激やせして、皮下脂肪を減らしてしまうと、ホルモンのバランスが崩れて生理が止まってしまいます。特に若い女性は皮下脂肪を目の敵にしますが、決してムダについているわけではなく、必要だから付いているんです。
女性ホルモンは肌の艶を与え、皮下脂肪を蓄え、若々しさを保つ働きがあります。
また、骨粗鬆症になるのを防ぎます。
年を重ねると女性ホルモンの分泌が減少してくるので、肌に艶が無くなり、シワシワになり、骨が脆くなり、成人病にも罹りやすくなります。
皮下脂肪は、肌の下でクッションの役割をして体の内部を守っています。
いざという時のエネルギー貯蔵庫になっています。
だから、俗に飢餓状態になった時、女性は男性より長生きすると言われています。
適度な皮下脂肪は女性らしさを作ります。
いくら細くなりたいといっても、ガリガリでは魅力がありません。
急激な減量をした場合や体重の10%以上の減量をした場合に起こりやすいと言われています。これは視床下部性の防御反応とも言われ、飢餓状態を体が感じ取り危険なので妊娠しないようにしてしまうのでしょう。これには2種類あります。
第1度無月経は黄体ホルモンの投与で生理が再開するもの。第2度無月経は黄体ホルモンと卵抱ホルモンの2種類を投与しないと生理が再開しないもの。
ダイエットによる視床下部異常の無月経は短期間に簡単に治るものではありません。ただし無月経の期間がある程度長くても、治療によって排卵が起これば妊娠は可能です。排卵誘発剤などで治療しますがダイエットをしていて3ヶ月(3周期)生理が止まった場合は是非、産婦人科専門医の診察を受ける事をおすすめします。
大抵の場合この治療を受けるとまた体重が増加します。健康に戻って行くのだと言うことですから、体重の増えた自分の容姿をあるがままに受け入れる気持ちが必要です。
特に若い女性にとっては将来に影響しかねませんし一時の痩せた容姿と引き換えに大きな代償を払うことにもなりかねません。急激なダイエットはこうした結果をもたらす事もあると言うことを忘れてはいけません。
●胆石
極端なダイエットには胆石が多く報告されています。これは食事量が減り胆汁が濃縮されたためと言われています。
これはかなり急速に石自体も大きくなるようで、早いと1ヶ月で胆石症の症状を発症します。
報告を見ると週1,5キロ以上の減量で胆石の成長速度は週に1,5%から3,2%にも達するようで、超低カロリーダイエットを経験した多くの人が胆石症の発症を見ています。こうした低カロリーの急激な ダイエットは若い世代の胆石の大きな原因の一つとなっています。
強力な食事制限は脱水状態も同時に引きおこします。今月1キロしか減らなかったと嘆いている貴方。貴方のダイエットの方が体にはやさしいのです。
●ダイエットの副作用
「1ヶ月で6キロ痩せた!」
これは素晴らしい事なのでしょうか?
こうした急激なダイエットには代償も大きいでしょう。脂肪制限による肌のカサカサ感、いらつきや焦り、付き合いが悪くなり孤独になる、生理が止まる、人に依存する傾向、若いのに胆石症になる、いやみっぽいジョークしか言えない。
こんな症状が出たら要注意。これらはダイエットを止めればすぐにもとに戻るものではないのも怖い話です。バランス良く食事を増やして治るものと、そうではない場合はホルモンその他の治療を受けなければ治らない場合があります。精神的な症状に「ついては精神科や心療内科の受診が必要になる場合もあります。
1ヶ月2キロ以上のダイエットにはご注意を。減量幅が大きいほどリバウンドも副作用も厳しいものです。
●ダイエットの副作用2(柑皮症)
日本大学付属板橋病院皮膚科の落合豊子先生らによって、ダイエット中の若い女性の柑皮症(かんぴしょう)の患者さんの血液中ベータカロテン濃度が高いことが報告されています。
この病気は、手のひらや鼻の脇が黄色く変色してくる病気です。みかんを大量に食べると手が黄色くなるので知られていますが、ダイエットで緑黄色野菜を非常に多く食べている人にも発症し、黄疸と間違えて内科を受診される方が多いようです。
カボチャや人参、焼き海苔、ほうれんそうなどベータカロテンが多い緑黄色野菜や海草をたくさん摂取した結果でしょう。
ベータカロテンはビタミンAの前駆物質で夜盲症、皮膚乾燥症などに効果があります。さらに動脈硬化を防ぎ生活習慣病の予防になると言われ、人間には必要なものです。
確かにベータカロテンというとなんだか体によさそうに思えるでしょうが、摂りすぎはこんな結果になる場合もあるのです。柑皮症の患者さんが知らずにベータカロテンのサプリメントまで買って飲んだりしていたら、さらに症状を助長するでしょう。
ダイエットというとすぐに低カロリー、緑黄色野菜と思い込むのではなくバランスの取れた食事はここでも大事なのです。
ただし、ダイエットで発症した柑皮症はこの食生活を止め、バランスの取れた通常食にすることで治ります。ダイエット中になんだか手のひらや鼻の横が黄色いと思ったら皮膚科を受診されることをおすすめします。
身体に負担のかからない、ダイエットを心掛けることで、リバウンドを防止します。