Ability~一章~(Ⅴ)

「あんたっ誰!?」
「誰はねぇだろ?アネル(てめぇ)が俺の眠りを妨げたんだろうが!其の上俺は貴様らの命を救ってやった恩人だぞわかってんのか?」
ふぁ~と欠伸をしながら言った。しかし今の言葉から考えればさっきの杖ではないか?と思いアネルは、そういえば杖…っていうか玉は?と辺りを見回した。
「無い…カイル様から貰った玉が…無いぃぃぃ!?」
どうしよう~とセルハを思いっきり揺すった。
「だ~か~ら~、ねぇのはあたり前だろ?」
アネルは自分と同じぐらいの少年をキッと睨みつけた。其の目は如何言うことか説明しろと訴えていた。其れに対して少年は、とても呆れた顔をして双眸の黒い瞳でアネルを見た。
「俺だから。」
「は?」
少年は溜め息を漏らし
「つまり、あの玉は俺なわけ。惚けるのもいい加減にしてくれる?」
「惚けてなんか無いもん!っていうか其れ本当?」
疑い深い性格である。
「疑うんならいいゼ?その代りもう力を貸してやんねぇ。其れに惚けて無いなら天然馬鹿だ!嫌…其れとも唯の馬鹿か?」
「ばっ…馬鹿じゃないよっ!!阿呆!阿呆玉!!!」
既に二人はセルハの存在など忘れきっている。
「お主ら止めぬか!!」
「五月蝿いっっ!!」
二人の声は見事にかぶった。其の時"かまいたち"が起きたのだ。食らった場合無事では済まないだろう。其れ所か下手すれば死ぬかも知れないものだった。偶然誰にも当たる事は無かったのだが…。
「喝っ!!!!!」
二人の言い争いはピタリと止まった。其れ程大きい声だったのだ。
「二人共来なさい。セルハはもう動けるのだろう?」
村長は二人を連れ其の場を去った。セルハは事の状況が良く飲めずに其の場で何が起きたのか考えていたのだ。言い争いをしているときも…。

その夜―
「『アネル(お前)はカイル様の加護を受けておる。頼む…此の村を…嫌…世界を救ってくれ…』」か…。」
自分の家の裏にある海の波が打ち上げる岬の先にある親の墓の前で今日あった事を整理していた。波の音が星空に響いている。其の音はまるでアネルの覚醒を祝い、そして又、旅の始まりを知らせているようにも感じられた。


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