QBスニーク

血小板

『正常値』
○血小板数[万/μl(マイクロリットル)]:12~35


【血小板の役割】


 血液は血管の中をさらさらと流れている.しかし,血管に何らかの障害がおこり出血したときには,すぐに血が止まらなければ(止血という),出血多量で死んでしまう.この止血に重要な働きをしているのが,血小板と後述する凝固因子である.
 血小板は,血管内皮細胞の間隙を埋めて内壁を保護し,赤血球が血管外へ流出するのを防いでいる.いったん血管に損傷がおこると,血小板は損傷部位に粘着し,凝集する.こうして,血小板の凝集塊(血色血栓という)が損傷部位を塞ぎ,出血を止めているのである(一次止血という).
 さらに,他の凝固因子との作用も加わり,赤色血栓が作られて強固な止血をみる.


【血小板数の異常】


 血小板数が減少すると出血しやすくなる(出血傾向という).たとえば,打撲すると青あざ=紫斑ができたり,歯をみがくと歯肉から血が出たり,切り傷の血や鼻血が止まりにくかったり,月経の量が多くまた期間が長かったり,四肢に細い赤い斑点=点状出血ができたりする.
 血小板数が2万以下:重症で,必ず出血傾向があらわれる.
 血小板数が2~6万:中等度で,ときに出血傾向をみる.
 血小板数が6~10万:軽症である.


【血小板数減少の原因】


○骨髄での産生の低下・・・再生不良性貧血,急性白血病,癌の骨転移などの血液疾患によるもの.薬剤による骨髄障害.
○血小板の破壊の亢進・・・肝硬変での脾腫大による破壊の亢進.免疫学的機序による破壊の亢進(特発性血小板減少性紫斑症,膠原病などによるもの).
※このうち最も頻度が高いのは,肝硬変に伴う血小板減少であるが,重症(2万以下)になることはなく,通常,せいぜい中等度(2~6万)までである.

●ときに何らの症状(出血傾向)もなく,他の検査でも異常がない(肝硬変や貧血もない)のに,血小板だけが減少しており,しかも重症である場合がみられる.
 これは採血時に使用されている抗凝固剤のEDTA-2Kによって血小板の凝集が生じ,見かけ上,血小板減少をきたしたものである.検査(採血)上の問題で,“偽性血小板減少症”と呼ばれている.
 この際には,血液塗抹標本(プレパラートというガラス板に血液の一滴をうすく塗って,顕微鏡で調べる.白血球分画を見るのにも行なう)で,血小板の凝集の有無を調べる必要がある.さらに,EDTA-2Kという抗凝固剤を用いないで,ヘパリンによる採血で再検査する方法もある.
 また,採血時に凝固したり,採血後時間が経っていると,血小板は凝集して測定値が低くなることがある.
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