ようこそ、この世界へ


お誕生、おめでとう。 
はじめて見る世界はまぶしいでしょう?
今、お母さんのおなかの中から出てくるという大仕事をなしとげて、安心して眠っているのでしょうか?

あなたには、「ダウン症」と言う形容詞が与えられることになるでしょう。
あなたには、まだわからないだろうけど、世の中の人たちは「ダウン症」と言う言葉に
「知的障害」とか「かわいそうな子」とか、「不幸な子」なんていう言葉を重ねたりします。

だから、もしかすると、あなたのお母さんは、今ごろ、声を殺して泣いてるかもしれません。
お父さんは、そんなお母さんにかける言葉もなく、立ちすくんでいるかもしれません。
もしもあなたがたった今しゃべることができたとしたら、こんなふうに言うかもしれません。
「やめてくれよ。どうしてぼくが生まれると、みんなが泣くのさ」


省略

あなたのお母さんは今も泣いていますか?
お父さんは、今も困り果てていますか?
私たちは、自信を持って言うことができます。
あなたが「ダウン症」だと聞いて涙を流したり、
言葉をなくしたりするのは、ただただ「ダウン症」のことを知らないからだけなのだ、と。

あなたの名前はなんというのでうsか?
何も知らない人たちは、あなたのことを「知的障害児」と呼ぶのでしょうね。
ちょっと理解してくれる人は、「ダウン症児」と呼ぶでしょう。
でも、それはどちらもちがいます。
あなたは、あなた。
あなた自身の名前をもった、ただ一人のかけがえのない人。
そのことを知っている人たちは、あなたの名前で呼びます。


お誕生おめでとう。ようこそ、この世界へ!



「ようこそダウン症の赤ちゃん」の本から


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