既婚男柿崎、それにゲイのリョウ。るり子の旦那信ちゃん。所詮は男と女。どこまでいっても男と女。女は萌のような人間不信やるり子のような女を前面に出して勝負するような面などいくつも顔があると思う。男は女から見るとどうも煮え切らない。それはやさしさなのか?恋愛も友情もいろんなことをバネにレベルアップしていく彼女達。中々コミカルに面白く読めました。(2003.1.4読了)
♪天国の本屋♪松久淳+田中渉(かまくら春秋社)
大学4年生のさとしは天国の本屋さんでアルバイトをすることになる。そこで現世と天国の秘密を知り、心に傷のあるユイに出会う。彼女を好きになるが、はたしてこの恋の行く末は・・・口コミで話題になった本らしいです。気にはなっていたけど、現物を見たときに「うっ、薄い」と思いました。 あっさりと読めました。でもそれほどの感動の嵐ではなかったかな。摩訶不思議な話です。死んだら天国へ行くのかな~なんて一人考えてしまいました。(2003.1.7読了)
♪七月の水玉♪片岡義男(文芸春秋)
60~70年代を背景に年上の女性と青年の恋愛を描く。6編の短編集。この作家の好きなところは写真集のような小説を書くところ。人物とか背景の描写が素敵なんです。描く女性は皆、知的でキレイ。ファインダーから覗いたような言葉の数々が魅力的です。(2003.1.12読了)
♪彼女は宇宙服を着て眠る♪辻仁成(幻冬舎文庫)
辻氏独特の愛の物語です。短編なのですぐに読めます。結婚式の夜に新郎が新婦を部屋に残し一人の女と会う表題作と砂漠に呑み込まれた三人の人生を描く「超越者」がよかったです。(2003.2.17読了)
♪恋火♪松久淳+田中渉(小学館)
どうやら「天国の本屋」の第三弾のようだ。10年経ったら、いっしょになろう―。若き女性ピアニストと花火師の恋は、突然終りを迎えた。今回の主人公はリストラピアニストの健太。もちろん生きている。天国の本屋に臨時のアルバイトでやってくる。そして現世のもう一人の主人公が飴屋の娘・香夏子。この二人が「その花火を見た二人は、恋が成就する。」という伝説の「恋する花火」と「恋するピアノ組曲」のことを知る。今回のは映画になってもよさそうな感じの流れがあった。ほんわかしたラブストーリーといった感じかな。「うつくしいろのゆめ」というのが第二弾のようなのでそちらも読んでみたい。(2003.2.23読了)
♪海猫♪谷村志穂(新潮社)
義弟との愛に命をかけた母(薫)、その痛みを胸に抱きながらも恋に目覚めるふたりの娘の美輝、美哉。函館、南茅部、札幌を舞台に繰り広げる長編小説。この小説には海の匂いがします。北海道の凍てつくような海。海猫が飛び交う漁村の匂い。物語はその南茅部に嫁ぐ白無垢の花嫁(薫)を乗せたバスの中から始まります。薫は1/4ロシアの血をひく美しい海猫の目のような美人。そこの漁師の元へ嫁ぎ幸せな結婚生活を送っていたはずなのに、夫の弟と最後は不倫心中のごとく、海へ身を投げた。そこまででもかなり衝撃的な内容だったのに、話はまだ続いた。やがて二人の娘が大きくなり、姉の美輝は大学生に。二人の娘は母の数奇な運命に翻弄されながらも恋する心はとめられず。姉の美輝は強いと思った。どこか母に似ているのかなと思う。妹の美哉は繊細だと思う。薫の母が二人の娘を立派に育てあげたことはすごいと思う。薫の弟も出てくるが、最初はどうしようもないやつだと思ったけど、歳をとるとまるくなるのか真面目になるのか、いい意味で収まったのかも。私にはあの海での事件が衝撃すぎて先を読み進むのが少し辛かったが、谷村氏のきれいな文章と昭和30年代という時代の流れに納得せざるを得なかった一冊でした。(2003.3.23読了)
♪愛がなんだ♪角田光代(メディアファクトリー)
28歳のテルコは大好きなマモちゃんから電話があると仕事を放り出して駆けつける。でもマモちゃんはテルコにはそっけない。実はすみれさんという好きな人がいるから。はっきり言って主人公のテルコは好きじゃない。だって、マモちゃんというさえない男に依存しすぎているから。仕事は仕事、恋愛は恋愛だと思う。大好きなマモちゃん(恋人ではない)にいつ呼ばれてもいいように仕事は適当にやるなんて社会人としての自覚がない。だから解雇させられる。当たり前だ。それに懲りてないテルコ。マモちゃんのためにどうにでもなるアルバイトをして最低の賃金を得る。ある種「あんたはエライ!」と思う。テルコの友達の葉子はそういうとこをずばずばと指摘する。読んでいて気分いい。でもテルコは直らないから相当な重症だね。しかもこのマモちゃんとやらはすみれさんに依存している。つまりいいように使われている。テルコだって都合のいい女だけど、このマモちゃんとやらも都合のいい男。何だかうまく循環しているみたいだ。でもね、恋愛って真剣にやりすぎちゃうとこういう風に心も体もささげちゃうものなのかもしれない。普通は理性とか世間体とかいろんな風に当たってうまくバランスがとれるけど、恋愛だけにはまるとそういうバランスがなくなってまわりから「あいつは変だ」って言われるようになるのかもしれないね。(2003.4.4読了)
♪プール♪松久淳+田中渉(小学館)
七通の手紙が彼女のもとに届いた。差出人はすべて不明。手紙は決まって、縦書きの便せんに水性のボールペンで書かれ、最後のページがきれいに一部切り取られていた。やがて、八通目の手紙が託された。そして、それが最後の手紙だった。時代や背景が違う3つの物語が交錯するので時々?となります。少し不思議な話です。読み終えるとせつない感じと自分の昔を思い出すような不思議な感触に包まれました。これは新しい感じの恋愛小説なのでしょうね。(2003.5.7読了)
♪Fine days恋愛小説♪本多孝好(祥伝社)
恋愛小説らしくない恋愛小説。読み進むうちにどこか少しミステリアスでホラーな匂いもする。ここには4つのお話がある。最近転校してきた少しミステリアスな女の子のお話はどことなく怖い。病に倒れた父親の昔の恋人を探す話はどことなく切ない。3話目のお話はゾクゾクとするような怖いお話。というか不思議。4話目も不思議な感じ。(2003.6.15読了)
♪Body & money♪ 鎌田敏夫(新潮社)
みんなからきれいだと言われちやほやされる秋乃。彼女は卒業後モデルの道を進むが一流にはなれない。そんな時、無人島で暮らす倉橋一樹という男を秋乃の魅力で本土に連れ出してほしいという依頼が入る。無人島におきざりにされた秋乃は倉橋の冷淡さに怒りを覚え、持ち前の負けん気の強さで4日間の生活を終える。帰った秋乃は無人島での体験が生きたのか一流のモデルになる。実は倉橋は一文無しだった。前妻との訴訟に勝訴した倉橋は秋乃に宝石を贈ってくる。(2003.7.18読了)
♪ブルーもしくはブルー♪山本文緒(角川文庫) 
広告代理店勤務の男と結婚し、東京で暮らす佐々木蒼子。六回目の結婚記念日は年下の恋人と旅行中…そんな蒼子が自分のそっくり「蒼子B」と出くわした。彼女は過去の記憶をすっかり共有し、昔の恋人河見と結婚して、真面目な主婦生活を送っていた。全く性格の違う蒼子Aと蒼子B。ある日、二人は入れ替わることを決意した。NHKのドラマになりましたね。ドッペルゲンガーものですね。もし人生の分岐点でAとBの自分が存在してしまったら・・・結構怖いですね。この話の後半のように、相手の存在を消すことを考えるかもしれません。だって、自分は一人でいいはずだし、影は必要ない。きっと生活上の都合のいい自分になりすまし、少しでも不幸な自分は消してしまいたいと思うかも。(2003.7.22読了)
♪ジゴロ♪中山可穂(集英社)
ストリート・ミュージシャンのカイを通した5編の短編集。彼女はただひとりの女・メグを愛するためにギター1本を抱え街角で歌う。時には多数の女と寝ることもある。メグが仕事に忙しすぎて、一人の時間がせつなくなる。新宿で歌っているときに出会った女達のこと。最後の「上海動物園にて」はメグの出張についていって出会った人妻との淡い思いを綴っている。(2003.8.1読了)
♪九月の四分の一♪大崎善生(新潮社)
恋愛小説4篇の短編集。“世界一美しい”と言われる石畳の広場でひとり途方にくれていた。逃れるようにして辿り着いた場所で君と出会った。失ったはずの大切なものを僕は取り戻し、君はあいまいな約束を残して、追われるように姿を消した…。とても静かに流れていくような小説でした。(2003.8.1読了)
♪世界の中心で、愛をさけぶ♪片山恭一(小学館)  
十数年前。高校時代。恋人の死。「喪失感」から始まる魂の彷徨の物語。落ち葉の匂いのするファーストキスではじまり、死を予感させる無菌状態の中でのキスで終わる。白血病の彼女・アキ。朔太郎の純愛。無菌室のキスシーンはせつないものがありました。生きることと死ぬこと。何だかいろいろ考えてしまいました。装丁がとてもきれいです。(2003.9.18読了)
♪Lovers恋愛アンソロジー江國香織他(祥伝社文庫) 
9人の作家が描くとっておきの恋愛アンソロジー。恋してますか?恋したくなりましたか?
「ほんものの白い鳩」江國香織
「横倒し厳禁」川上弘美
「キャメルのコートを私に」谷村志穂
「ウェイト・オア・ノット」安達千夏
「七夕の春」島村洋子
「聖セバスティアヌスの掌」下川香苗
「水の匣」倉本由布
「旅猫」横森理香
「プラチナ・リング」唯川恵
(2003.9.20読了)
♪カルプス・アルピス♪嶽本野ばら(小学館)
何ていったらいいのだろう?魂に操られているような作品だった。記憶喪失の彼女とプールで出会い、記憶探しにいくのかと思いきや。実は彼の方が・・・何だかややこしいようだけど、支えあっているような。この本には絵が最初にあって、それをもとに小説が成り立っているという感じなのだけど。あとがきを読むとわかるけど、この絵の作者がとても数奇な運命で。何となく小説とリンクしているというか。あとがきを読んでうるうるくるような・・・野ばらさんて・・・(2003.12.20読了)

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