QBスニーク

γ-GTP

『正常値』
○γ-GTP[単位]:60以下


【γ-GTP】

 γ-GTPは,グルタチオンのγ-グルタミル基を,他のアミノ酸やペプチドに転移する酵素である.γ-GTPは,腎臓,膵臓,肝臓,小腸,脾臓に含まれているが,血清γ-GTP値の上昇は,肝臓,胆道,脾臓などに疾患がある場合に見られる.
 γ-GTPに特徴的なのは,アルコールに非常に鋭敏に反応することである.ALPやGOT・GPTの検査値が正常で,γ-GTP値のみが異常という“アルコール常飲者”は少なくない.一日日本酒二合の常飲者では半数が,一日三合以上では8割以上の人がγ-GTPの上昇を示す.これはアルコールが誘因となって,肝臓においてγ-GTPの生合成が亢進するからである.
 アルコールをやめると,γ-GTPの値は急速に低下し,二週間でほぼ正常化する.健康診断の際に,γ-GTPの異常(上昇)を指摘されたなら,まず1~2週間禁酒をして,再検査を受けてみるとよい.γ-GTP値が下がり,他の肝機能検査に特に異常がなければ,まず心配することはないだろう.


【γ-GTPの上昇をみる原因】

○アルコール性肝障害
 アルコールが肝臓でのγ-GTPの生合成を亢進することは前に述べたとおりであるが,γ-GTPのみならず他の肝機能検査(GOT・GPT,ALP,LDHなど)にも異常を認める場合には,アルコール肝障害の恐れが高い.脂肪肝,慢性肝炎,肝繊維症,肝硬変などの心配がある.
 最近,日本人のアルコール消費量の増加はきわめて目立っており,一人当たりの飲酒量は過去十年間で約1.5倍にもなっている.大量飲酒者(一日平均150g以上のアルコール・・・日本酒換算で5.5合・・・を飲む者)の数も200万人を超えると推定されている.
 この飲酒量の増加に並行して,アルコール性肝硬変も増加しており,また肝癌も軌を一にして増え続けている.中年の働き盛りの男性の死亡原因では第一位を占めるまでになっている.
○胆汁うっ滞を伴う肝・胆道疾患
 γ-GTPは,ALPと同様に「胆道系酵素」と呼ばれている.胆汁うっ滞をみるような肝・胆道疾患がある場合に上昇をみる.γ-GTPの高度上昇があるときには,閉塞性黄疸や肝内胆汁うっ滞性肝炎が考えられる.急性肝炎,慢性肝炎,肝硬変などでは,軽度の上昇をみるのみである.

久里浜式アルコール依存症スクリーニングテスト(KAST)
最近6ヶ月の間に次のようなことがありましたか 回 答 点 数
酒が原因で,大切な人(家族や友人)との人間関係にひびがはいったことがある. ある/ない 3.7/-1.1
せめて今日だけは酒を飲むまいと思っても,つい飲んでしまうことが多い. あてはまる/あてはまらない 3.2/-1.1
周囲の人(家族,友人,上役など)から大酒飲みと非難されたことがある. ある/ない 2.3/-0.8
適量でやめようと思っても,つい酔いつぶれるまで飲んでしまう. あてはまる/あてはまらない 2.2/-0.7
酒を飲んだ翌朝に,前夜のことをところどころ思い出せないことがしばしばある. あてはまる/あてはまらない 2.1/-0.7
休日には,ほとんどいつも朝から酒を飲む. あてはまる/あてはまらない 1.7/-0.4
二日酔いで仕事を休んだり,大事な約束を守らなかったりしたことがしばしばある. あてはまる/あてはまらない 1.5/-0.5
糖尿病,肝臓病,または心臓病と診断されたり,その治療を受けたことがある. ある/ない 1.2/-0.2
酒がきれたとき,汗をかいたり,手がふるえたり,いらいらや不眠など苦しいことがある. ある/ない 0.8/-0.2
10
商売や仕事上の必要で飲む. よくある/ときどきある/めったにない 0.7/0/-0.2
11
酒を飲まないと寝つけないことが多い. あてはまる/あてはまらない 0.7/-0.1
12
ほとんど毎日3合以上の晩酌(ウイスキーなら4分の1本以上,ビールなら大瓶3本以上)している. あてはまる/あてはまらない 0.6/-0.1
13
酒の上の失敗で警察にやっかいになったことがある. ある/ない 0.5/0
14
酔うといつも怒りっぽくなる. あてはまる/あてはまらない 0.1/0


上の項目ごとに自己採点して合計し,下の表で判定する.

総合点 判 定(グループ名)
2点以上 きわめて問題多い(重篤問題飲酒群)
2~0点 問題あり(問題飲酒群)
0~(-5)点 まあまあ正常(問題飲酒予備群)
(-5)点以下 まったく正常(正常飲酒群)
[2002.08.10更新] 血液物知り事典へ


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