「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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カエルぴょこぴょこ
3 エモーショナルワーク
早めに部屋に着き,すでに席についていたクラスメート,キャシー・Bの隣に座る事にした。
海は,どこの会合や講習に出てもそうなのだけれど,最初に着いた席が心地よくなかったら,翌日から席替えをする。 中には一度決めた席を変えるのを嫌う人がいて,海がそうして勝手に席替えをするのを心地よく思わない人も出てくるのだが,エネルギーをかき回す意味でも,この行動はもはや無意識的に行われている。
とにかくそうして,決められた今日の席。 (これがまた後から意味を帯びてくるのだけれどね。 いやぁ不思議だよ。 何もかもが伏線として張られ,それぞれの気付きを海にもたらしてくれる。)
さて,件のキャシー・Bは,看護婦さん。 ふくよかな体つきと少し伏目がちのやや悲しそうな目。 控えめにしているけれど,強い意志がある人と見受けられる。
彼女と会話をしていると,ポツリポツリと参加者が集ってきた。 そしてキャシー・Aもやってくる。 海の座った席は,彼女の席だったようだ。
目をくるくるしながら,あら?という顔をして何やら言っていたが,内容は覚えていない。 でもその様子から,彼女は「自分の席」を変えたがらない典型的な人のようだと感じたので,ひとつずれて「彼女の席」を返してあげた。
そうしながら海,笑ってしまって「昨日とはちょっと席を替えてみたの。 同じところにずっと座ってるのって嫌なのよね~!」 といったら,「わかるわぁ,私もそうだのもの!」という。 (あれ? なんか違わないかい?)
いい滑り出しだね。 にこやかな会話から始められたよ。
そうこうして互いに冗談を言い合っていたら,アレンの到着。
キャシー・Aは彼に話が合ったようで,海との話の腰を折る形となったが,彼のほうへ歩みだすその姿勢で,こう言った。
「あなた,面白いわね! 私,昨日あなたがあっちの席に座ってるとき,あなたのこと嫌いだったのよ~。」
えっ!?(゜O゜)
今聞いたことは,まさに今聞こえたことでいいのだろうか?!
そう一瞬心によぎったものの,しっかり「私もそうだったのよ~!」 と答えている海。 (o_ _)ノ彡☆バンバン ギャハハハ
こ,こんなコミュニケーションもアリ!? ブハハハハ (≧∇≦)人(≧∇≦) ブハハハ
クラスが始まった。 昨日習ったQI・GONGの復習から。 一ポーズ一ポーズ確認しながら,ゆったりと気を動かしてゆく。
その後アレンのレクチャー。 何か面白いことを彼が言うたびに,海は隣に座ったキャシー・Aと一緒になってケタケタと笑い,体を寄せ合ったり,意味もなくハグをしたりしていた。
この日は,海から始まって左に4名が女性。 キャシー・A,キャシー・B,そしてマーベス。 この4人が,しょっちゅう笑って冗談を言って,他の誰よりも楽しげにしていた。
キャシー・Aの個人のオーラフィールドに入ってわかったのは,彼女自身がいかにして出来事を楽しもうとしているか。 どれだけがんばって理想の自分を表に出そうとしているか。 だった。
そして,その日のメインイベント,互いの感情を癒す練習に入る。
詳しい技法は省くけれど,自然とキャシー・Aと組むことになった海,先に施術者の役目を担った。
誘導していくうちに,彼女は泣き始める。
うん。 そうだね。 それがあるね。
質問をする必要があるのだが,今のままでは彼女はきっと頭でこしらえた答えしかしない。 そうわかってはいたけれど,あくまで「練習」なのだからと,適当に切り上げるつもりでそれをした。
うん。 やっぱりね。 口だけで言ってるね・・・。
それでも彼女がそこを譲るつもりがないのもわかったので,それでおしまいにした。
なんと言っても,彼女は自分の考えを一言一句に声に出さなくては気がすまないタイプだし,今行ったこと,自分が泣いたことに対する解釈をつけたくてたまらない様子だったから。
皆をゆっくり見回っていたアレン,海たちのところへ来て彼女に質問を始める。
それに答えるのに,理論武装で切り返すキャシー・A。
う~,それじゃぁまだまだあるねぇ・・・。 黙って正面から見ている海。
しばらく話を聞いていたアレンが,ぴしゃりと核心を突く。 反論しようとする彼女だが,アレンの優しいながらも断固とした誘導に,目をくるくるさせながら従いだした。
「ほうら・ね!」と,いたずらったこのような表情で,海の顔を見返すアレン。
うん。 わかっていたんだけれど,「練習」の段階の今で,「海が」どこまでひっぱていいのかわからなかったの・・・。 とは,心の中の声。 別にここで自己主張をする必要もないかと,そのままアレンの後をついで彼女を誘導し続けた。
抵抗。 抵抗。 抵抗。
うん。
時間切れとなる直前に語られた話の印象から,海の見解を述べていいかと訪ねた上で,あることを彼女に告げる。
「うわぁ! それは,ものすごく新しい視点だわ,私にとって!」 後にそれが彼女の信じる,“人に対するマナー”とわかってくるのだが,大げさとも取れる表情や声の抑揚とともに,その言葉は出てきた。
まだ口先だけで反応していると感じた海,そういってくれてありがとう。 と伝え,「でも,このことは,一人になってよく考えてみて?」と言って練習セッションを終えた。
次は海の番。 このときの海は,相変わらず自分の力に恐れを抱いていた。 それに関する言葉を発しようとすると,ほほの筋肉が痙攣しそうになるのだ。
キャシー・Aに手伝ってもらって,開放する。 何度か同じ輪を回ったけれど。
そしてまたアレンが見回りに来る。 海の様子をじっと見詰めているのが感じられる。(海は終始目をつぶっていた。) そして,セッションを終えるに当たっての質問がキャシー・Aから投げかけられたとき,海は体内に広がる宇宙にいた。
キャシー・Aに,手法の説明をしているとき,彼が何か冗談を言った。 「例えば『私のお父さんは●×▽!』」(お父さんに問題があるというよな批難の調子。)
「●×▽」がなんなのかわからないままさして気にしもせず,海はそれを冗談と捉え,「そうだそうだ!!」と憎々しげしげな調子まで付け加えて合いの手を入れていた。
これを,練習セッション終了後,キャシー・Aから海の弱点のように指摘されたときはビックリした。
多分彼女は,自分だけが泣いたことが決まりが悪かったのだろう。
鬼の首を取ったように「あなたはお父さんと問題があるんでしょ! 私にもそれはわかったわよ!」と言い放つ彼女に,「え? 冗談でああいったんだけれど・・・?」 といおうとしたが,もしかしたら彼女の見解も当たっているのかもしれないと思って黙っておいた。 (しばらく考えをめぐらせたが,彼女の見解は当たらずとも遠からずだと結論。 昔はいろいろあったから。 今は仲良いけれどね。)
互いに全てを終えて,感謝と新たな友情を感じて席に戻った。 昨日,「この人イヤ~!」と思っていたのが,嘘のようだ! (* ̄m ̄) ププッ
この日は,この技術の練習のほかに,もう一つの技術を学んだ。
ぐふ。 楽しかったよ~!!
でも,あれは言葉の域を超えているのでね,表現できましぇん☆
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